雑踏

バザーでは人がごったがえ。

いろんな店。いろんなもの。

食べ物の匂いが漂い、人の声が飛び交う。賑わって活気づいている空間。

昔から知ってる人、兄さんを知っている人。

知らない観光客。兵士。

様々な種族。

人が暮らしてる。頑張って生きている。だからオレは、ここが好きだ。

前は兄さんとよく買い物に来たっけ。二人で荷物持って。

オレはつまみ食いして兄さんに注意された。笑ってたけど。

兄さんの口にも押し込んでやった。やっぱり笑ってた。

「あ、美味しいや」って。

楽しかった。

そして今、オレはバッシュと歩いてる。
バッシュはオレより背が高いから、歩幅も大きいわけで。
ずんずん先に行ってしまう。

オレは必死で付いて行く。バッシュの背中を見つめながら。
そして声をかけた。

「ねえ、バッシュ。何か買い物していこうよ」

バッシュが立ち止まって振り返る。

「何が欲しい?」

「えーっとね・・」

また誰かと、こうしてバザーを歩けるなんて。
兄さんの時とは違うしあわせを噛み締める。
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