言わなくても

「フラン、何か気に病んでるのか?。それとも」

「よくわかったわね・・」

「長い付き合いだからな」

「私のほうがあなたより、ずっと長く生きているわ・・。
下手な言葉だけの慰めなんて、いらないの」

「ヒュムは言葉で交流するんだぜ」

「私はヒュムじゃない・・ヴィエラよ」

「フ・・そうだったな・・」

「何も言わなくていいわ」

「語らずとも・・か?。でもな、たまには口に出してくれなきゃわからないぜ。
心までは読めないからな」

「気持ちは感じているのでしょう?」

「ヒュムは弱いのさ。言葉で確認していないと、不安になる生き物なんだ」

「だから、私はヴィエラだと・・」

「ああ、正しくは『オレは』だな。訂正するぜ」

「・・そう」

彼は黙って、そっと私の肩を抱いた。
お互い、視線を合わすでもなく、どこか遠くを見つめていた。

私も黙ってそっと彼の腕に触れた。

今はあなたがいてくれれば、それだけでいい。
温もりを感じていられるから、それでいい。

そんなこと、言葉になんかできないわ。
いえ、本当はわかっているのでしょう?。

バルフレア。
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