短編
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ピピピッ
服の中で鳴った高い電子音に、千夜は体をくねらせる。
そして脇に挟んだ体温計を取り出した。
「……38.3度……。」
不機嫌そうに体温計の数字を読み上げ、ティッシュで鼻をかむ。
「こりゃ風邪だな…。」
3日前の雪かきで体冷やしたか。
千夜は“ハァァ…”と大きなため息をつくと、寝巻の上にジャージを羽織り、布団の中へもぐりこんだ。
頭まで毛布をかぶりながら、彼女は緑色の携帯へ手を伸ばす。
「今日は佐助とカラオケ行く予定だったのにな~…。
これじゃ行けないよ…。」
簡単に断わりのメールを送って携帯を閉じる。
それを枕元へ置くと、千夜はすぐに眠りに落ちてしまった。
1分後に、メール受信の音が鳴り響いた。
「………う…。」
頭が痛い。グラグラする。
まったく、だから風邪は嫌いなんだ。
内心そうボヤキながらも、時計を見る。時刻は12時半。
どれくらい寝てたのだろうとハッキリしない頭で考えるも、寝た時間が思い浮かばないからどうしようもない。
何もしたくない。
千夜は再び布団に潜り込もうとした。
だが…
「………ん?何か…いいにおいする…。」
そのにおいは一階から。だが両親は海外に出張中でいないはず。
…まさかの泥棒?でも盗みに入って料理する馬鹿はいないでしょ。
「……てか、あたし危機感無いなぁ…。」
これも風邪の影響なのか、ぼんやりとしか考えられない。
しばらくすると、ギシギシと階段を上ってくる音が聞こえた。
“ああ、あたしヤバいかも”なんて思ってると、ドアからノックが三回。
それに千夜はキョトンとした。
「千夜ちゃーん。具合はどう?」
聞きなれた声と共にドアが開く。
そのあどけなさに、少なからず脱力した。
「佐助……。不法侵入?泥棒かと思ったんだけど。」
「あれ?俺様ちゃんとメール返したけど?」
彼、佐助は片手にお椀を持って千夜のベットの横へと歩み寄る。
佐助が千夜の携帯を指差した。
千夜は慌てて携帯の画面を覗きこむ。
「……ホントだ…。」
『正月に風邪?千夜ちゃん何したんだよ。
仕方ないから俺様が看病してあげる。
ちゃんと寝てるんだよ?』
携帯の画面にはしっかりとその文字が。
佐助はクスリと苦笑した。
「ま、そんなことだろうと思ってたけどね。ハイ。お粥作ってきたけど食べる?」
そう言われて彼の手元を見ると、美味しそうに湯気が上がっているたまご粥。
だけど体調が悪い為か、それを食べる気にはなれなかった。
静かに首を横に振る千夜に、佐助は“うーん”と喉をうならせる。
「…千夜ちゃん。薬は?」
「………飲んでない…。」
「忘れてたんでしょ。それも持ってきたからさ、少しは何か食べないと。」
「…むー…。」
「むー、じゃありません。ホラ。」
言葉と共に、スプーンですくった一口のお粥を口元へ差し出す佐助。
その様子に千夜は『オカン』という単語が頭によぎったが、
それを口に出したらどうなるか分かっているので黙秘。
目の前に出されたお粥をしばらく見つめ、そして観念したように口を開けた。
「強情な彼女さん。」
佐助はそれだけ言うと口の中にお粥を突っ込んだ。
ちょうどいい温度のそれは、自分好みの薄味で、
“そーいや佐助って料理上手かったよなー”と一人で考えていた。
「全部は食べなくていいから。少しずつ、ね?」
「…うん。」
そんな優しくて料理がうまくてオカンっぽい人に、惚れたんだなぁ。
千夜はボーっとした頭でそんなことを思いながら、再び差し出された一口のお粥を食べた。
半分以上残したお粥を一度一階へはこんだ後、佐助は再び千夜の部屋へと。
ベットの上にはすやすやと眠っている愛しい人。
その寝方に佐助は小さく笑った。
大好きな、お気に入りの毛布。それをかぶるのではなく抱きしめている。
「これがないと寝れないんだ~」と言って夏でもかぶっているのだという。
理由を聞いてみたことがあった。
そしたら彼女は小さく苦笑して、
「小さい頃に…ちょっとね。」
それだけ言った。
後は何も言ってくれなかった。だから知らない。
「強気なお姫様なんだけどなぁ…。」
そう言って少しだけ頭をなでた。
キュッと毛布を握る千夜。佐助は少しだけムッとする。
そしてその手を自分の手で握り締めた。
「毛布嫉妬って…なんか俺様情けなくね?」
彼女の不安を紛らわすのが毛布なのか。
佐助は手を握ったまま、眠る千夜の唇に口づける。
そのまま耳元でそっと囁いた。
(俺が隣で寝ていたら、君は抱きしめてくれますか?その不安を消してあげられますか?)
