4月
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緊張と期待、使命を胸に、聖戦士カオス・ソルジャーは学校の裏門から入る。
この春、聖戦士はこの高校の先生となる。
思春期の子ども相手だ、一筋縄ではいかないだろう。
それでも、新たな出会いやまだ見ぬ景色に、胸をときめかせる。
(自然体で……自然体で)
「おはようございます」
聖戦士は職員室へ入る。そこには大勢の同僚の先生や、これから学び、未来へ羽ばたかせていく生徒がいる。
「おお、おはようございます、聖戦士先生」
「おはようございます」
同じクラスの担任を請け負っている、日本史の白石先生が話しかけてきた。
「いきなりで悪いんだけど、図書室へ行ってきてくれませんか? 名無しさんが戻ってきてないんだよ〜、困ったなぁ〜」
「図書室ですね、いってきます」
聖戦士は図書室へ行くと、写真で覚えた名無しという生徒を探す。
しばらく歩いていると、女性の啜り泣く声が聞こえた。
「名無し……?」
ただならぬ雰囲気を感じる。声の方向を頼りに、静かに近付く。
「なぁ〜、小遣い持ってるんだろ〜? ほーんのちょっと渡してくれれば、身体は触らないからさぁ〜」
「やっ……やめて……助けて……!」
下衆じみた男子生徒の腕を取り、厳しい眼光で睨みつける。
「おい」
「げっ……」
鍛え上げられた聖戦士の力から、逃れることのできない男子。
「貴様、何年生だ? 担任は?」
すべてを白状した生徒は、逃げるように踵を返した。
「名無しだな?」
「は、はい……」
怯えるその目は、聖戦士のことも、恐ろしいものと見なしているらしい。取り敢えず自己紹介をして、親しみを感じられたらと思う。
「新しくこの学校の教師になった聖戦士カオス・ソルジャーだ」
「先生……?」
「ああ、これから入学式が始まるから、呼びに来たんだ。こんなことになって怖かっただろう。あとは俺達に任せてくれ」
名無しの鞄を拾って渡すと、聖戦士は職員室へ戻った。
「聖、戦士先生……」
入学式が終わって、聖戦士は1年B組の教室へ行く。
教室は賑やかで、色んな生徒がいた。
(名無しだ)
窓際の席で、外を見てる。桜がハラハラ散るのを見ているのだろう。同年代よりも少しいとけない顔立ちをしている。
後ろの方で見ていると、女子生徒が此方をチラチラ見て、別の女子生徒に話しかける。
「ねーねー、多分うちらの副担任だと思うんだけどさー、めっちゃイケメンじゃね?」
「かっこいいけどさー、白い髪で結ってるとか、若干ジジイじゃん? わかじじ!」
「あはは! 筋肉ムキムキのわかじじ! 言えてる〜! あの人絶対体育の先生じゃんね、男子かわいそ〜、厳しそう!」
(爺さんで悪かったな)
それに、こう見えても体育教師ではなく、英語教師なんだがな! それに25だからまだまだ……!
心の中にグッと押し込んで、担任の白石先生を待つ。
少し経った。白石先生が入ってきた。
「はいは〜い、皆さん、おはようございます。まずは自己紹介だね。私は君達のクラスの担任の先生で白石です。日本史を教えてますよぉ。よろしくねぇ」
最初に会った時も思ったが、物腰の柔らかいお爺さん先生だ。生徒にはあんな雰囲気の人の方が親しみやすいのだろうな。
「では、副担任の聖戦士先生、自己紹介をお願いしますねぇ」
「はい。お前たちのクラスの副担任、聖戦士カオス・ソルジャーだ。教える教科は英語だ。よろしく」
「声も顔もイケメンだぁ……」
「聖戦士先生ー! 彼女いるのー!?」
女子達が色めき立つ、そして白石先生が生徒に、自己紹介を促す。
(名無しの番か)
「名無し 名無しです……好きなものは読書です……よろしくお願いします」
全員の紹介が終わり、プリントが配布されたり、明日の予定について白石先生は話す。
「では、今日のお話は終わりです。皆さん気をつけて帰ってねぇ〜」
「はーい、さよーならー」
同年代が次々と帰っていくのに、名無しはずっと席に座ったままだ。
「名無し、どうした」
「あっ……聖戦士、先生……今朝はありがとうございました……」
「あれから問題はないか?」
「はい。……その、ききたいことがありまして」
「話せる範囲なら、どれだけきいてくれても構わないぞ」
もじもじしたあと、決心して此方を見る。
「この作家さん、好きですか!?」
鞄から取り出しのは、本だった。
「ああ、話題の恋愛小説の人か……。先月発売されたのは読んだ。戦士と巫女の、切ない物語だったな。俺個人としては好きだ」
名無しの顔が華やいだ。
「私も好きでっ! この先生は純愛物がとても上手で! 私もこんな恋をしてみたいなって……すっ、すみません! ヒートアップしてしまいました……!」
「いや、お前がそうやって話をしてくれるのが嬉しい。名無しが面白いと思った本があったら、教えてほしい」
名無しは頬を赤らめて、「もちろんです」と言って帰っていった。
名無しは図書館から出ると、鞄を胸に抱えた。
「聖戦士先生……うう、好きになっちゃう……!」
