指に絡まる
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街頭のテレビの天気予報から聞こえる、木枯らしの情報。
冷たい冬の訪れを知らせる風は、容赦なく開闢の騎士に吹き付ける。開闢の騎士はジャケットに手を入れて、かじかんだ手を紛らわせる。
ああ、今日も伝えることができなかった。
雑踏の中で脳内で響く、自分を呼ぶ優しい声。
(……オレなんて、どうせ)
あの日、犯罪者から助けたから、少しかっこよく見えただけで、蓋をあけてみたら、どうってことない、ただの男の子で。
(好きって何時言えるかな)
人を避けるように歩いていく。改札を通ろうとすると、後ろから呼ばれた。振り返ると名無しがいた。
「名無しちゃん、どうしたの?」
「これ、忘れていたよ」
数学の教科書を渡されて、開闢の騎士は思い出す。
「ありがと、届けに来てくれたんだね」
「忘れ物したら、また聖戦士先生に怒られて、宿題増やされちゃうから」
(可愛い……)
その後の行動は予想だにしなかった。
気づいたら、名無しの手を、指を絡めて握っていた。
「きっ……騎士くん……!?」
「手、冷たいね」
この機会を逃したくない。
「好きだよ、一目惚れだ」
手を放す。名無しの顔面がみるみるうちに紅潮する。
「じゃあね」
去り際に微笑むと、開闢の騎士は人混みに消えて行った。
冷たい冬の訪れを知らせる風は、容赦なく開闢の騎士に吹き付ける。開闢の騎士はジャケットに手を入れて、かじかんだ手を紛らわせる。
ああ、今日も伝えることができなかった。
雑踏の中で脳内で響く、自分を呼ぶ優しい声。
(……オレなんて、どうせ)
あの日、犯罪者から助けたから、少しかっこよく見えただけで、蓋をあけてみたら、どうってことない、ただの男の子で。
(好きって何時言えるかな)
人を避けるように歩いていく。改札を通ろうとすると、後ろから呼ばれた。振り返ると名無しがいた。
「名無しちゃん、どうしたの?」
「これ、忘れていたよ」
数学の教科書を渡されて、開闢の騎士は思い出す。
「ありがと、届けに来てくれたんだね」
「忘れ物したら、また聖戦士先生に怒られて、宿題増やされちゃうから」
(可愛い……)
その後の行動は予想だにしなかった。
気づいたら、名無しの手を、指を絡めて握っていた。
「きっ……騎士くん……!?」
「手、冷たいね」
この機会を逃したくない。
「好きだよ、一目惚れだ」
手を放す。名無しの顔面がみるみるうちに紅潮する。
「じゃあね」
去り際に微笑むと、開闢の騎士は人混みに消えて行った。
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