「さくらさま、ご報告です。瀞霊廷に旅禍が侵入したとのことです」

「この屋敷に向かっている者は現在確認されておりませんが、警備は増員致しましたので、ご安心を」

「もし異変などございましたら、侍女に」

今までの平穏からは考えられないほど切羽詰まった声が一日中響くこの瀞霊廷。死神達は駆け回り、貴族のものは屋敷から出ぬようにきつく言われた。

「砕蜂さんのところに、届け物をするのも…？」

「彼女には私どもが連絡いたしました、あちらもたいそうお忙しい様子です。落ち着き次第、顔を出すと」

「わかりました」

日常を奪われるというのは、人にとって最も恐ろしいことのように思う。
なんだかんだ、平和な日常が一番幸せなのに。

いまのように日常が崩れたのは…100年ほど前以来。あのときも、尸魂界は揺れていた。

誰もが日常を守ろうと生きているのに、部外者、時にはうちに潜む危険分子に、それを壊される。





でも、わたしには守りたい日常なんて、もう手元にはなかったのに。