第7話 森の〇〇さん
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「跡部くん、何故私について来るの?」
散策していた由良は足を止め、後ろからついて来る跡部に問いかける。
「俺様が一緒に行ってやるぜ」
「そう?夏希達と一緒に行けばいいのに、その方が楽しいわよ」
物好きねと、溜息をつく由良に跡部は苛ついた。由良と跡部は家の決めた婚約者とはいえ、跡部は由良のことが好きだからだ。しかし、由良はそのことには気づいていない。彼女はあらゆる事に聡いが、自分に対する好意にだけは鈍い。
「俺はお前『ギャアアア!!』」
自分の気持ちをはっきりと由良に伝えておこうと言葉を発した跡部だったが、まるでそれを邪魔するかのように悲鳴が聞こえた。
邪魔をされた跡部は舌打ちをした。
「……今の声は梓ね」
「向日の声も聞こえたな」
梓と向日に何かがあったらしい。
「……声はあちらから聞こえたわね」
由良が二人の声のした方を指す。
「向日くんが一緒とはいえ梓だもの。心配だわ」
「確かにな……。
(いくらなんでも間が悪いだろ、この間の柳の時といい、呪われてんじゃねぇか?)」
跡部は梓の心配などそっちのけで自分の呪いの心配をする。
「行きましょう、跡部くん」
「あ、あぁ…」
「あ…」
声のした方に行きかけた由良が突然跡部の方を振り返る。
「そういえば、兄が合宿のことを知っていたのだけれど、問題無いわよね」
「あーん?」
「いえ、何処かに出かけると言っていたから大丈夫だとは思うのだけれど」
まさかこの合宿に顔を出すなどということは無いだろうか。本人は暇ではないと言っていた。なら、恐らくは大丈夫なのだろうが。由良はそれが心配だった。由良の兄、和己は好奇心旺盛で直ぐに首を突っ込みたがる。一見梓のようだが、厄介なことに彼女と違い何を考えているか読めない。その上、頭も良い方なのでとんでもないことをしでかす。
「嫌な予感がするの。杞憂ですめばいいのだけれど」
「ああ、和己さんか…。まぁ、大丈夫だろ」
「そうよね…」
流石に和己は月城家の次男。育ちが良い方だ。跡部の許可も貰わず侵入などということはしないだろう。
「そろそろ梓の所に行きましょうか」
由良はそう言って梓の声のした方へ向き直り、進んでいく。それについて跡部も進む。