空を見上げて
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「そんなもん知るか! 自分で考えや!」
ズバッと一言で、求めていたものは返ってこなかった。少し前に彼女の上司になったばかりではあるが、なんとなく返事の予想がついていたことが悲しい。
「だって、年頃の女の子の好みなんて、ボクにわかるわけないじゃないっスか」
「そんなん、本人にきくのが早いんちゃうか!? ウチにきいてわかると思ってたんか!?」
「ひよりサンだって、女の子じゃないっスか」
「喧嘩売っとんのかこのハゲ! 女の子ちゃうわ、女性や女性! れっきとした大人や!」
「その見た目でそう言われても…」
言葉を止めた瞬間に、鳩尾に拳が刺さる。確かにこの拳は、か弱い少女の出せるものでもない。だからといって、女性に出せるかと問われても、自分の昔馴染みの彼女以外には無理そうな気もする。
「そもそも急に何やねん、贈り物って。隠し子か!? 行きずりの女との間に子供でもおったんか!? 拾い子か!?」
「ボクを何だと思ってるんスかぁ」
これはあまりにもひどいのではなかろうか。彼女の出した考えの中に、一つとしてロクなものがなかった。知り合いの子、という考えは浮かばなかったのか。
彼女の思考の問題か、はたまた自分の普段の行いの問題か。
「ご令嬢ですよ、貴族の。ちょっとした伝手でお会いしまして。先日も、昇進のお祝いいただいたもんで、お返しをしようかと」
嘘ではないが、自分でも無意識に大事な部分を省略していたことに気づく。その部分を隠しておくことに特に意味はないはずなのに。相手方に迷惑をかけるわけでもないだろう。
「ははぁ、四楓院とこの姫さんか。二番隊長さんとは違うみたいやしな」
「まあ、そうっスね、夜一サンとは贈り物なんてしあうような感じじゃあ、ないですし。あれを『年頃の女の子』なんて、天地をひっくり返すしかないっスよぉ。それも無理がありそうですけど」
本人に聞かれたら、どうなるかは大抵予想がつく。
全身を人形の如くボコボコにされ…。この先は考えたくもない。
「そういえば、以前はぬいぐるみをあげたんスよ。喜んでくれてたみたいですけど、今回はどうするか」
「以前ていつや?」
「昇進の少し前ですが…」
「最近も最近やないか、そない物ばっかり贈ってどないするつもりや!?」
それもそんな気がする。もしかしたらこのあいだいただいたあの髪紐、あれがもし、ぬいぐるみのお返しだとしたら。
もしそうなら、自分が起こそうとしていた行動は、周りからすればひどく滑稽なものだ。このやりとりが延々と続いて行きかねない。
「じゃあ、どうしたらいいんスかぁ。もらいっぱなしなんて、ダメっスよぉ」
「何をいうとんねん、そいつかて、そう思ったからわざわざ、準備したんとちゃうんか? 逆に、また貰っても困るだけやろ」
確かに。言われてみればそうかもしれない。
「せっかく使いやすいものをもろたんやったら、実際に使ってるところを見せんのが、いいんちゃう? 自分の立場に置き換えて考え!」
昇進の報告をしに行ったときに、さくらサンが、自分があげたぬいぐるみを頬を染めて抱いた姿をみて、なんだか、胸が暖かくなったのを思い出す。
頼りになるうちの副官は、少しきつい物言いでも、的確なアドバイスをくれたのだ。
「ありがとうっス! じゃあ、早速今から顔出しに行ってくるんで、残りの作業はお願いしますね!」
「はあ!? 待てこのハゲ! 就業時間内やぞ!? サボるつもりか!? 一端の隊長ちゃうんか!?」
背中に次々とぶつかる言葉は完全に聞き流し、足早に廊下を突き進む。
