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「よし、飲み放題だから浴びるほど呑もう!」
「名前その言葉しっかり覚えておいてね!!」
今回もいつもの女性メンバーで集まっていると、メンバーの一人が名前に強くお酒を勧めてくる豪酒であり、今回も名前がその餌食となっていた。
「名前、二杯目何がいい?」
「うん? ああ、柑橘系もありかな~」
「名前もう出来上がってるんじゃない?」
「いつも誰よりも飲みたがってるのに1番お酒に弱いのは名前だもんね」
彼女達にとって名前がこうなるのは当たり前の事で、今も顔を真っ赤にしながらまだいけるなんて言っている名前を見て皆んなで笑うのがいつものお決まりだった。
「んで?あの彼とはどうなったの?」
「二人でご飯を食べに行くところまで成功した」
と皆んなそれぞれ持ってきた恋愛ドキドキシチュエーションの話は周りがだいぶほろ酔い雰囲気になってきたところで始まるのだ。
彼氏がいたりいなかったり、いろいろな話が飛び交う中、今回も真っ先に潰れた名前はニコニコしながら相槌を打つ。
「名前は、どうなの彼氏とは?」
うふふふふ~と気持ち悪いくらい幸せそうな顔をしてその幸せを説明し出す酔っぱらいに周りはハイハイ幸せそうで良かった、と簡潔に返事をしてお冷を頼んでやるのだった。
もう!と長く聞いてもらえなかった事でムッとしながらも、直ぐに届いたお冷を口にした後、ちょっとお花畑に行ってくるねと言い名前はふわふわとした足取りで席を外した。
名前が席を立ってから直ぐに飲み屋特有の木造のテーブルの隅に置かれていた名前の携帯から着信音が鳴った。
「だ、ダーリンって書いてあるんだけどw」
ほら、見てみて、と携帯の近くに座っていた豪酒の友人がその着信画面を他の友人に見せようと手にとったところ、誤って応答のボタンに触れてしまった。
「あ!もしもし....えっと、すみません。」
『… 名前?じゃないな』
何故か咄嗟に出てしまった友人は名前のそのダーリンと言う相手に今飲んでいる店の名前を教えてしまったのだった。
電話を切り、元に戻して数人で冷や冷やしながら数分で戻ってきた名前に今起きた出来事を説明した。
「う、そ…終わった」
この流れでは確実にここへ来ると理解した名前の赤くなった顔が少し青ざめてきた様子とは裏腹に周りは「何で?良いじゃん名前の彼氏見てみたい!」
とまた新しいお酒を注文するのだった。
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時間が1分また1分と経つ度に冷や汗が止まらない。
「ちょっ名前、大丈夫?」
「だ、大丈夫よ、女だけだし…」
実を言うと名前がお酒を鱈腹呑んで良いのはゴジータと一緒の時だけだと約束していたのだった。
そして今日は女友達しかいないからと、少量までの酒ならお許しを貰っていたのだが、バレないだろうと飲み放題にして呑んでしまった名前は、顔の赤さや発言、動作から酒の量がバレる事を恐れていた。
「名前水飲み過ぎると溺れるよ?ww」
「だ、大丈夫ですーっ」
ゴジータに直ぐに来られるとアルコールを分解するのに間に合わないため、兎に角ひたすらにお冷を飲んでアルコールを薄める作戦を実行する。
「あれ?名前ちゃん達じゃない?」
「え、そっちのグループも飲んでるんなら教えろよ」
直ぐ後ろから聞いたことのある男の声がして思わず固まる。振り向かなくてもわかる…同じ大学の男達だ。
女しか居ないと言っていた現場に男がいては元も子もない。ただでさえ嫉妬の凄いゴジータの事だ、今の状況を見たら必ず勘違いしてしまうだろう…
愛する人からの嫉妬は普通なら嬉しいものなのだが、ゴジータとなると話は別で、前に3日間離してもらえない事があったのだ。
不幸中の幸いなのかその3日目の月曜日は休日だったのだが、その次の日の火曜日の講義には間に合わなかった。
そんな事を考えている間に数人の男達が同じテーブルを囲いだした。
「ごめん、もう着いたと思うから」
先に帰らせてもらうねと近くの女の子達に耳打ちして自分の分のお金を出そうとバッグを開けた時、男の一人が名前の話題を持ち出したのだ。
「あれ、顔真っ赤になってんじゃん。酒、弱いの?」
「名前一番の飲みたがりなのにね、」
どうなの?と詰め寄ってくる男に
「ほら、あんたも飲みな」と逃げ道を作ってくれた彼女達に感謝をしながら席を立とうとしたその時、頭の後ろから聴き慣れてはいるがいつもより少し刺々した声が聞こえた。
「名前の電話に出てくれて助かった。」
これ、名前の分と少しだが酒のつまみの足しにしてくれと静かに白い封筒を机に置いた。
怖いくらいの営業スマイルでこちらを見ている姿にこれまでに無い身の危険を感じたのは言うまでもない。
周りの女性陣はかっこいいなどと言葉を漏らしているが今はそんなことはどうでもいい。
そう、次の月曜日は休日じゃないのだから。
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