碧棺 左馬刻
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飴村乱数を事務所に残し、俺たちはコンテナヤードに向かった。
向かう車内で飴村乱数と通話をして、犯人の情報を共有する。
みょうじさんを攫ったのは、シブヤ在住の看護師の男だという。
両親はすでに他界しており、妹と暮らしていたのだが、その妹も二か月前に亡くなっている。妹が交際していた男が組の構成員だったようで事件に巻き込まれたらしい。
妹の交際相手はとても情が厚く、他の構成員からも信頼を集めていた。しかし、交際相手が所属する組で薬の横流しが発覚した。それを行っていたのが交際相手の親友の男だったらしい。組からの忠告も聞かず、他の地区でも薬を横流しするようになった男は、火貂組と対立。火貂組と争いを起こしたくない男の所属する組は、男を破門とした。一人で火貂組からの追手から逃げることになった親友を、その交際相手は見限らなかった。逃亡を手助けした。中々男を捕まえることができなかった火貂組は、落とし前をきっちりつけるべく、左馬刻を粛清に向かわせた。
『でもこの話、いくら調べても不自然なとこで終わっててさ~サマトキが粛清に向かった、ってだけで粛清したとは誰も言ってないんだよね~』
「どうなんだ左馬刻、身に覚えあるのか?」
「…あぁ、親父から頼まれて向かった時には三人とも死んでやがった」
逃亡しているのは男二人と聞いていたのに、居場所を突き止めて向かった時には当事者二人は死んでいて、話に聞いていない女性も亡くなっていたというので、気分が悪かったのをよく覚えているらしい。
『薬を横流ししてた男自身も薬をやってたっていう情報があるんだよ。当時の警察の捜査だと全員拳銃で撃たれての失血死。拳銃からはその男の指紋しか出なかったっていうから、追い込まれたその男が錯乱して銃を発砲っていうのが真相かな』
犯人は左馬刻が粛清に向かったってところまでしか情報を手にしていないのか、もしくは左馬刻が粛清に向かわなければ追い込まれることもなかったという逆恨みか…どちらにせよ、薬物でまた人が死んで、今もなおまったく関係のない人が命の危険にさらされている事実に腸が煮えくり返る。
飴村乱数にはこのまま事務所で待機してもらい、何か情報が入ったら知らせてもらうことにして通話を終了する。
「しかし結局、まだ犯人の居場所が割れてない以上、お前をひとりで行かせるしかないのか…」
「はっ、なんだ心配してくれンのか?うさちゃんよォ」
「お前な…!」
人の気も知らないでからかってくるコイツに腹を立てていると、後部座席から笑う声が聞こえた。
「よかった、笑顔が戻ったな左馬刻」
「本当ですよ。みょうじさんのこととなるといつも以上に考えなしで突っ走るんですから」
そう言うとバツが悪そうに眼をそらす。一応自覚はあるらしい。
「銃兎、コンテナヤードに着いたら車の中で連絡を待ってくれ。小官は敵の位置を把握し、内情を探る。犯人と呼び出した連中の連携が不十分であれば敵を制圧する」
「わかった。理鶯、カメラにも十分注意を払ってください。犯人の目的は左馬刻への復讐…苦しむところが見たいのなら、おそらく中継させているはず」
「あぁ」
左馬刻を呼び出した男は攫った犯人ではないのだろう。居場所を掴めていない俺たちにわざわざ居場所を教えてくれるような真似はしない。安全なところで自分以外の奴に荒いことをさせるのだから、少し頭が回る分やっかいだ。最悪なのは呼び出した連中が犯人について何も知らないこと。情報を掴む手掛かりが途切れてしまう。飴村乱数がシブヤのアンダーグラウンドに精通していることはこの短時間でわかったが、それがどこまで通用するか…
コンテナヤードの少し外れに車を着ける。左馬刻がドアに手をかける。
「…二人とも頼むわ」
「あぁ」
「任せろ」
まぁ、相手が誰であろうとウチのリーダーに手は出させない。
この男が不器用なりに、絶妙な距離を保ってでも守ろうとした彼女も、必ず助け出す。
そのために俺も、理鶯も来たのだから。
頭がぼんやりとする中、体の痛みを感じて目を覚ましました。
気付くと私は椅子に座っていて、体が動かせません。少し離れたところに男性がひとり、モニターを静かに見ていらっしゃいます。
なぜこのような状況になっているのでしょう。確か私は、理鶯さんの野営地にお邪魔して武術の型を教えて頂きました。そのあと、入間さんに車で送って頂いて、部屋に入って…
そこまで思い出してヒュッと息を詰まらせます。そうでした、誰かの気配を感じて慌てて外に出ようとしたところで首に衝撃を感じて…
私は今まで気を失っていたのでしょうか?だとすると、私はモニターを見ているこの男性に攫われたということでしょうか?
