短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
白い白い世界の中で、
見つけたものもまた、
それは真っ白な女の子でしたー。
「……何してんですかー?」
それは、任務が終わりある町で本部に帰る荷造りをしていたときだった。
ミーはホテルの部屋で適当に片付けたりしていたとき。
ふと窓の外に、目が行った。
このホテルは高級なものでして、当然高さも半端じゃないんです。
ミーがいるのは27階。
その27階のホテルの窓に手を当てて下を覗き込むと、人影が見えた。
本当に小さな人影。
真っ白な、長い髪をした女の子。
彼女はミーの視線に気付いていない様子で、ただ呆然と木の根元に座り込んでいた。
ただ、それだけのことなのに。
何故か彼女が気になった。
自分でも理解できない、といった感じに頭を掻く。
どうにも胸がムズムズする。
仕方なくミーは、窓を開け放った。
流れてくる外の冷気。
冬だから当たり前なのだが、その冷気が妙に気になった。
が、一々気にしていられない。
ミーは窓枠に足をかけると、何の躊躇もなく飛び降りた。
そして、初めに戻る。
「…誰?」
「ミーは…しがない旅人ですー。
ホテルにいたんですけど、窓からアンタが見えたんで、気になってきちゃいましたー」
「……」
第一印象は、『雪』
寒い地方のこの町には、しんしんと静かな雪が降っている。
もちろん今も。
そのせいもあるためか、彼女の白銀の髪がよく映えた。
白銀色の、腰辺りまでの長い髪。
目は青色。
肌も、雪のように白い。
着ている服も、今いる場所が雪の中だとは思えないほど薄着の白いワンピース。
…まるで雪の精霊みたいですねー。
「そんなことより、こんなところで何してんですかー?
さっきからずーっと座ったままで、誰か待ってるとか?」
「…うん。待ってる。
私を拾ってくれる人を、待ってるの」
「は………?」
何を言い出すんだ、この子は。
待ってる?自分を拾ってくれる人を?
つまり…この子は捨て子?
でも自分からこう待つものなんですかねー。
「……なんでですかー?」
「…私は、イラナイ子なんだって。
父様と母様が言ってた。生まれてこなきゃよかったんだって」
ホントに捨て子かよ。
しかも何かゴチャゴチャしてて面倒な匂いがする。
…同情でも、してほしいってんですかねー。
正直ミー、そういうのは嫌いなんですよねー。
小さくため息をつくと、彼女はこう続けた。
「だからね、出てきたの。お家から。
あそこに僕の場所がないんなら、僕の場所。僕を必要としてくれるところを探すの。
…黒いお兄ちゃんは、僕が必要…?」
「……」
黒いお兄ちゃん?
あぁ、ヴァリアーの団服だから、黒いんですねー。
っていうか、ある意味それ、最強のポジティブシンキングじゃないですかー。
じっとミーを見つめる彼女。
その目は、絶望とか悲しみとか、そういうもので染まっていなくて、
その青い瞳で前を見据えていた。
ミーはその瞳から目が離せなくなって、
ただじーっと彼女を見返していた。
そして、
「……一緒に、いきますかー?」
無意識に、そんな言葉が出た。
無表情でそう言う彼女に、小さく問いかけると、
彼女は青い目を大きく見開いた。
うわ、ホントに綺麗な色してますねー。
「…いいの?」
「まぁ、アンタが留まりたいと思える場所なのかは知りませんけど、
そう思って、色々と努力できるんなら必要とされると思いますよー?」
首を傾げる彼女に、ぶっきらぼうにそう言った。
すると彼女は、薄桃色の唇で孤を描き、
“ありがとう”と微笑んだ。
その微笑みが、あまりにも儚げで美しくて。
「…じゃ、行きましょうか。
アンタの名前って何ですかー?」
「…僕は、リリィ…」
「そうですかー。
ミーはフランっていいます。適当に呼んじゃってくださーい」
「うん」
スッと手を差し出すと、リリィは手を握る。
それが氷のように冷たくて、長い間ここにいたのが分かった。
ミーが歩き出すと、リリィも歩きだす。
それがなんだか可愛く思えた自分は、魔法にでもかかってしまったようだった。
純白で、無垢で、何も知らないリリィ。
そんな彼女がこれから足を踏み入れる場所が血に濡れたところなんて。
誘ったミーが思うのもアレですけど、ちょっと可哀想な気もしますー。
でもー仕方ないじゃないですかー。
何故だか知らないけど、リリィには何か惹かれるものがあるんですよー。
ミーに出会ってしまったのが運のツキということで、
すっぱり諦めちゃってくださいねー。
(それって…カエルさん…?)
