第7話 森の〇〇さん
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「ギャアアア!!」
「なんでこんなとこに…」
梓と向日の目の前には熊がいた。
森とはいえ跡部家の敷地に熊が出るとは思わなかった。だが現に今、二人の目の前にいるのは熊だ。
(梓を守らないと…。でも、どうやって…)
向日は梓を守りながら辺りを見渡す。しかし、彼の周りには武器になりそうな物がなかった。
「グオオオオ…!!」
熊が二人を睨み、梓と向日の二人も熊を睨む。
どれ程の時が経過したのかは向日には分からなかったが、急にドスッと変な音がした。
「ゔっ!!」
「え?」
そして、熊が斜めに傾いていく。
そのまま熊は音を立てて、横向きに倒れた。
「……?
(ってか、今どっかで聞いたような声がしたような…)」
熊の後ろには澪菜がいた。彼女は普段とは違う勇ましい表情をして立っていた。
そして後ろから鳳と日吉も来る。
「大丈夫?」
そう言って、澪菜は普段と同じ様な穏やかな表情に戻る。
「さすが、澪菜!!」
どうやら澪菜が熊を倒したようだ。
向日は驚きを隠せない。いや、向日だけではない。澪菜の後ろの鳳と日吉も同様のようで、驚いた表情で彼女を見ていた。
「…お前、すごいな…」
「そりゃそうだよ。
澪菜はアタシ達の中で二番目に強いからね!」
何故か梓が威張っている。
「これでも恵くんに空手を教わってるからね」
教わっているかいがあったねと、澪菜が笑う。
「いや、それでも普通は熊なんか倒せねーって!」
「普通なら、そうだよね」
「え?」
「だけどこの熊、背中にファスナーがあるんだよ」
「ファスナー…?」
澪菜は梓の悲鳴を聞き、慌てて走ってきたのだと言う。そして熊に襲われている梓と向日を見て、咄嗟に攻撃の体制をとった。
熊に攻撃を仕掛けようとした途中で熊の背中にファスナーを見つけた。だがもう攻撃を止めることはできず、中身が人だろうが梓達が襲われているに違いないのでそのまま攻撃したらしい。
向日が熊の背中を見ると確かにあった。
(つまり、澪菜は着ぐるみと分かったうえで思いきり攻撃したってことか。いやそもそも、本物の熊だったら流石に危なくねぇか)
向日はそれはそれで問題がある気がした。