それぞれの道

エルトの里で。

フランが言った。

「さよなら、姉さん」

それは、永遠の“さよなら”

ミュリンは見送った。

「ああ・・行ってしまった」

そこへヨーテが声をかけた。

「ミュリン、里に残る者と、里を去る者、見届けたはず。

あとは、あなた次第・・自分の道は、自分で選びなさい。」

ヨーテは、里長という立場である以上、冷徹で無感情に振舞っていた。

しかし、人目を避けると、陰で声を押し殺し泣いた。

ミュリンは自問する。

私は、これからどうするだろう?。

でも、わかっていることがある。

ヨーテ姉さんとフラン姉さんと、三人で笑って過ごしたあの日々は、
もう二度と還らない。

さよなら、フラン姉さん -----

*********

一方バルフレアは、フランに低い声で問いかけた。

「よお、いいのか?」

「何が?」

「いや・・家族・・」

その言葉を遮るように、フランは言う。

「誰でもない、自分が選んだ道よ。
・・これは、私が決めたことなのよ。」

バルフレアはポン・・と、軽くフランの肩をたたくと

「・・あまり、無理するなよ」

フランは、黙って微笑むと歩き出す。

故郷の風景を思い浮かべながら。

ヨーテとミュリンを思い浮かべながら。

--- さよなら、姉さん

--- さよなら、ミュリン

--- さよなら、私の故郷(エルトの里)
design
1/1ページ
    スキ