かごの鳥

かごの中の鳥は、もう自分は飛べないと思い
永い永い時間独りうずくまっていた。

時折見上げる空は、手を伸ばしても届かない遠い遠い世界。

もう二度と手に入らない、自分とは無縁の世界。

ある日、男が鳥に恋をした。

彼は、籠から鳥を連れ出して、

「これから私が君を守る」と言った。

そして、「君を愛してる」と言った。

きっと彼もまた、傷ついた鳥。

鳥も、そんな彼を愛した。

鳥は、翼を広げて、再び空へ羽ばたいてみようかと思った。

愛する男と一緒ならば。
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