「そう考えれば辻褄は合うな」

「確かに…」

「どうした？」

真田には澪菜と柳が何に納得したのか分からなかった。

「あ、ごめん、それで？」

「それで澪菜、お前は放課後に氷帝に行き、合宿の計画を立ててきてくれ」

「うん、分かった」

澪菜は快く了承する。

「おや、真田くん。
女性を一人で行かせるとは感心しませんね」

「そ、そうか」

クラスが違うはずの柳生が教室内にいて、抗議される。
彼の近くには、更に仁王もいた。

「あれ、二人共。何でこの教室に？」

澪菜が不思議に思い尋ねると、柳生は一冊の本を差し出した。

「以前読みたいと言っていた本を持ってきました」

澪菜は柳生に礼を言って本を受け取り、仁王の理由を待った。
しかし、仁王はそれは秘密だと、答えた。

「まぁ、いいか…。
あ、氷帝なら行ったことあるから一人で大丈夫だよ」

澪菜は一人で平気だと同行を遠慮する。
彼らには部活がある。
こういうのはマネージャーの仕事だからだ。

「じゃが、最近色々と物騒じゃしのぅ、俺がついてってやるぜよ」

「そうですね。それでは仁王くんについていって貰うと良いでしょう」

柳生がそう仁王の言葉を後押しするが、

「いいよ、雅治くん、部活あるでしょ。気持ちだけ貰っておくよ」

常勝を目標としている彼らの邪魔をしたくない、そう考えた澪菜は頑なに遠慮する。

「弦一郎、お前が行ってはどうだ？」

「む、そうだな。
跡部に挨拶しておくか」

「…そっか。
じゃあよろしくね」

跡部に挨拶をするという目的があるならばと、真田の同行を了承する。

「それじゃあ放課後に行ってくるから、部活頑張ってね」

そう言って、澪菜は三人に笑いかけた。