あなたを偲ぶ

「バッシュ・・あの戦いの時、兄さんは、どんなだったの?」

「レックスは・・君のお兄さんは、勇敢に戦っていたよ。
帝国兵を自分が引き受け、我々に国王陛下の元へ急ぐよう促してくれた。」

「そうなんだ・・良かった」

「だが、結局あんなことに・・私は目の前にいながら・・」

「バッシュ!それは言わないって、あれだけ約束したじゃん。
アンタのせいじゃないよ」

「ああ・・すまない。そうだったな。レックスは、誇り高きダルマスカの戦士だ」

「じゃあ、兄さんのこと、自慢していいよね。」

「もちろんだ」

「昔から、ずっと自慢だったんだ。頼ってた。」

「そうだろう」

「兄さんのこと大好きだ」

「レックスも、ヴァンを愛していたよ」

「でも、最後に笑ってほしかったんだ。オレのこともわかんなくて。
もう一度、名前を呼んでほしかった」

ヴァンは黙った。それきり顔を上げなかった。彼は、人の前で決して涙を見せない。

バッシュは優しく肩を抱き、声をかける。

「泣いてもいいんだよ・・」

ヴァンは答えなかった。

我慢しなくていい。今は、レックスのことを偲ぶといい。私も付き合おう
…バッシュも黙ったまま、しばらくの間、ふたりで佇んでいた。
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