バシュヴァン2011年

珍しくヴァンが熱を出し、寝込んでしまったようだ。
バッシュは額の濡らしたタオルを取替え、様子を伺う。

「具合はどうだ?」

「ん~~・・フラフラする感じ・・起きられない、まだ。」

話すのも億劫そうだ。

「ご飯は?」

「何も・・食べたくないよ・・」

「薬だけは飲んだ方が良いぞ」

「わかった…」
ヴァンは辛そうだったが、何とか半身を起こすと薬を飲み干した。

「ふえ・・にが・・」
苦い味に顔をしかめるが、全部飲めたようだ。

「あとはゆっくり寝ていなさい。」

「う・・ん」

まだボーっとしているらしく、そのまま眠りそうだ。
バッシュは布団をかけなおし、部屋を出て行った。

-----次の日。
薬が効いたのか、若さゆえか。或いは彼特有のパワーなのか。

熱を出していたのが嘘のように元気いっぱいなヴァン。
昼間は片時もじっとしていない。
また、具合が悪くなりはしないかと、周りの方が心配になる。
バッシュはちょっと苦笑ぎみ。

夜になって食事の時間。ヴァンがバッシュに訊ねてくる。

「ねえねえ、バッシュは大丈夫?何でもない?」

「ん?。このとおりだが…まあ、万一調子が悪くなったら君に看病してもらうよ」

バッシュはいつになくおどけて、片目をつぶってみせた。

「あ!もちろん!オレがちゃんと面倒見てやるって!」
ヴァンの顔がパッと明るくなる。

「それはありがたい。」

「子供の頃はさ、病気になっても母さんとかがついてくれるじゃない?。
ちょくちょく様子を見てくれたり、食事や水を持ってきてくれたり。
でも、兄さんと二人きりになってからは、『傍にいて』なんて言えないじゃん。」

「ああ…」

「兄さんもやることあるし・・寂しいけど治るまでは、
ひとりぼっちでも寝てなくちゃって。
看病してもらったのなんて、久しぶりだなあ。」

「そうか」

「オレ、寝込むなんて滅多にないからさ!アハハ!」

何となく無理に笑っている感じがしないでもない。
どんなに心細い時でも、 兄には心配かけまいと、
じっとその気持ちを押し込めていたのだろう。

「ありがとな!バッシュ」

今では病気の方が逃げていきそうなくらいだが、
弱っている時こそ甘えて欲しい…バッシュはそう思ったのだった。
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