バーダック
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"遅くなる"
何にも悪びれることなくスマートフォンの画面に現れた文字にため息が落ちる。
今日で5回目だろうか…
もう少し早く言ってくれればいいのにと呟いてもそれを彼に送ろうとは思わない。
夜ご飯が明日の昼ご飯に決定してから仕事の帰りに買ってきた疲れた日に飲むいつものアルコールを喉に流し込む。
カチッと言う爽快な音を鳴らしても、そのドロリとした気分は何一つ変わらなかった。
多分、世に言う、浮気なのだろう。
今じゃ浮気がトレンドになっている様な世の中で、とうとう自分の番が来てしまったようだ。
3回目に遅くなると告げられたあの日、深夜に帰ってきた彼の首に赤い痕を見つけた朝のことだ。
内臓が潰れる様な全身が心臓になったんじゃないかと思うほどの鼓動と苦しさに襲われた。
だが、何故か彼に問いただすことが出来なかった。
いや、しなかったのだ。
嫌われたくなくて泣いた日も沢山あった。
そしていつからだろうか、他人事のように煮えくりかえるような嫉妬の感情に体が反応しなくなったのは。
___ ____
いつからだろうか、アイツが作り出した笑顔を俺に向けてきたのは…
正直、俺は恋愛っていうのがわからねぇ。
だが以前に、名前の同僚に名前を好いてる奴がいると知って激しく彼女を求めたことがある。
でもどうやらそれは名前に対する嫉妬とやらで、彼女を愛しているのは間違っていないんだろうと。
そう思っていた。
本来、そう受け入れるのか妥当なのだろうが、こんなに一人の人間に身体中が支配されたような感覚に恐怖を覚えた。そして、嫉妬に支配される自分自身が醜くて仕方なかった。
「嫉妬する奴は醜いよな」
ひょんなとこで恋愛の話をしたことがある。
その時の名前が少し傷ついた顔を見て自分の中の名前に対する嫉妬のどす黒い感情が軽くなるような快感をおぼえた。
それで、名前に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で溜息と一緒に本音を漏らしたことがある。
「俺は嫉妬は嫌いだ」と。
きっと名前には聞こえていないだろう。
名前は優しい。
俺なんかには勿体無いくらいにいい奴で、でも俺は名前を傷つけるような事を考えてしまった。俺に嫉妬させたい、と。
それからと言うもの、俺は何の前触れもなく遅くなると言い始めた。
今思えば馬鹿な事をしたと思った。
3回目、取引先との飲みに突然誘われ、晩飯を断るのを忘れた俺は必然的に3度目も名前を試すことになってしまったのだった。
まだ虫も飛び交う暑い夏だった。
そして名前はその3度目から変わってしまったのだ。これは名前に非は全くない。
したがって全て俺が悪い。
3回目の朝、1、2回目に見せていた拗ねた表情とは全く違う冷たい表情を見てから事の重大さに気付いた。
でももう遅過ぎたのだった。
...
"遅くなる"
何にも悪びれることなくスマートフォンの画面に現れた文字にため息が落ちる。
今日で5回目だろうか…
もう少し早く言ってくれればいいのにと呟いてもそれを彼に送ろうとは思わない。
夜ご飯が明日の昼ご飯に決定してから仕事の帰りに買ってきた疲れた日に飲むいつものアルコールを喉に流し込む。
カチッと言う爽快な音を鳴らしても、そのドロリとした気分は何一つ変わらなかった。
多分、世に言う、浮気なのだろう。
今じゃ浮気がトレンドになっている様な世の中で、とうとう自分の番が来てしまったようだ。
3回目に遅くなると告げられたあの日、深夜に帰ってきた彼の首に赤い痕を見つけた朝のことだ。
内臓が潰れる様な全身が心臓になったんじゃないかと思うほどの鼓動と苦しさに襲われた。
だが、何故か彼に問いただすことが出来なかった。
いや、しなかったのだ。
嫌われたくなくて泣いた日も沢山あった。
そしていつからだろうか、他人事のように煮えくりかえるような嫉妬の感情に体が反応しなくなったのは。
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いつからだろうか、アイツが作り出した笑顔を俺に向けてきたのは…
正直、俺は恋愛っていうのがわからねぇ。
だが以前に、名前の同僚に名前を好いてる奴がいると知って激しく彼女を求めたことがある。
でもどうやらそれは名前に対する嫉妬とやらで、彼女を愛しているのは間違っていないんだろうと。
そう思っていた。
本来、そう受け入れるのか妥当なのだろうが、こんなに一人の人間に身体中が支配されたような感覚に恐怖を覚えた。そして、嫉妬に支配される自分自身が醜くて仕方なかった。
「嫉妬する奴は醜いよな」
ひょんなとこで恋愛の話をしたことがある。
その時の名前が少し傷ついた顔を見て自分の中の名前に対する嫉妬のどす黒い感情が軽くなるような快感をおぼえた。
それで、名前に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で溜息と一緒に本音を漏らしたことがある。
「俺は嫉妬は嫌いだ」と。
きっと名前には聞こえていないだろう。
名前は優しい。
俺なんかには勿体無いくらいにいい奴で、でも俺は名前を傷つけるような事を考えてしまった。俺に嫉妬させたい、と。
それからと言うもの、俺は何の前触れもなく遅くなると言い始めた。
今思えば馬鹿な事をしたと思った。
3回目、取引先との飲みに突然誘われ、晩飯を断るのを忘れた俺は必然的に3度目も名前を試すことになってしまったのだった。
まだ虫も飛び交う暑い夏だった。
そして名前はその3度目から変わってしまったのだ。これは名前に非は全くない。
したがって全て俺が悪い。
3回目の朝、1、2回目に見せていた拗ねた表情とは全く違う冷たい表情を見てから事の重大さに気付いた。
でももう遅過ぎたのだった。
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