独占欲


独占欲とかそういうの無かった。
小さい頃から、独占欲というものはなくて、好きな玩具も取られたら遊ぶの諦めてたし、特定のものに執着もしなかった。

ーうわー、、ひかるイケメン、、
ーひかるさんカッコいい…

周りから溢れる彼女への賞賛の声
その姿は相手を敬う彼女がよくやるエスコートだった。

黄色い声援の聞いて胸がチクリと痛んだ。
でもそれは気のせいだと心の中で落ち着かせた。


「ほのーー!ちょっと手伝ってー」

「えー?わかったー!今行くなー、、、」

グイッ

収録が終わってとあるメンバーからの呼び出しがかかる。
かと思ったら急に後ろから腕を掴まれた。
その顔をみてまたチクリと胸が痛んだ。

「ひぃちゃん、、」

「てんちゃん!ちょっとほのちゃんのこと借りるなー!」

「あ!おっけー!!!れなちゃーーーん!」

この日ばかりはてんちゃんに諦めてほしくなかった。何も知らないてんちゃんはれなちゃんを呼んでどっかに行ってしまった。

「ほのちゃんちょっと来て」

小さい背中が私の手を掴んで人気のない部屋に連れて行く。

「…なんか怒っとる?」

「え!?…そんなことないで!」

「じゃあなんで目合わせてくれんの?」

「え、、そんなことないよ〜見てる見てる」

「私のこと飽きた?」

「ううん!全然!今日のブイだってかっこよかったで。みんなキャーキャー言うてたもんな」

「……ほのちゃんは?」

「え?私?」

「ほのちゃんキャーキャー言うてなかったし笑ってもなかった」

「みてたん?!」

「うん。ずっとみてるよ」

「…恥ずかしいな」

「なんで笑ってなかったん?」

「いやー、、かっこいいなーって思って」

「嘘つき」

「…もぅ!わからんけど!わからんけど胸が痛くなったの!」

「…ふっ、、」

「何が面白いん!」

「ううん、やっぱ可愛いな〜って思って」

「もう人が苦しんでる時に!」

「それってさ、独占欲?」

「は!?そんなんちゃうし!」

「じゃあ、誰にでもあんなことしていいとー?」

「…だめ」

「ほら?独占欲じゃん」

「も〜!じゃあそれでいいです!!!」

ギュッ


「ごめんごめん意地悪言うちゃった。本当は嬉しいよ?」

「じゃああんなん他のメンバーにやらんといて」

「うん、ほのちゃんだけにしとくな?」

「ありがとう大好きやでひーちゃん」

「私も」

初めて感じた独占欲。
その初めては彼女から教えられました。
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