バシュヴァン2011年

今度の宿屋の寝室は、広くはないけど清潔でのんびりできそう。

デスクの上に、メモ帳とペンが備えてあった。
ちょっと洒落たデザイン。パンネロなんか喜びそうだ。

オレも、ラクガキしてみようかな。
ふと、思いついて走り書きしてみる。

“バッシュ、大好き!誰よりも好き!”

自分でもバカらしくって笑った。でも本当だもん。

すぐ破ればよかったんだけど、食事に呼ばれて
ついそのままにして部屋を出てきちゃった・・

すっかり忘れていたんだけど、戻ってきたら、あのメモがない!!

どうしよう・・誰かが見たら・・バルフレアとかだったらまずいよ・・
絶対からかわれる・・

いや、オレの名前は書いてないから・・あ、でもバッシュって書いちゃったから、
迷惑かけちゃうかな。

とにかく探さなきゃ・・部屋をうろうろ歩き回っていたら、
ドアが開いて、バッシュが入ってきた。

「どうしたんだ?ヴァン。何か探し物かい?」

「うわあ!ビックリさせないで・・えと、そのぅ・・」

「?」

「オレ、ここにメモ書きしたんだけど、見当たらないんだ・・」

「何て書いてあるんだ?」

「え!言わなきゃダメ?・・あの・・・・」

オレは、言っていいものか迷った。当人を目の前にして。
俯いて口ごもる。

バッシュがため息をつく。ポケットから何やら取り出した。

「ふう・・もしかして、これのことかい?。もしやと思ったが、やはり君か。
・・『バッシュ大好き!誰よりも好き!』」

「うわあ!!・・それ!見ちゃったのか・・あー・・」

慌てふためいたオレの顔、きっと真っ赤になってるだろうなあ・・。

でも、バッシュは微笑むと

「嬉しいよ。直接言われるのももちろんだが。
文字で綴られているのもまた良いものだ」

「え!本当?全然文になってないし・・手紙なんて言えないよ。
いたずらかと思ったんじゃないの?」

「ふふ・・こんなこと書くのは君くらいのものだろう、と見当はついた。

ただ、人目につくところに置きっぱなしにするのは勘弁してくれ。
もし書いたら直接、渡してほしい」

「うん!そうするよ。」

「さすがに、他の人に見られたら私も照れくさいのでね」

バッシュは笑った。

「じゃあ、今度は便箋にもっときちんと書こうかな。ラブレターは、嬉しい?」

「君からもらうものなら、私は何でも嬉しいよ」

よーし、今度はもっともっとオレの気持ち、いっぱい綴ってやろう。
うまく書けるかな。
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