12月
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冬休み、クリスマス。
木枯らしの吹く中、名無しは聖戦士の運転する車の中で、聖戦士に問いかけようとする。
「聖戦士先生」
「何だ」
「何処へ……?」
「精霊世界」
今回、美羽は全く関係ない。
──「12月25日、予定を空けておいてくれ」
終業式に聖戦士に言われて、言われた通りにした。
本屋で待ち合わせして、聖戦士の車に乗って、とある所へ来た。
「このワープホールを潜ったら、お前に渡す物がある」
俺は先に行くな、と言って、吸い込まれてしまった。
(えーい!)
(な、なんか妙に酔ったような……)
その場に座る。ふと上を見たら、白い建物が見えた。
「何だろう、あれ……」
「何だと思う?」
後ろから聖戦士が現れて、少しびっくりする。
「酔ったか? 大丈夫か?」
「はい……あの建物に何かご用事が……?」
「ああ、歩けるか?」
「はい」
聖戦士に手を引かれて、建物の中に入る。
丁寧に手入れされた建物の中には、ピアノ、教壇、聖書らしき分厚い本が置いてある。
けれども、自分達以外の人は見当たらない。
「……教会って様々な部屋があるよな、礼拝堂に牧師室、懺悔室とか……」
教会の施設の話をしに、ここに来たのだろうか。聖戦士の思惑が、いまいちよく解らない。
「前置きが長いな、本題に入る。……これを渡しに此処に連れてきた」
目の前に差し出されたのは、カードだ。それも、『聖戦士 カオス・ソルジャー』と書いてある。
「これは……先生の本体ですよね?」
「そうだな、それを特定の相手に渡す意味は……いざ言うとなると、かなり恥ずかしいな……」
聖戦士は咳払いをして、名無しを見据える。
「渡した相手を真摯に想い、命ある限り守り抜く……これは誓いだ。今、恋人らしいことをしたら、お前は自分の思い描く道を進めないだろうし、俺は免職だろう。だから、それは今は言えない。前にも言ったよな、必ず気持ちを伝えると。……待てるな?」
膝を折り、頭を下げる所作は、まるで中世の騎士の様だった。見惚れたいところだが、今はそれどころではない。
震える手で、聖戦士カオス・ソルジャーのカードに触れる。
思い上がりでなければ、聖戦士はいつか自分への好意を教えてくれるのだ。
「はい……」
聖戦士の手を握り、自分の頬へ持っていき、スリスリさせる。
聖戦士は恥ずかしそうに、されるがままだったが、最初から抵抗はしないと決めていたのか、行動を許してくれている。
「そのカードは、基本的に肌身離さず持っていてくれ。お前が危険を感じた時に、その近くにテレポートできるから」
「わぁー、すごい……」
「宝生にも、他の人間にも言うなよ。……また秘密が増えてしまったな……」
「そうですね。……先生……好きです」
「俺は言えないというのに……」
(ますたー、せいせんしさん)
カラントーサが足下に現れた。
(おねがい、ぜったい、ぼくたちを、はなさないで)
「どうしたの……」
(にんげんの、せかい、たくさん、くろいもの……)
そして消えた。カードを出しても返答がない。体調が悪いのだろうか。
「たくさんの黒い物……」
「何でしょうね……とにかく気をつけます」
人間世界へと戻ると、悪寒がした。寒さが厳しい冬という理由だけではない。
「家の近くまで送る。……心配だ」
元来た道を走って、家の近くで下ろしてもらった。
この胸騒ぎは何なのだと、問い質したい。
木枯らしの吹く中、名無しは聖戦士の運転する車の中で、聖戦士に問いかけようとする。
「聖戦士先生」
「何だ」
「何処へ……?」
「精霊世界」
今回、美羽は全く関係ない。
──「12月25日、予定を空けておいてくれ」
終業式に聖戦士に言われて、言われた通りにした。
本屋で待ち合わせして、聖戦士の車に乗って、とある所へ来た。
「このワープホールを潜ったら、お前に渡す物がある」
俺は先に行くな、と言って、吸い込まれてしまった。
(えーい!)
(な、なんか妙に酔ったような……)
その場に座る。ふと上を見たら、白い建物が見えた。
「何だろう、あれ……」
「何だと思う?」
後ろから聖戦士が現れて、少しびっくりする。
「酔ったか? 大丈夫か?」
「はい……あの建物に何かご用事が……?」
「ああ、歩けるか?」
「はい」
聖戦士に手を引かれて、建物の中に入る。
丁寧に手入れされた建物の中には、ピアノ、教壇、聖書らしき分厚い本が置いてある。
けれども、自分達以外の人は見当たらない。
「……教会って様々な部屋があるよな、礼拝堂に牧師室、懺悔室とか……」
教会の施設の話をしに、ここに来たのだろうか。聖戦士の思惑が、いまいちよく解らない。
「前置きが長いな、本題に入る。……これを渡しに此処に連れてきた」
目の前に差し出されたのは、カードだ。それも、『聖戦士 カオス・ソルジャー』と書いてある。
「これは……先生の本体ですよね?」
「そうだな、それを特定の相手に渡す意味は……いざ言うとなると、かなり恥ずかしいな……」
聖戦士は咳払いをして、名無しを見据える。
「渡した相手を真摯に想い、命ある限り守り抜く……これは誓いだ。今、恋人らしいことをしたら、お前は自分の思い描く道を進めないだろうし、俺は免職だろう。だから、それは今は言えない。前にも言ったよな、必ず気持ちを伝えると。……待てるな?」
膝を折り、頭を下げる所作は、まるで中世の騎士の様だった。見惚れたいところだが、今はそれどころではない。
震える手で、聖戦士カオス・ソルジャーのカードに触れる。
思い上がりでなければ、聖戦士はいつか自分への好意を教えてくれるのだ。
「はい……」
聖戦士の手を握り、自分の頬へ持っていき、スリスリさせる。
聖戦士は恥ずかしそうに、されるがままだったが、最初から抵抗はしないと決めていたのか、行動を許してくれている。
「そのカードは、基本的に肌身離さず持っていてくれ。お前が危険を感じた時に、その近くにテレポートできるから」
「わぁー、すごい……」
「宝生にも、他の人間にも言うなよ。……また秘密が増えてしまったな……」
「そうですね。……先生……好きです」
「俺は言えないというのに……」
(ますたー、せいせんしさん)
カラントーサが足下に現れた。
(おねがい、ぜったい、ぼくたちを、はなさないで)
「どうしたの……」
(にんげんの、せかい、たくさん、くろいもの……)
そして消えた。カードを出しても返答がない。体調が悪いのだろうか。
「たくさんの黒い物……」
「何でしょうね……とにかく気をつけます」
人間世界へと戻ると、悪寒がした。寒さが厳しい冬という理由だけではない。
「家の近くまで送る。……心配だ」
元来た道を走って、家の近くで下ろしてもらった。
この胸騒ぎは何なのだと、問い質したい。