山田 一郎
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私が経営しているカフェは毎週水曜日が定休日だ。いつも精一杯働いてくれている従業員の子たちがゆっくり休めるように、そしてよりよいコーヒーや食事をお客様に提供できるように新たなメニューの試みや新たなコーヒーの思案、コーヒー豆を扱っているお店にも積極的に行くようにしている。そしてもう一つ、定休日にしか来ない特別なお客様をお出迎えするために。
「相変わらずうめぇな」
「ありがとうございます。私も左馬刻さんが淹れてくれるコーヒー好きですよ」
「本業の奴が何言ってやがる」
今日も颯爽とアロハシャツを着こなし来店してくれたのは、みなさんご存知ヨコハマデビジョンの碧棺左馬刻さんだ。
左馬刻さんとは一郎がTDDにいるときからの付き合いだ。出会ったきっかけは一郎と、それから左馬刻さんが超絶可愛がっている、これまた超絶かわいい妹の合歓ちゃんだ。
合歓ちゃんが柄の悪い男たちに絡まれているところを通りがかった私が助けたのが始まり。男たちを合気道で退散させたすぐ後に合歓ちゃんと待ち合わせしていたお友達が駆けつけ、これならもう大丈夫だろうと急いでいたのもあり、名乗ることもせず別れたのだが、その話を聞いた左馬刻さんが絶対特定すると本気を出し、その話をTDDが集まった時に話したら一郎が心当たりがあると私を呼び出し、私と左馬刻さんは出会ったのである、割とあっさり。一郎に左馬刻さんの話からよく私と結びついたねって言ったら、合気道で男たちを退散させられる女の人なんてアンタぐらいだよって言われた。
「左馬刻さん、ちゃんとご飯食べてます?」
「あ?」
「たばことコーヒーはご飯じゃないんですからね?ちゃんと食べてくださいよ」
「…わかったよ」
合歓ちゃんと暮らしていたときは、合歓ちゃんがご飯を作ったり、合歓ちゃんのために料理を作ったりしてきちんと食べる習慣があったのだろう。しかし、合歓ちゃんと離れて暮らすようになってからは少しあやしい。自分のために料理しなさそうだし。合歓ちゃんからもお兄ちゃんがちゃんと食事してるか心配だって話を聞いている。
「で、何食べます?」
「任せる」
「じゃあ当店で一番高いメニューで!まいどあり~」
「ハッ、相変わらず太ェヤローだな」
左馬刻さんは一度懐に入れたものに関しては基本優しいと思う。そして穏やかだ。左馬刻さんの懐に入れてもらっているかはわからないが、こんな風に冗談を許してもらえるくらいには気を許してくれているのだろうと思う。
一郎と仲違いをした後もこうして通ってくれているし、私から一郎の話をしても怒ることはしない。嫌な顔はするけれど。一郎からTDD解散の話を聞いたとき、もう会えなくなるのかなと寂しく思ったけれど、解散して暫くして顔を見せてくれ、こうして今も通い続けてくれている。
一郎と左馬刻さんのやりとりを見るのが好きだった。二人とも互いに信頼し合っていたから。それが見れなくなってしまったことはさびしいけれど、お互いに譲れないものがあるのだ。それを思うとしょうがないとも思う。いつか和解してほしいと思うけれど、それは当人同士の問題であり、私がどうこうする問題ではない。一度、左馬刻さんからなんで普通なんだよと聞かれたことがある。この時にはもう私は一郎と付き合っていたから、その一郎と仲違いした自分と今まで通り接する私を疑問に思ったのだろう。その時に「私と左馬刻さんの関係に一郎は関係ないじゃないですか」って答えたら、左馬刻さんは笑ったんだ。「そうか」って吐息をこぼすように言ってとても穏やかに。一郎にももちろん左馬刻さんがうちのカフェに通ってくれていることは話してある。「人間関係は一対一」という私の考えを知っているから一郎はそれを受け止めてくれている。たまに複雑そうな顔をするけどね。
用意した食事を左馬刻さんがきれいに食べ終わると、店の前に一台の黒塗りの高級車が停まる。どうやらお迎えらしい。
「今日お会計いいですよ」
「あ?何遠慮してんだ」
「ちがいます~そのかわり今度また中華街に連れて行ってもらっておいしいものをごちそうになろうっていう魂胆です~」
「隠す気もねぇな」
しょうがねぇなと満更でもなさそうに席をたつ左馬刻さんにもう一つ。
「左馬刻さんこれどうぞ」
タンブラーを二つ手渡すと疑問符を浮かべてこちらを見る左馬刻さん。
「コーヒーの試飲お願いします。割と癖のない飲みやすさなので、よければお迎えに来てくれた方にも!安全運転でお願いしますって伝えてください」
返品は受け付けないとばかりに手を後ろで組むと、意図をくみ取ってくれた左馬刻さんは出口に向かっていく。
「ありがとな」
「いいえ~!それまた持ってきてくれたらテイクアウトも受け付けますので!あと、感想も聞かせてください」
