山田 一郎
夢小説設定
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「覚悟しなさい。もうすぐ警察も到着するわ」
そう告げると男たちは一目散に逃げて行った。
事の始まりは夕飯の材料を買いにスーパーに出かけたこと。
店の営業が終わり、二階の自宅に戻ると夕飯の材料が何もないことに気付いた。何かインスタントで済ませようかとも思ったのだけれど、普段人に食事の大切さを伝えている以上自身の食事も疎かにできないなと思い、スーパーに食材を買いに行くことにした。
私がカフェを経営している付近は割と路地が入り組んでいる。隠れ家的な感じで気に入っているけれど防犯面でいったら少し不安かもしれない。街頭もぼんやりとしか届かないところもある。何気なく視線をやった先で一人の男の人を三人の男が囲んでいるところが見えた。囲まれている男性は蹲り、お腹を押さえている。明らかに暴行を受けている。周りに助けを求められる人はいない。まずは警察に通報しようかと電柱の住所を確認する。携帯を取り出したところで男たちの内一人がいまだ蹲っている男性の頭を連続で蹴り始めたのを見てすぐ助けに入る。
「警察を呼びました。それ以上暴力を振るわないでください」
はじめ声を掛けられたことに驚いていた男たちだが、声をかけたのが私一人だとわかると途端にニヤニヤと顔に笑みを浮かべた。
「アンタ一人で声かけてきたの?勇気あるねぇ」
「おねえさんが相手してくれるの?」
(話し合いで引いてくれる相手じゃないか…)
一人の男が私に触れようと手を伸ばしてきたので捻りあげて地面に伏させる。
「痛ェ!!」
「何しやがるこの女ァ!!!」
残りの男たちが殴りかかってきたのでその力を利用して投げ飛ばす。二人目を投げ飛ばしたところで地面に伏していた男が後ろから覆いかぶさろうとしてきたので、振り向きざま肘で思いっきり打ち込む。狙うは鼻骨。鼻を押さえて蹲る男。残りの投げ飛ばされた男たちも私に攻撃が当たらないと思ったのか、焦りの表情を浮かべていた。そんな男たちを真正面から見据える。
「覚悟しなさい。もうすぐ警察も到着するわ」
そうして冒頭に戻る。
「あの、大丈夫ですか?」
「うす!これぐらい大丈夫っす」
念のため怪我の具合を見させてもらう。殴られ蹴られで痣になっているところはあるものの大丈夫そうだ。
やたらと目を輝かせて質問に答えてくれる男性は、こうして見るととても若い。成人してるかしてないかぐらいの年齢だろう。金髪と笑顔が眩しい青年だ。
「念のため病院に行ってくださいね」
「いや、大丈夫っす!こんなんで病院に行ってたらいつまでもアニキに認めてもらえねぇ…」
「アニキ?」
「うす!碧棺左馬刻っていう俺が尊敬してるアニキっす!」
まさかの知り合いの部下さんだった。
「じゃあ、あなた左馬刻さんのところの組員さん?」
「アニキのこと知ってるんすか?!」
そこからは部下くんのアニキのすごい話が始まり、中々終わりそうにないので携帯で左馬刻さんに連絡しておく。
「俺、アニキに憧れてるんスけど、喧嘩弱くて…」
しょんぼりとしている部下くんを見てワンコを連想してしまった。左馬刻さんもこのワンコさにやられたのだろう。
「強さに憧れるのもわかるけど、自分の身体のことも大事にしてね」
まさかそんなこと言われると思っていなかったのか、部下くんはキョトンと目を瞬かせた。
「俺みたいのにそんなこと言うなんて、姐さん変わってますね!」
「姐さん?!」
そんな呼び方をされたことにびっくりしていると、部下くんの携帯が鳴る。
携帯に表示された名前を見て慌てて出た部下くんの携帯から怒号が聞こえる。ずっとすみませんと元気よく謝罪していた部下くんが(メンタル強い)携帯を差し出してくる。
「アニキが姐さんに代われって」
携帯を受け取り耳に当てる。
「左馬刻さん?」
「なまえか?お前怪我してねぇな?」
「ふふ、大丈夫ですよ」
まず私の無事を確認してくるあたり、優しいんだよなぁ。
「でも、部下くんが怪我しちゃってて…」
「誰か迎えに寄越すわ、適当なとこで待ってろって伝えてくれ」
「そしたら私の店で待ってます!応急手当もしたいので」
「…頼むわ」
最後にもう一度代わってくれと言われたので部下くんに携帯を返す。二言くらいやりとりをして部下くんは携帯をしまった。
「そうしたらお店に行こうか、歩ける?」
「うす!」
「お名前は?」
「ノブっす!」
それからお店に戻るまでとお迎えが来るまでの間、ノブくんは色々と話してくれた。そもそもなんで喧嘩に発展したのか聞くと、イケブクロに所用があって歩いていたらさっきの三人組が左馬刻さんのことをあることないこと言っていて頭にきて物申しにいったらしい。
応急手当も終わった頃、無事にお迎えが来てノブくんは引き取られていった。
