波羅夷 空却
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子猫とお別れをした最初の夜。
空却くんのお母さんにお風呂で身体をキレイにしてもらい、部屋に向かうと空却くんはすでに布団の中に入っていた。
近づいていくとすでにウトウトと微睡んでいる空却くん。昨日は子猫との別れを惜しんであまり眠れなかったから、とても眠たかったのだろう。
毛布の端から布団の中に入ると、私に気付いた空却くんが頭を撫でてくれる。そして「おやすみ」と言って電気を消した。
子猫が来てからは近くにはいたけれど、同じ布団では寝ていなかったのでなんだか久しぶりだ。私は、常に一緒だった小さいぬくもりが感じられないことが寂しくて、前に空却くんと一緒に寝ていた時よりも近い位置で身体を丸めた。
するとすぐに空却くんの寝息が聞こえる。空却くんはとても寝つきがいい。普段から禅を組んだりして集中力を鍛えているからだろう。今回は寝不足だったっていうのもあるだろうけれど。眠った空却くんに寄り添って私も目を閉じる。子猫も新しい環境で眠れているだろうか。
みぃみぃと聞きなれた声がして目を覚ます。子猫がミルクを欲しがっている。起きて空却くんに知らせないと。
目を開けると聞こえたのは空却くんの寝息だけ。子猫の姿はなかった。
そうだ、聞こえるはずがないのだ。子猫はもう、新しい家族の元へ行ったのだから。
夢…空耳だ。最近は眠っていても子猫の鳴き声にすぐ気付けるようにどこかずっと気を張っていたから。その感覚がまだ抜けないのだろう。
続けてお別れした時の子猫の鳴き声を思い出して、とても寂しくなってしまう。後悔はないし、覚悟もしていたのだけれど、やっぱり寂しいのだ。みんなに見守られて、すくすくと育っていくあの子がとても愛おしくて堪らなかったのだから。
「…みゃぁう」
寂しさに身体を縮こまらせていると聞こえた声。
「…寝れねェの?」
気付くと空却くんがこちらをじっと見ていた。そして腕を伸ばして頭を撫でてくれる。
「なぁう」
優しく頭を撫でてくれる感覚が心地よく、目を細める。
すると、空却くんが私に向き合うように仰向けから横向きに体勢を変える。
「ん」
自身の胸の前のスペースをポンポンと叩く空却くん。
おいで、という意味なのだろう。
叩かれたスペースに移動すると、空却くんが優しく身体を抱き込んでくれる。
ただ寄り添ってくれる優しさと、空却くんの体温に、寂しさが溶けていくように感じた。頭を撫でてくれる心地よい感覚に気付けば私は眠りについていた。