(そうですよー。堕王子が被せてきやがってよー)
(…可愛い)
(……ゲロッ)
見つけたものもまた、
それは真っ白な女の子でしたー。
「……何してんですかー?」
それは、任務が終わりある町で本部に帰る荷造りをしていたときだった。
ミーはホテルの部屋で適当に片付けたりしていたとき。
ふと窓の外に、目が行った。
このホテルは高級なものでして、当然高さも半端じゃないんです。
ミーがいるのは27階。
その27階のホテルの窓に手を当てて下を覗き込むと、人影が見えた。
本当に小さな人影。
真っ白な、長い髪をした女の子。
彼女はミーの視線に気付いていない様子で、ただ呆然と木の根元に座り込んでいた。
ただ、それだけのことなのに。
何故か彼女が気になった。
自分でも理解できない、といった感じに頭を掻く。
どうにも胸がムズムズする。
仕方なくミーは、窓を開け放った。
流れてくる外の冷気。
冬だから当たり前なのだが、その冷気が妙に気になった。
が、一々気にしていられない。
ミーは窓枠に足をかけると、何の躊躇もなく飛び降りた。
そして、初めに戻る。
「…誰?」
「ミーは…しがない旅人ですー。
ホテルにいたんですけど、窓からアンタが見えたんで、気になってきちゃいましたー」
「……」
第一印象は、『雪』
寒い地方のこの町には、しんしんと静かな雪が降っている。
もちろん今も。
そのせいもあるためか、彼女の白銀の髪がよく映えた。
白銀色の、腰辺りまでの長い髪。
目は青色。
肌も、雪のように白い。
着ている服も、今いる場所が雪の中だとは思えないほど薄着の白いワンピース。
…まるで雪の精霊みたいですねー。
「そんなことより、こんなところで何してんですかー?
さっきからずーっと座ったままで、誰か待ってるとか?」
「…うん。待ってる。
私を拾ってくれる人を、待ってるの」
「は………?」
何を言い出すんだ、この子は。
待ってる?自分を拾ってくれる人を?
つまり…この子は捨て子?
でも自分からこう待つものなんですかねー。
「……なんでですかー?」
「…私は、イラナイ子なんだって。
父様と母様が言ってた。生まれてこなきゃよかったんだって」
ホントに捨て子かよ。
しかも何かゴチャゴチャしてて面倒な匂いがする。
…同情でも、してほしいってんですかねー。
正直ミー、そういうのは嫌いなんですよねー。
小さくため息をつくと、彼女はこう続けた。
「だからね、出てきたの。お家から。
あそこに僕の場所がないんなら、僕の場所。僕を必要としてくれるところを探すの。
…黒いお兄ちゃんは、僕が必要…?」
「……」
黒いお兄ちゃん?
あぁ、ヴァリアーの団服だから、黒いんですねー。
っていうか、ある意味それ、最強のポジティブシンキングじゃないですかー。
じっとミーを見つめる彼女。
その目は、絶望とか悲しみとか、そういうもので染まっていなくて、
その青い瞳で前を見据えていた。
ミーはその瞳から目が離せなくなって、
ただじーっと彼女を見返していた。
そして、
「……一緒に、いきますかー?」
無意識に、そんな言葉が出た。
無表情でそう言う彼女に、小さく問いかけると、
彼女は青い目を大きく見開いた。
うわ、ホントに綺麗な色してますねー。
「…いいの?」
「まぁ、アンタが留まりたいと思える場所なのかは知りませんけど、
そう思って、色々と努力できるんなら必要とされると思いますよー?」
首を傾げる彼女に、ぶっきらぼうにそう言った。
すると彼女は、薄桃色の唇で孤を描き、
“ありがとう”と微笑んだ。
その微笑みが、あまりにも儚げで美しくて。
「…じゃ、行きましょうか。
アンタの名前って何ですかー?」
「…僕は、リリィ…」
「そうですかー。
ミーはフランっていいます。適当に呼んじゃってくださーい」
「うん」
スッと手を差し出すと、リリィは手を握る。
それが氷のように冷たくて、長い間ここにいたのが分かった。
ミーが歩き出すと、リリィも歩きだす。
それがなんだか可愛く思えた自分は、魔法にでもかかってしまったようだった。
純白で、無垢で、何も知らないリリィ。
そんな彼女がこれから足を踏み入れる場所が血に濡れたところなんて。
誘ったミーが思うのもアレですけど、ちょっと可哀想な気もしますー。
でもー仕方ないじゃないですかー。
何故だか知らないけど、リリィには何か惹かれるものがあるんですよー。
ミーに出会ってしまったのが運のツキということで、
すっぱり諦めちゃってくださいねー。
(それって…カエルさん…?)
(そうですよー。堕王子が被せてきやがってよー)
(…可愛い)
(……ゲロッ)