服の中で鳴った高い電子音に、千夜は体をくねらせる。
そして脇に挟んだ体温計を取り出した。
「……38.3度……。」
不機嫌そうに体温計の数字を読み上げ、ティッシュで鼻をかむ。
「こりゃ風邪だな…。」
3日前の雪かきで体冷やしたか。
千夜は“ハァァ…”と大きなため息をつくと、寝巻の上にジャージを羽織り、布団の中へもぐりこんだ。
頭まで毛布をかぶりながら、彼女は緑色の携帯へ手を伸ばす。
「今日は佐助とカラオケ行く予定だったのにな~…。
これじゃ行けないよ…。」
簡単に断わりのメールを送って携帯を閉じる。
それを枕元へ置くと、千夜はすぐに眠りに落ちてしまった。
1分後に、メール受信の音が鳴り響いた。
「………う…。」
頭が痛い。グラグラする。
まったく、だから風邪は嫌いなんだ。
内心そうボヤキながらも、時計を見る。時刻は12時半。
どれくらい寝てたのだろうとハッキリしない頭で考えるも、寝た時間が思い浮かばないからどうしようもない。
何もしたくない。
千夜は再び布団に潜り込もうとした。
だが…
「………ん?何か…いいにおいする…。」
そのにおいは一階から。だが両親は海外に出張中でいないはず。
…まさかの泥棒?でも盗みに入って料理する馬鹿はいないでしょ。
「……てか、あたし危機感無いなぁ…。」
これも風邪の影響なのか、ぼんやりとしか考えられない。
しばらくすると、ギシギシと階段を上ってくる音が聞こえた。
“ああ、あたしヤバいかも”なんて思ってると、ドアからノックが三回。
それに千夜はキョトンとした。
「千夜ちゃーん。具合はどう?」
聞きなれた声と共にドアが開く。
そのあどけなさに、少なからず脱力した。
「佐助……。不法侵入?泥棒かと思ったんだけど。」
「あれ?俺様ちゃんとメール返したけど?」
彼、佐助は片手にお椀を持って千夜のベットの横へと歩み寄る。
佐助が千夜の携帯を指差した。
千夜は慌てて携帯の画面を覗きこむ。
「……ホントだ…。」
『正月に風邪?千夜ちゃん何したんだよ。
仕方ないから俺様が看病してあげる。
ちゃんと寝てるんだよ?』
携帯の画面にはしっかりとその文字が。
佐助はクスリと苦笑した。
「ま、そんなことだろうと思ってたけどね。ハイ。お粥作ってきたけど食べる?」
そう言われて彼の手元を見ると、美味しそうに湯気が上がっているたまご粥。
だけど体調が悪い為か、それを食べる気にはなれなかった。
静かに首を横に振る千夜に、佐助は“うーん”と喉をうならせる。
「…千夜ちゃん。薬は?」
「………飲んでない…。」
「忘れてたんでしょ。それも持ってきたからさ、少しは何か食べないと。」
「…むー…。」
「むー、じゃありません。ホラ。」
言葉と共に、スプーンですくった一口のお粥を口元へ差し出す佐助。
その様子に千夜は『オカン』という単語が頭によぎったが、
それを口に出したらどうなるか分かっているので黙秘。
目の前に出されたお粥をしばらく見つめ、そして観念したように口を開けた。
「強情な彼女さん。」
佐助はそれだけ言うと口の中にお粥を突っ込んだ。
ちょうどいい温度のそれは、自分好みの薄味で、
“そーいや佐助って料理上手かったよなー”と一人で考えていた。
「全部は食べなくていいから。少しずつ、ね?」
「…うん。」
そんな優しくて料理がうまくてオカンっぽい人に、惚れたんだなぁ。
千夜はボーっとした頭でそんなことを思いながら、再び差し出された一口のお粥を食べた。
半分以上残したお粥を一度一階へはこんだ後、佐助は再び千夜の部屋へと。
ベットの上にはすやすやと眠っている愛しい人。
その寝方に佐助は小さく笑った。
大好きな、お気に入りの毛布。それをかぶるのではなく抱きしめている。
「これがないと寝れないんだ~」と言って夏でもかぶっているのだという。
理由を聞いてみたことがあった。
そしたら彼女は小さく苦笑して、
「小さい頃に…ちょっとね。」
それだけ言った。
後は何も言ってくれなかった。だから知らない。
「強気なお姫様なんだけどなぁ…。」
そう言って少しだけ頭をなでた。
キュッと毛布を握る千夜。佐助は少しだけムッとする。
そしてその手を自分の手で握り締めた。
「毛布嫉妬って…なんか俺様情けなくね?」
彼女の不安を紛らわすのが毛布なのか。
佐助は手を握ったまま、眠る千夜の唇に口づける。
そのまま耳元でそっと囁いた。
(俺が隣で寝ていたら、君は抱きしめてくれますか?その不安を消してあげられますか?)