空を見上げて
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人と深く関わる。それが苦手で、今までの自分の人生で一番足りていないのでは、と、自分でも思っていること。もちろん、周りに指摘されてしまうこともよくある。
数少ない、どちらかというと心の許せる知人たちにも今まで散々言われてきた。それこそ、耳にタコができるほど、という表現がよく当てはまるのだろう。
だが自分は、自分には無理なのだ、なんていう少しばかりの自嘲を込めて、はぐらかし、避けてきた。
人との出会いは人を育てるのだとよくいったものだが、そんなものは戯言だ、自分には関係ないものだと、決して短いとは言い難い今までの人生で、思い込んできた。知人には申し訳ないことだが。
それでも今は。
昔々、あるところに。そんな書き出しで始まるような、御伽噺。お姫様が出てきて、清い心で周りを変えてゆく。
もし、「ボク」という、「浦原喜助」という存在が、御伽噺に登場する脇役であったら。
「アナタ」というお姫様に動かされたうちのひとりだったのかもしれない。いや、そんな純粋な物語の世界に登場できるほど、自分ができているとは、ボクも含めて誰も思っていない。こんなに汚れてしまったボクなのだから。
ああ、神様。こんな清い心を持った彼女を、ボクに汚させて、どうするつもりなんスか。ただでさえ煩悩の塊であるボクなんて、周りに一つたりともいい影響なんて、与えるはずないのに。
そんなことをじわりと思いながら、息を少し吐く。
でも、「他人なんてどうでもいい」、なんて考えていたボクに、たった一つの情けを世界はかけてくれたのだろう。だって、今更手放せるわけなんかない。
彼女と。目の前にいるアナタとの出会いは永遠に忘れられないことだけは、はっきりとわかる。
想いを伝えるだとか、そんなことを望んでいるわけではない。そばに、共に時間を共有してくれるだけでいい。
カッコつけたようなことを思いながら、眠っている目の前の姫の髪を撫でる。
自分の唇は彼女の名前を紡いだが声帯が震えることはなかった。
こんな、格好つかない自分は今は押し殺して、過去に想いを巡らせることくらい、許されるのではないだろうか。
「んぅ…」
「…!」
ああ、起こしてしまうかもしれない。幸せそうに眠っているアナタを現実の世界に引き戻す権利なんて、ボクにはない。それならばせめて、ほんの少しでも彼女に近づけるように、眠りに身を委ねてみようか。
初めて出会った時、他の何もかもを忘れてしまいかけるほど強く焼き付いてしまった、あの時の貴方の表情を脳裏に浮かべ、ゆっくりとまぶたを下ろした。
数少ない、どちらかというと心の許せる知人たちにも今まで散々言われてきた。それこそ、耳にタコができるほど、という表現がよく当てはまるのだろう。
だが自分は、自分には無理なのだ、なんていう少しばかりの自嘲を込めて、はぐらかし、避けてきた。
人との出会いは人を育てるのだとよくいったものだが、そんなものは戯言だ、自分には関係ないものだと、決して短いとは言い難い今までの人生で、思い込んできた。知人には申し訳ないことだが。
それでも今は。
昔々、あるところに。そんな書き出しで始まるような、御伽噺。お姫様が出てきて、清い心で周りを変えてゆく。
もし、「ボク」という、「浦原喜助」という存在が、御伽噺に登場する脇役であったら。
「アナタ」というお姫様に動かされたうちのひとりだったのかもしれない。いや、そんな純粋な物語の世界に登場できるほど、自分ができているとは、ボクも含めて誰も思っていない。こんなに汚れてしまったボクなのだから。
ああ、神様。こんな清い心を持った彼女を、ボクに汚させて、どうするつもりなんスか。ただでさえ煩悩の塊であるボクなんて、周りに一つたりともいい影響なんて、与えるはずないのに。
そんなことをじわりと思いながら、息を少し吐く。
でも、「他人なんてどうでもいい」、なんて考えていたボクに、たった一つの情けを世界はかけてくれたのだろう。だって、今更手放せるわけなんかない。
彼女と。目の前にいるアナタとの出会いは永遠に忘れられないことだけは、はっきりとわかる。
想いを伝えるだとか、そんなことを望んでいるわけではない。そばに、共に時間を共有してくれるだけでいい。
カッコつけたようなことを思いながら、眠っている目の前の姫の髪を撫でる。
自分の唇は彼女の名前を紡いだが声帯が震えることはなかった。
こんな、格好つかない自分は今は押し殺して、過去に想いを巡らせることくらい、許されるのではないだろうか。
「んぅ…」
「…!」
ああ、起こしてしまうかもしれない。幸せそうに眠っているアナタを現実の世界に引き戻す権利なんて、ボクにはない。それならばせめて、ほんの少しでも彼女に近づけるように、眠りに身を委ねてみようか。
初めて出会った時、他の何もかもを忘れてしまいかけるほど強く焼き付いてしまった、あの時の貴方の表情を脳裏に浮かべ、ゆっくりとまぶたを下ろした。
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