バシュヴァン2011年

オレはバッシュの隣に座っていた。

オレの方から、バッシュに抱きついた。
バッシュは黙って受け止めてくれる。

「バッシュ・・大好き・・」

オレは彼の耳元で囁く。バッシュは笑った。

「私も、君が大好きだ・・」

オレの髪を、梳くように優しく撫でてくれる。

くすぐったい・・何だかフワフワして気持ちが良くなってくる。

オレはバッシュの左目の上にある、大きな傷にそっと口付ける。

オレは、この傷が好きだ。バッシュの戦った跡だから。

痛々しいけれど、バッシュが生き延びた証だから。

ふと、目が合った。

バッシュはオレと同じブルーグレーの瞳なのに・・もっと深く、
どこか憂いをたたえていた。

オレより長く、生きてきたからかな。

オレの知らない、バッシュの過去。

きっと悲しみや苦しみを感情の奥に押し込めて。

バッシュは何も言わない。

夜も更けてきた。まだ外は闇の中だ。

バッシュがつかの間見せる、脆さ。オレが、きっと支えてあげる。
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