アニキみたいに立派な男になりますと元気よく宣言してくれたノブくんだが、あまり危ないことはしてほしくないなぁと思った。
そう告げると男たちは一目散に逃げて行った。
事の始まりは夕飯の材料を買いにスーパーに出かけたこと。
店の営業が終わり、二階の自宅に戻ると夕飯の材料が何もないことに気付いた。何かインスタントで済ませようかとも思ったのだけれど、普段人に食事の大切さを伝えている以上自身の食事も疎かにできないなと思い、スーパーに食材を買いに行くことにした。
私がカフェを経営している付近は割と路地が入り組んでいる。隠れ家的な感じで気に入っているけれど防犯面でいったら少し不安かもしれない。街頭もぼんやりとしか届かないところもある。何気なく視線をやった先で一人の男の人を三人の男が囲んでいるところが見えた。囲まれている男性は蹲り、お腹を押さえている。明らかに暴行を受けている。周りに助けを求められる人はいない。まずは警察に通報しようかと電柱の住所を確認する。携帯を取り出したところで男たちの内一人がいまだ蹲っている男性の頭を連続で蹴り始めたのを見てすぐ助けに入る。
「警察を呼びました。それ以上暴力を振るわないでください」
はじめ声を掛けられたことに驚いていた男たちだが、声をかけたのが私一人だとわかると途端にニヤニヤと顔に笑みを浮かべた。
「アンタ一人で声かけてきたの?勇気あるねぇ」
「おねえさんが相手してくれるの?」
(話し合いで引いてくれる相手じゃないか…)
一人の男が私に触れようと手を伸ばしてきたので捻りあげて地面に伏させる。
「痛ェ!!」
「何しやがるこの女ァ!!!」
残りの男たちが殴りかかってきたのでその力を利用して投げ飛ばす。二人目を投げ飛ばしたところで地面に伏していた男が後ろから覆いかぶさろうとしてきたので、振り向きざま肘で思いっきり打ち込む。狙うは鼻骨。鼻を押さえて蹲る男。残りの投げ飛ばされた男たちも私に攻撃が当たらないと思ったのか、焦りの表情を浮かべていた。そんな男たちを真正面から見据える。
「覚悟しなさい。もうすぐ警察も到着するわ」
そうして冒頭に戻る。
「あの、大丈夫ですか?」
「うす!これぐらい大丈夫っす」
念のため怪我の具合を見させてもらう。殴られ蹴られで痣になっているところはあるものの大丈夫そうだ。
やたらと目を輝かせて質問に答えてくれる男性は、こうして見るととても若い。成人してるかしてないかぐらいの年齢だろう。金髪と笑顔が眩しい青年だ。
「念のため病院に行ってくださいね」
「いや、大丈夫っす!こんなんで病院に行ってたらいつまでもアニキに認めてもらえねぇ…」
「アニキ?」
「うす!碧棺左馬刻っていう俺が尊敬してるアニキっす!」
まさかの知り合いの部下さんだった。
「じゃあ、あなた左馬刻さんのところの組員さん?」
「アニキのこと知ってるんすか?!」
そこからは部下くんのアニキのすごい話が始まり、中々終わりそうにないので携帯で左馬刻さんに連絡しておく。
「俺、アニキに憧れてるんスけど、喧嘩弱くて…」
しょんぼりとしている部下くんを見てワンコを連想してしまった。左馬刻さんもこのワンコさにやられたのだろう。
「強さに憧れるのもわかるけど、自分の身体のことも大事にしてね」
まさかそんなこと言われると思っていなかったのか、部下くんはキョトンと目を瞬かせた。
「俺みたいのにそんなこと言うなんて、姐さん変わってますね!」
「姐さん?!」
そんな呼び方をされたことにびっくりしていると、部下くんの携帯が鳴る。
携帯に表示された名前を見て慌てて出た部下くんの携帯から怒号が聞こえる。ずっとすみませんと元気よく謝罪していた部下くんが(メンタル強い)携帯を差し出してくる。
「アニキが姐さんに代われって」
携帯を受け取り耳に当てる。
「左馬刻さん?」
「なまえか?お前怪我してねぇな?」
「ふふ、大丈夫ですよ」
まず私の無事を確認してくるあたり、優しいんだよなぁ。
「でも、部下くんが怪我しちゃってて…」
「誰か迎えに寄越すわ、適当なとこで待ってろって伝えてくれ」
「そしたら私の店で待ってます!応急手当もしたいので」
「…頼むわ」
最後にもう一度代わってくれと言われたので部下くんに携帯を返す。二言くらいやりとりをして部下くんは携帯をしまった。
「そうしたらお店に行こうか、歩ける?」
「うす!」
「お名前は?」
「ノブっす!」
それからお店に戻るまでとお迎えが来るまでの間、ノブくんは色々と話してくれた。そもそもなんで喧嘩に発展したのか聞くと、イケブクロに所用があって歩いていたらさっきの三人組が左馬刻さんのことをあることないこと言っていて頭にきて物申しにいったらしい。
応急手当も終わった頃、無事にお迎えが来てノブくんは引き取られていった。
アニキみたいに立派な男になりますと元気よく宣言してくれたノブくんだが、あまり危ないことはしてほしくないなぁと思った。