「あ、あの!」
緊張で少し声が震えます。
「あなたは誰、ですか…?」
振り返った男性が、とても平淡な声で言いました。
「ちょうどいい、アンタも見るか?」
「碧棺左馬刻が苦しむところ」
向かう車内で飴村乱数と通話をして、犯人の情報を共有する。
みょうじさんを攫ったのは、シブヤ在住の看護師の男だという。
両親はすでに他界しており、妹と暮らしていたのだが、その妹も二か月前に亡くなっている。妹が交際していた男が組の構成員だったようで事件に巻き込まれたらしい。
妹の交際相手はとても情が厚く、他の構成員からも信頼を集めていた。しかし、交際相手が所属する組で薬の横流しが発覚した。それを行っていたのが交際相手の親友の男だったらしい。組からの忠告も聞かず、他の地区でも薬を横流しするようになった男は、火貂組と対立。火貂組と争いを起こしたくない男の所属する組は、男を破門とした。一人で火貂組からの追手から逃げることになった親友を、その交際相手は見限らなかった。逃亡を手助けした。中々男を捕まえることができなかった火貂組は、落とし前をきっちりつけるべく、左馬刻を粛清に向かわせた。
『でもこの話、いくら調べても不自然なとこで終わっててさ~サマトキが粛清に向かった、ってだけで粛清したとは誰も言ってないんだよね~』
「どうなんだ左馬刻、身に覚えあるのか?」
「…あぁ、親父から頼まれて向かった時には三人とも死んでやがった」
逃亡しているのは男二人と聞いていたのに、居場所を突き止めて向かった時には当事者二人は死んでいて、話に聞いていない女性も亡くなっていたというので、気分が悪かったのをよく覚えているらしい。
『薬を横流ししてた男自身も薬をやってたっていう情報があるんだよ。当時の警察の捜査だと全員拳銃で撃たれての失血死。拳銃からはその男の指紋しか出なかったっていうから、追い込まれたその男が錯乱して銃を発砲っていうのが真相かな』
犯人は左馬刻が粛清に向かったってところまでしか情報を手にしていないのか、もしくは左馬刻が粛清に向かわなければ追い込まれることもなかったという逆恨みか…どちらにせよ、薬物でまた人が死んで、今もなおまったく関係のない人が命の危険にさらされている事実に腸が煮えくり返る。
飴村乱数にはこのまま事務所で待機してもらい、何か情報が入ったら知らせてもらうことにして通話を終了する。
「しかし結局、まだ犯人の居場所が割れてない以上、お前をひとりで行かせるしかないのか…」
「はっ、なんだ心配してくれンのか?うさちゃんよォ」
「お前な…!」
人の気も知らないでからかってくるコイツに腹を立てていると、後部座席から笑う声が聞こえた。
「よかった、笑顔が戻ったな左馬刻」
「本当ですよ。みょうじさんのこととなるといつも以上に考えなしで突っ走るんですから」
そう言うとバツが悪そうに眼をそらす。一応自覚はあるらしい。
「銃兎、コンテナヤードに着いたら車の中で連絡を待ってくれ。小官は敵の位置を把握し、内情を探る。犯人と呼び出した連中の連携が不十分であれば敵を制圧する」
「わかった。理鶯、カメラにも十分注意を払ってください。犯人の目的は左馬刻への復讐…苦しむところが見たいのなら、おそらく中継させているはず」
「あぁ」
左馬刻を呼び出した男は攫った犯人ではないのだろう。居場所を掴めていない俺たちにわざわざ居場所を教えてくれるような真似はしない。安全なところで自分以外の奴に荒いことをさせるのだから、少し頭が回る分やっかいだ。最悪なのは呼び出した連中が犯人について何も知らないこと。情報を掴む手掛かりが途切れてしまう。飴村乱数がシブヤのアンダーグラウンドに精通していることはこの短時間でわかったが、それがどこまで通用するか…
コンテナヤードの少し外れに車を着ける。左馬刻がドアに手をかける。
「…二人とも頼むわ」
「あぁ」
「任せろ」
まぁ、相手が誰であろうとウチのリーダーに手は出させない。
この男が不器用なりに、絶妙な距離を保ってでも守ろうとした彼女も、必ず助け出す。
そのために俺も、理鶯も来たのだから。
頭がぼんやりとする中、体の痛みを感じて目を覚ましました。
気付くと私は椅子に座っていて、体が動かせません。少し離れたところに男性がひとり、モニターを静かに見ていらっしゃいます。
なぜこのような状況になっているのでしょう。確か私は、理鶯さんの野営地にお邪魔して武術の型を教えて頂きました。そのあと、入間さんに車で送って頂いて、部屋に入って…
そこまで思い出してヒュッと息を詰まらせます。そうでした、誰かの気配を感じて慌てて外に出ようとしたところで首に衝撃を感じて…
私は今まで気を失っていたのでしょうか?だとすると、私はモニターを見ているこの男性に攫われたということでしょうか?
「あ、あの!」
緊張で少し声が震えます。
「あなたは誰、ですか…?」
振り返った男性が、とても平淡な声で言いました。
「ちょうどいい、アンタも見るか?」
「碧棺左馬刻が苦しむところ」