バシュヴァン2015年

「オレたち、やっと現実で会えたんだね」

頭の中で、少年の声が聞こえた気がした。


私が17か18の時に同じくらいの歳の少年に出会った。

顔立ちはよく覚えていない。
確か私と同じブルーグレーの瞳をしていて、
それはどこまでも澄んで純粋で。

彼は自分より幼い印象も受けたが、屈託のない人柄に私はすぐさま惹かれた。
何も気取らなくていい、素のままの自分でいられる。

いつしかときめきさえ感じてしまって気恥ずかしくなった。

兄を慕っていると言う。甘えんぼなのだろうか。
ふと、ノアが思い浮かんで私は可笑しくなった。
だが、その場にノアはいない。

話しているうちに、思わず口をついて出た言葉。

「もし君さえ良かったら、僕とずっと友達でいてくれないか?」

少年は戸惑ったような、はにかんだような表情を見せた。
私は軽はずみなことをしたかと後悔した。

しかし、彼は不思議なことを言ったのだ。

「ありがとう。嬉しいけどオレ、まだこの世にいないんだ。
でも、アンタとは将来出会うことになっているんだ。
だから、もう少し待っていてよ。」

一体どういう意味だ?。もっと詳しく教えてくれ・・

そう言おうとしたとたん、彼は目の前から消えた。

いや、私の目が覚めたのだ。何もかも夢だった。

あれはノアではなかった。誰だろう。
そんな夢を見たことさえ忘れていたのに。

「やっと現実で会えたね」

そう声が聞こえた気がして、遠い日の夢を突然思い出した。

今、かたわらに目を落とすと、ヴァンが寝息を立てている。

そうだ。夕べは同じ部屋で、甘えんぼのヴァンが
私のベッドにもぐり込んできたのだった。

彼の顔を見つめているうちに、あの夢の中の少年は
もしかしてヴァンだったのかもしれない、と思った。

ここにいるヴァンは夢ではない。確かに私のそばにいる。
確かに現実なのだ。

彼が生まれる前から、私たちは出会う運命だったのだろうか。
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