二人で食事を

バッシュに食事に誘われたんだけど…

こういう店、オレ初めてなんだよな。バッシュと一緒じゃなかったら、まず入ること無いしさ。

いかにも高級そうなレストラン。
洒落た内装、白いテーブルクロス。
ウェイターが いらっしゃいませ・・と恭しく頭を下げる。
落ち着いた感じの音楽が流れて、外の喧騒とは別世界。

「あのさ・・・オレ、場違いみたいな」

「たまには、こういう雰囲気もいいだろう?」

バッシュはあまり気にしてないみたい。

メニューを見ても、よくわかんない。全部バッシュと同じのにした。

オレは若いから、肉を使ったコース料理がいいだろうって。
美味しいなら、何でもいいや。

食事が運ばれてきた。

テーブルにある、ナイフやらフォークやらスプーンやら。
どれに、どうやって使うんだろう。

バッシュが食べるのを見て、真似しようと思ったけど、何か難しそうだなあ。

とりあえず、スープをすすった。カチャカチャ、ズーッって音を立てたら、
隣で食べていたカップルが、怪訝そうな顔してた。

そうか、音立てちゃいけないのか・・

バッシュを見ると、ナイフとフォークを上手に使って、
すまして食べてる。慣れてるよなあ・・
バッシュって良いところの出身みたいだしなあ。
きっとこういうところ、よく来るんだろうな。

何だか、考えすぎて食べる気しなくなっちゃった。
手を止めたまま、料理をジッと見つめていた。

バッシュがそれに気づいたみたい。

「どうした?ヴァン。口に合わなかったのか?」

「ううん・・いや、その・・オレ、こういうの使って食べたことって無くってさ。
音立てちゃいけないんだろ?無理!」

苦笑いしながら言ってみた。

バッシュは優しく微笑むと、

「そんなにかしこまらなくてもいいんだよ。
食事のマナーというのは、お互い気持ちよく食べるためにあるんだ。
楽しくなければ、意味がない。
ムリにナイフやフォークを型どおり使わずとも、フォークですくったり、
スプーンに乗せたりして、自分が食べやすいように、すればいい」

「そうなんだ」

ちょっと気が楽になったせいか、料理の味がわかってきた気がする。

うん、美味しい。

バッシュもオレのペースに合わせてくれて、話をしながら、
いつのまにか周りの目も気にならなくなった。

*************

「どうだい?良かったらまた行こう。楽しかったよ」

「うん!今度はもうちょっとナイフとフォークを うまく使ってみたい。バッシュ教えてよ」

「ははは・・それは構わないよ。」

だってさ、スマートに食べてるバッシュ、ちょっと気取ってるけどカッコいいんだもん。

オレも真似してみたい。
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