人間に恋した神様のおはなし
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―――とんでもない事になってしまった。
確かに、変わり映えのない淡々とした生活に、少しばかり刺激が欲しいと思ったのも事実ですよ。
不満はないけど、物足りない。そんな事を思ったのが、ダメだったのかもしれない。
「初めまして、私はこんのすけと申します。」
ここ最近、イベントで刀剣乱舞のコスプレを頻繁に見かけるようになり、そんなに面白いのかと、試しにPocket版をDLしてみたら、それは現れた。
最近のゲームは3D仕様なのかと、タブレット画面から立体映像で映し出された、可愛い狐を眺めていたら、こんのすけと名乗った狐は話し始める。
歴史改変を目論む、歴史修正主義者の事や、それを阻止する為に、時の政府は、刀剣男士を従える審神者を探している事など、色々と話していた気がするが。
ゲームのチュートリアルだと思っていた私は、説明の半分以上を聞き流していた。(習うより慣れろタイプだし、本当に軽い気持ちで始めただけだった。)
こんのすけ曰く、私は強い霊力の持ち主らしく、審神者にはピッタリとの事。
時の政府と契約して審神者になってよ!と告げるこんちゃん(こんのすけって長いんだもん。)に、そこはかとない黒幕臭を感じた私は(同じニトロプラスだし。)。
ゲームと分かっていても素直に頷くことが出来ず、あれこれと条件を出した。
しかし、審神者不足は深刻らしく、何の躊躇いもなく、あっさりとそれは承諾され、終いには「他にご要望はありませんか?」とまで告げられた。
そこからは、あっという間の出来事だった。
瞬きをした瞬間、見慣れた自室は一変、視界には、見事な日本庭園が映っていて。
最近のゲームはVRも搭載しているのかと、唖然とする私に対し、こんちゃんは「此処が主さまの本丸です。」と告げた。
愛されたい系男士の加州清光を初期刀に選び、初鍛刀で、女の子のように可愛らしい(これが俗に言う、男の娘…!)、乱藤四郎を顕現する事に成功した。
粗方の説明を終えたこんちゃんは、時の政府に報告する為に姿を消し、それを見送った私は、戦力を強化すべく、こんちゃんが置いて行った資料を元に、鍛刀する事にした。
本のページを捲りながら、何となく目に留まった、和泉守兼定の鍛刀を試みる事にし、黄金レシピとやらを試してみた―――ら。
「俺の名は三日月宗近。打ち除けが多い故、三日月と呼ばれる。よろしく頼む。」
とんでもなく美しい人がいらっしゃった。
「とりあえず三日月さん、」
「何だ?」
「一緒に写真撮りましょう。」
新たな刀剣男士を迎えたら、証拠としてツーショット写真を撮るように、こんちゃんから言われていた事を思い出し、ポケットからiPhoneを取り出す。
見慣れないiPhoneを、不思議そうに見つめる三日月さんの隣に移動し、カメラを起動させるも、背が高い三日月さんの顔がカメラに写らない。
三日月さんに屈んでもらおうと、声をかけようとしたところで、不意に三日月さんが、私が手にしていたiPhoneをそっと手に取った。
「ここを押せば良いのか?」
「え?うん、そう。」
「ふむ…」
何やら納得したらしい三日月さんは、私の肩に手を添えて屈むと、iPhoneを構えた。
自ずと近付く綺麗な顔に、内心どぎまぎしつつ、平然を装いながら、カメラに目を向ける。
カシャッと音が鳴り、手渡されたiPhoneの画面には、手ブレもなく、綺麗に撮れたツーショットが写し出されていた。
写真を保存し、こんちゃんに報告のメールを打つ様子を、三日月さんが隣から覗き込んでいると、清光が割って入る。(「ちょっと、いつまでくっ付いてる気?いい加減、離れてよね!」)
それを視界の隅で捉えながら、作成したメールを送信した―――途端。
「主さま!!」
「お帰りこんちゃん。メール見た?」
「だから戻って来たのです!」
何やら酷く慌てているらしいこんちゃんは、私の傍に佇む三日月さんを目にすると、更に慌て始めた。
こんちゃんを抱き上げ、落ち着くように頭を撫でてやれば、程なくして、落ち着きを取り戻したこんちゃんは口を開いた。
「三日月宗近はレア中のレア…鍛刀でもドロップでも、滅多にお目にかかれない激レアです!審神者の中に、どれほどの三日月難民がいる事か…!!」
「マジか。」
思わず三日月さんに目を向ければ、にこりと微笑まれた。うん、激レアなのも頷けるほどの美しさだ。
そんな激レア男士を、就任初日に呼んだとなれば、こんちゃんが慌てていたのも納得がいく。
それと同時に、先程からずっと、清光が不機嫌そうな、それでいて、不安げな表情をしている事も。
愛される事を強く望む清光は、三日月さんが顕現された事により、自分が愛されなくなる事を恐れているのだろう。
「(そんな事ないのに。)」
激レアであろうとなかろうと、自分の元に来てくれた、大切な者である事に変わりはない。
清光の頭を撫でてやれば、それが伝わったのか、嬉しそうに微笑んだ。可愛い。
「右も左も分からない新人審神者ですが、どうぞよろしくお願いします。」
こうして、私は審神者に就任したのだった。
しかし、最初のこんちゃんの説明をほとんど聞いていなかった為、早々に業務に支障をきたす事になったのは、また別のお話。
あとがき
とうらぶ沼にハマって抜け出せないので、とりあえず書き始めました。
三日月さんが大好きです!!!
水無月藍那
2017/01/30
▼special thanks!!
00351
曖昧きす
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