バシュヴァン2013年

バッシュの独り言:

近頃、ヴァンの様子がおかしい。何かコソコソしているようだ。
私の気のせいか。

いつも夜は一緒に寝たがるのに、このところすぐ自室にひっこんでしまう。
そしてすぐ寝るわけでもなく、何やらやっているようだ。

それとなく探りをいれてみるのだが、何も言ってくれない。
別に、などとそっけなく言われると勘ぐってしまう。

私が知らないうちに気に障るようなことをしたのだろうか。

そう言えば、バルフレアとよく話していたな。何か相談しているようでもあったが・・
いや、考えすぎか・・

嫉妬にまでなりそうな自分が情けない。何とも大人げないな。

子供っぽいので言うのも憚られるのだが、
やはりヴァンがそっけないと何とも寂しいのだ。



ヴァンの独り言:

当日にバッシュをびっくりさせてやりたいんだ。
ちょっとコソコソし過ぎたかもしれないなって自分でも思う。

でも、バッシュと話したら最後、つい正直に全部言っちゃいそうなんだもん。

年に一回のことだから、絶対成功させたい。

バルフレアにもいろいろ訊いてみたんだ。だって大人の男だしさ。
わかると思って・・一応ね・・あ、こんなこと言ったら怒るだろうな。
ずいぶんからかわれちゃった。

フランも面白がっていたけど、何かと教えてくれたし。

完璧だね!オレ。


【当日】

ヴァンはテーブルを片付けると、花を飾った。
普段使わない洒落た食器を並べ、作った料理を盛り付ける。

香ばしく焼きあがったローストチキン。

ケーキは作れそうにないので、ちょっと奮発してデコレーションの
綺麗な物を買ってきた。季節柄、それらしい飾りをほどこしたものが
沢山あり、かなり迷った。

大人の男性にはどんな贈り物をしたらいいか。
これもバルフレアやフランの情報で、準備してある。

バッシュに気付かれないようにするのに苦労した。

さて、彼が帰ってくる前に、急いで飾り付けも済まさねば。

一方、バッシュはヴァンからどう事情を聞きだそうかと、
あれこれ考えあぐねていた。

やや上の空だったので、帰りついてドアを開けたとたん降ってきた声に驚いた。

「バッシュ!!メリークリスマス!!それと誕生日もおめでとう!」

抱きつかんばかりに両手を広げて出迎えるヴァンに、
バッシュは少々面喰ってしまい、目を丸くした。

一瞬何のことかわからなかったのだ。

ヴァンはにっこり笑うと

「今日はクリスマスイヴだけどね。でも誕生祝いしなかっただろ?
だから、年を越す前に一緒にお祝いしようよ・・ね?」

「あ・・ああ、そうか。・・そうだったね、今日はイヴか。
すっかり忘れていたよ」

「やっぱりなぁ・・。忙しくて何も言わないしさ。
まあ、驚いてくれたからいっか。その為にコソコソしてたんだもん」

「え・・今日のこの為だったのか」

「ほらほら、ボーっとしてないでさ。腕を振るったんだ。
プレゼントもあるんだよ。早く見て見て!!」

ヴァンに腕をひっぱられ、バッシュはよろよろとついて行く。

茫然としていたが、次第に何やら嬉しさと気恥ずかしさがこみ上げてきた。

ヴァンの優しさと気遣いに、思わず頬がほころぶ。

奥のリビングからは、料理のいい香りがする。
簡単だが、部屋はそれらしく飾りつけられていた。
サイドテーブルにはどうやらプレゼントと思われる箱がのせられている。

「バッシュ、早く早く。オレもお腹すいちゃったんだ」

「ありがとう、ヴァン。とっても嬉しいよ。早速いただこう」

今夜は素敵な夜になりそうだ。大好きな君とゆっくり過ごすクリスマス。
6/6ページ
スキ