少しだけ、そう言って桜並木を歩いていった。
この春、聖戦士はこの高校の先生となる。
思春期の子ども相手だ、一筋縄ではいかないだろう。
それでも、新たな出会いやまだ見ぬ景色に、胸をときめかせる。
(自然体で……自然体で)
「おはようございます」
聖戦士は職員室へ入る。そこには大勢の同僚の先生や、これから学び、未来へ羽ばたかせていく生徒がいる。
「おお、おはようございます、聖戦士先生」
「おはようございます」
同じクラスの担任を請け負っている、日本史の白石先生が話しかけてきた。
「いきなりで悪いんだけど、図書室へ行ってきてくれませんか? 名無しさんが戻ってきてないんだよ〜、困ったなぁ〜」
「図書室ですね、いってきます」
聖戦士は図書室へ行くと、写真で覚えた名無しという生徒を探す。
しばらく歩いていると、女性の啜り泣く声が聞こえた。
「名無し……?」
ただならぬ雰囲気を感じる。声の方向を頼りに、静かに近付く。
「なぁ〜、小遣い持ってるんだろ〜? ほーんのちょっと渡してくれれば、身体は触らないからさぁ〜」
「やっ……やめて……助けて……!」
下衆じみた男子生徒の腕を取り、厳しい眼光で睨みつける。
「おい」
「げっ……」
鍛え上げられた聖戦士の力から、逃れることのできない男子。
「貴様、何年生だ? 担任は?」
すべてを白状した生徒は、逃げるように踵を返した。
「名無しだな?」
「は、はい……」
怯えるその目は、聖戦士のことも、恐ろしいものと見なしているらしい。取り敢えず自己紹介をして、親しみを感じられたらと思う。
「新しくこの学校の教師になった聖戦士カオス・ソルジャーだ」
「先生……?」
「ああ、これから入学式が始まるから、呼びに来たんだ。こんなことになって怖かっただろう。あとは俺達に任せてくれ」
名無しの鞄を拾って渡すと、聖戦士は職員室へ戻った。
「聖、戦士先生……」
入学式が終わって、聖戦士は1年B組の教室へ行く。
教室は賑やかで、色んな生徒がいた。
(名無しだ)
窓際の席で、外を見てる。桜がハラハラ散るのを見ているのだろう。同年代よりも少しいとけない顔立ちをしている。
後ろの方で見ていると、女子生徒が此方をチラチラ見て、別の女子生徒に話しかける。
「ねーねー、多分うちらの副担任だと思うんだけどさー、めっちゃイケメンじゃね?」
「かっこいいけどさー、白い髪で結ってるとか、若干ジジイじゃん? わかじじ!」
「あはは! 筋肉ムキムキのわかじじ! 言えてる〜! あの人絶対体育の先生じゃんね、男子かわいそ〜、厳しそう!」
(爺さんで悪かったな)
それに、こう見えても体育教師ではなく、英語教師なんだがな! それに25だからまだまだ……!
心の中にグッと押し込んで、担任の白石先生を待つ。
少し経った。白石先生が入ってきた。
「はいは〜い、皆さん、おはようございます。まずは自己紹介だね。私は君達のクラスの担任の先生で白石です。日本史を教えてますよぉ。よろしくねぇ」
最初に会った時も思ったが、物腰の柔らかいお爺さん先生だ。生徒にはあんな雰囲気の人の方が親しみやすいのだろうな。
「では、副担任の聖戦士先生、自己紹介をお願いしますねぇ」
「はい。お前たちのクラスの副担任、聖戦士カオス・ソルジャーだ。教える教科は英語だ。よろしく」
「声も顔もイケメンだぁ……」
「聖戦士先生ー! 彼女いるのー!?」
女子達が色めき立つ、そして白石先生が生徒に、自己紹介を促す。
(名無しの番か)
「名無し 名無しです……好きなものは読書です……よろしくお願いします」
全員の紹介が終わり、プリントが配布されたり、明日の予定について白石先生は話す。
「では、今日のお話は終わりです。皆さん気をつけて帰ってねぇ〜」
「はーい、さよーならー」
同年代が次々と帰っていくのに、名無しはずっと席に座ったままだ。
「名無し、どうした」
「あっ……聖戦士、先生……今朝はありがとうございました……」
「あれから問題はないか?」
「はい。……その、ききたいことがありまして」
「話せる範囲なら、どれだけきいてくれても構わないぞ」
もじもじしたあと、決心して此方を見る。
「この作家さん、好きですか!?」
鞄から取り出しのは、本だった。
「ああ、話題の恋愛小説の人か……。先月発売されたのは読んだ。戦士と巫女の、切ない物語だったな。俺個人としては好きだ」
名無しの顔が華やいだ。
「私も好きでっ! この先生は純愛物がとても上手で! 私もこんな恋をしてみたいなって……すっ、すみません! ヒートアップしてしまいました……!」
「いや、お前がそうやって話をしてくれるのが嬉しい。名無しが面白いと思った本があったら、教えてほしい」
名無しは頬を赤らめて、「もちろんです」と言って帰っていった。
名無しは図書館から出ると、鞄を胸に抱えた。
「聖戦士先生……うう、好きになっちゃう……!」
少しだけ、そう言って桜並木を歩いていった。
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