「あぁ」
そういって店をあとにした左馬刻さんからその日のうちに今度の土曜日夜空けとけという連絡とコーヒーの感想が送られてきた。すぐまた会うのにわざわざ文章にして感想送ってくれるのだから、本当律儀な人である。
「相変わらずうめぇな」
「ありがとうございます。私も左馬刻さんが淹れてくれるコーヒー好きですよ」
「本業の奴が何言ってやがる」
今日も颯爽とアロハシャツを着こなし来店してくれたのは、みなさんご存知ヨコハマデビジョンの碧棺左馬刻さんだ。
左馬刻さんとは一郎がTDDにいるときからの付き合いだ。出会ったきっかけは一郎と、それから左馬刻さんが超絶可愛がっている、これまた超絶かわいい妹の合歓ちゃんだ。
合歓ちゃんが柄の悪い男たちに絡まれているところを通りがかった私が助けたのが始まり。男たちを合気道で退散させたすぐ後に合歓ちゃんと待ち合わせしていたお友達が駆けつけ、これならもう大丈夫だろうと急いでいたのもあり、名乗ることもせず別れたのだが、その話を聞いた左馬刻さんが絶対特定すると本気を出し、その話をTDDが集まった時に話したら一郎が心当たりがあると私を呼び出し、私と左馬刻さんは出会ったのである、割とあっさり。一郎に左馬刻さんの話からよく私と結びついたねって言ったら、合気道で男たちを退散させられる女の人なんてアンタぐらいだよって言われた。
「左馬刻さん、ちゃんとご飯食べてます?」
「あ?」
「たばことコーヒーはご飯じゃないんですからね?ちゃんと食べてくださいよ」
「…わかったよ」
合歓ちゃんと暮らしていたときは、合歓ちゃんがご飯を作ったり、合歓ちゃんのために料理を作ったりしてきちんと食べる習慣があったのだろう。しかし、合歓ちゃんと離れて暮らすようになってからは少しあやしい。自分のために料理しなさそうだし。合歓ちゃんからもお兄ちゃんがちゃんと食事してるか心配だって話を聞いている。
「で、何食べます?」
「任せる」
「じゃあ当店で一番高いメニューで!まいどあり~」
「ハッ、相変わらず太ェヤローだな」
左馬刻さんは一度懐に入れたものに関しては基本優しいと思う。そして穏やかだ。左馬刻さんの懐に入れてもらっているかはわからないが、こんな風に冗談を許してもらえるくらいには気を許してくれているのだろうと思う。
一郎と仲違いをした後もこうして通ってくれているし、私から一郎の話をしても怒ることはしない。嫌な顔はするけれど。一郎からTDD解散の話を聞いたとき、もう会えなくなるのかなと寂しく思ったけれど、解散して暫くして顔を見せてくれ、こうして今も通い続けてくれている。
一郎と左馬刻さんのやりとりを見るのが好きだった。二人とも互いに信頼し合っていたから。それが見れなくなってしまったことはさびしいけれど、お互いに譲れないものがあるのだ。それを思うとしょうがないとも思う。いつか和解してほしいと思うけれど、それは当人同士の問題であり、私がどうこうする問題ではない。一度、左馬刻さんからなんで普通なんだよと聞かれたことがある。この時にはもう私は一郎と付き合っていたから、その一郎と仲違いした自分と今まで通り接する私を疑問に思ったのだろう。その時に「私と左馬刻さんの関係に一郎は関係ないじゃないですか」って答えたら、左馬刻さんは笑ったんだ。「そうか」って吐息をこぼすように言ってとても穏やかに。一郎にももちろん左馬刻さんがうちのカフェに通ってくれていることは話してある。「人間関係は一対一」という私の考えを知っているから一郎はそれを受け止めてくれている。たまに複雑そうな顔をするけどね。
用意した食事を左馬刻さんがきれいに食べ終わると、店の前に一台の黒塗りの高級車が停まる。どうやらお迎えらしい。
「今日お会計いいですよ」
「あ?何遠慮してんだ」
「ちがいます~そのかわり今度また中華街に連れて行ってもらっておいしいものをごちそうになろうっていう魂胆です~」
「隠す気もねぇな」
しょうがねぇなと満更でもなさそうに席をたつ左馬刻さんにもう一つ。
「左馬刻さんこれどうぞ」
タンブラーを二つ手渡すと疑問符を浮かべてこちらを見る左馬刻さん。
「コーヒーの試飲お願いします。割と癖のない飲みやすさなので、よければお迎えに来てくれた方にも!安全運転でお願いしますって伝えてください」
返品は受け付けないとばかりに手を後ろで組むと、意図をくみ取ってくれた左馬刻さんは出口に向かっていく。
「ありがとな」
「いいえ~!それまた持ってきてくれたらテイクアウトも受け付けますので!あと、感想も聞かせてください」
「あぁ」
そういって店をあとにした左馬刻さんからその日のうちに今度の土曜日夜空けとけという連絡とコーヒーの感想が送られてきた。すぐまた会うのにわざわざ文章にして感想送ってくれるのだから、本当律儀な人である。