「夏希はどうなのさ!?」

夏希と梓は学校から直接由良の家に寄ったので、勿論夏希も通知表を持っている。

「あたしは関係ないだろ」

夏希は通知表をあまり見せたくないようで顔をそらす。

「いぃや、関係あるね！」

だが、梓も諦めない。夏希の顔を真っ直ぐに見つめる。

「大体…、国語４、数学２、理科３、社会４…」

夏希と梓の様子を見て、由良はぼそりと呟く。

「おい、何で…」

「…技術３、家庭科３、美術３、体育４…といったところかしら？」

「何で分かるんだ」

「あら、正解なのね。
あなたの授業態度、得意科目、そして、あなたの担任の性格から分析したただの私の予想だったのだけれど」

由良が言ったのは夏希の通知表の数字の予想。それは概ね当たっていたようだ。

「いや、違う学校なのに何であたしの担任の性格知ってんだよ」

「それで、由良はどうだったの？」

「まぁまぁね」

「へぇ、まぁまぁかぁ」

「由良のまぁまぁはオール５とかそんなだろ」

「！そうなの!?」

「まさか。例年通り体育は５では無かったわ」

「つまり、体育以外は５なんだろ！」

由良は運動はあまり得意ではないが、その他はほぼ完璧に出来る。夏希だって勉強はしている。由良がどれだけ勉強しているかは知らないが、夏希が努力しようが、由良のようには出来ないだろう。夏希は不機嫌そうにそっぽを向く。

「夏希、何拗ねてんのさ」

「拗ねてねぇよ」

「…あ、そういえば、合宿明日からだね」

夏希の様子を見て、澪菜は話を変える。

「そだね。澪菜は明日の準備出来た？」

「うん、何とかね」

今日、澪菜は由良の家に泊まる。
その為、今日までに準備を済ましておかないとならなかった。

「梓は？」

「何と！二日分まで出来たさ！」

梓はどうだと言わんばかりに仰け反る。

「合宿、一週間あるよ。あと五日分、大丈夫？」

「…ムリ、お手伝いモトム！」

梓はあっさりと諦め、助けを求める。