チラリとだけ頭をよぎったある考え。思い立ったが吉日、早速行動に移してみようではないか。贈り物ではなくて…。
ズバッと一言で、求めていたものは返ってこなかった。少し前に彼女の上司になったばかりではあるが、なんとなく返事の予想がついていたことが悲しい。
「だって、年頃の女の子の好みなんて、ボクにわかるわけないじゃないっスか」
「そんなん、本人にきくのが早いんちゃうか!? ウチにきいてわかると思ってたんか!?」
「ひよりサンだって、女の子じゃないっスか」
「喧嘩売っとんのかこのハゲ! 女の子ちゃうわ、女性や女性! れっきとした大人や!」
「その見た目でそう言われても…」
言葉を止めた瞬間に、鳩尾に拳が刺さる。確かにこの拳は、か弱い少女の出せるものでもない。だからといって、女性に出せるかと問われても、自分の昔馴染みの彼女以外には無理そうな気もする。
「そもそも急に何やねん、贈り物って。隠し子か!? 行きずりの女との間に子供でもおったんか!? 拾い子か!?」
「ボクを何だと思ってるんスかぁ」
これはあまりにもひどいのではなかろうか。彼女の出した考えの中に、一つとしてロクなものがなかった。知り合いの子、という考えは浮かばなかったのか。
彼女の思考の問題か、はたまた自分の普段の行いの問題か。
「ご令嬢ですよ、貴族の。ちょっとした伝手でお会いしまして。先日も、昇進のお祝いいただいたもんで、お返しをしようかと」
嘘ではないが、自分でも無意識に大事な部分を省略していたことに気づく。その部分を隠しておくことに特に意味はないはずなのに。相手方に迷惑をかけるわけでもないだろう。
「ははぁ、四楓院とこの姫さんか。二番隊長さんとは違うみたいやしな」
「まあ、そうっスね、夜一サンとは贈り物なんてしあうような感じじゃあ、ないですし。あれを『年頃の女の子』なんて、天地をひっくり返すしかないっスよぉ。それも無理がありそうですけど」
本人に聞かれたら、どうなるかは大抵予想がつく。
全身を人形の如くボコボコにされ…。この先は考えたくもない。
「そういえば、以前はぬいぐるみをあげたんスよ。喜んでくれてたみたいですけど、今回はどうするか」
「以前ていつや?」
「昇進の少し前ですが…」
「最近も最近やないか、そない物ばっかり贈ってどないするつもりや!?」
それもそんな気がする。もしかしたらこのあいだいただいたあの髪紐、あれがもし、ぬいぐるみのお返しだとしたら。
もしそうなら、自分が起こそうとしていた行動は、周りからすればひどく滑稽なものだ。このやりとりが延々と続いて行きかねない。
「じゃあ、どうしたらいいんスかぁ。もらいっぱなしなんて、ダメっスよぉ」
「何をいうとんねん、そいつかて、そう思ったからわざわざ、準備したんとちゃうんか? 逆に、また貰っても困るだけやろ」
確かに。言われてみればそうかもしれない。
「せっかく使いやすいものをもろたんやったら、実際に使ってるところを見せんのが、いいんちゃう? 自分の立場に置き換えて考え!」
昇進の報告をしに行ったときに、さくらサンが、自分があげたぬいぐるみを頬を染めて抱いた姿をみて、なんだか、胸が暖かくなったのを思い出す。
頼りになるうちの副官は、少しきつい物言いでも、的確なアドバイスをくれたのだ。
「ありがとうっス! じゃあ、早速今から顔出しに行ってくるんで、残りの作業はお願いしますね!」
「はあ!? 待てこのハゲ! 就業時間内やぞ!? サボるつもりか!? 一端の隊長ちゃうんか!?」
背中に次々とぶつかる言葉は完全に聞き流し、足早に廊下を突き進む。
チラリとだけ頭をよぎったある考え。思い立ったが吉日、早速行動に移してみようではないか。贈り物ではなくて…。