親睦会だって
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「そのへんにしとき謙也。そろそろ桜井さんも来るで?」
「お、おお、せやった!」
白石の鶴の一声で謙也はラケットを取り出し部活への準備を進めだす。
四天王寺中テニス部には部室は1つしかない。
それはつまり、ロッカーのあるこの部室で部員たちは着替えるということになり、桜井は気を使って数十分遅れて来るようにしているのだ。
もちろん、彼らの着替えが終わったあと、彼女もジャージに着替える。
そこに男である彼らがいるわけにも行かない。
気を使って遅く来てくれている彼女の為にも早くコートに出なければ、と急ぎだしたところだった。
が、
「……そういや、桜井て頭いいんやろか?」
ふと、謙也はそう呟いた。
「…今度は何ですのん?」
「いや、確かお前と桜井って同じクラスやったやろ?二年と三年の教室は階違うし、教室での桜井のことあんま知らんねん。」
”ちょっと気になってなぁ”とヘラリと謙也は笑った。
そんな彼の表情に呆れた顔を見せ、ため息をつく財前。
自分のラケットを肩に担ぎながら、財前は教室での彼女の姿を思い浮かべる。
コートで見る彼女とは違う、意外な表情を見せる彼女を。
「…頭の良さは知らないっすけど、マネやってるあいつとは別な感じっすわ。」
「マネとは別な感じ?」
含みのある物言いに、話をどこで切り上げてもらおうか考えていた白石も、思わず首を傾げる。
「俺がいる時は、なんや意識しとるんか態度変えとるんですわ。友達とだけおるときは普通に素で話しとるっぽいんですけど。ほんまむかつきますわ。」
脳裏に浮かぶのは、自分が教室へ入ってきた時の桜井の気まずそうな顔。
ああも露骨に意識され、態度を変えられるとあまり心象はいいものと言えない。
理由がわからないだけ、余計に。
眉間にしわを寄せる財前に、謙也はにやにやして彼を小突いた。
「なんやそれ、財前お前に気があるんとちゃう?」
「流石謙也さんっすね。誰もが謙也さんくらい安直な考え方だったら世の中平和ですわ」
「ははは、せやろ?……って今の貶しとるやろ!」
再び呆れた顔でそう言い放つ財前に、華麗なノリ突っ込みを見せる謙也。
付き合ってられないという表情で財前は彼から距離を取り、パイプ椅子に腰を掛けた。
そんな中、千歳が”んー”と少しだけうなる。
「ばってん、俺も違和感ば感じたことあるとよ?」
「千歳もかいな?」
「たまたま廊下ですれ違った時に俺んこと見てびっくりしてたばい。財前の言っとった感じやね。素の自分を隠そうとしとる感じだった、ちいうか。」
「素の自分を隠す…なぁ…。」
千歳の言葉を最後に、沈黙が流れる。
それぞれ彼女について、色んな考えを浮かべていたが、それが形になることはない。
まだ桜井は入部して二か月。
毎日マネージャーをしているとはいえ、素の彼女はよく知りもしない彼らが、桜井の本質にたどり着くことなどできはしなかった。
その沈黙を破ったのは、白石だった。
「…せやなぁ、桜井さんの歓迎パーティーやるってのはどうや?」
「唐突っすね。白石部長。」
「気まずいの嫌なんやろ?財前。桜井さんももしかしたら部活外で俺ら部員にどう接していいのか分からんのかもしれへんし、これを機に親睦を深めるってのもいいと思ってなぁ。」
「…まぁ悪くはないと思いますけど。」
「せやな!めっちゃええ考えだと思うわ!」
ぶっきらぼうにそういう財前に被せるように、声を上げたのは謙也だった。
「歓迎会やっとらんかったしなぁ!これはおもろくなってきたで!」
「どうせやるならサプライズがよかね。」
「ええやん千歳!小春やユウジにも伝えとかなあかんな!」
「声でかいっすわ謙也さん。隠すつもりあります?」
「ははは…。ま、今日のところはこのへんにしとかなあかんで。ほんまにそろそろ桜井さん来てまうからなぁ。」
笑いながらそう言って、白石は部室の扉へと向かう。
そして取っ手に手をかけようとしたその時、外側からガチャリと扉が開いた。
そこに立っていたのは、
「…あ、あれ?まだ準備終わってなかったんですか?」
「さ、桜井さん?」
きょとんとした顔で白石を見上げる話題の彼女だった。
「結構ゆっくり来たつもりだったんですけど…すいません、時間足りなかったですか?」
「い、いやちょうど準備終わったとこやで。それより…さっきの話聞こえっとった?」
「…?なんのことです?」
ひきつりそうになる顔を隠しながらそう尋ねると、首を傾げる彼女。
白石の目から見ても、嘘を言っている様子はなく。
白石含め謙也や千歳も胸をなでおろすのだった。
「いや、なんでもあらへん。いつもゆっくり来てくれておおきにな。ほな俺らは先にコートに行っとるわ。」
「は、はい。」
そう言って桜井の横を通りすぎる白石。
続いて謙也と千歳、財前もそそくさとコートへ向かっていった。
「…なんだろ、やらしい話でもしてたのかな」
”男の子だもんね”と適当に納得した桜井は部室に入り、扉を閉めた。
「お、おお、せやった!」
白石の鶴の一声で謙也はラケットを取り出し部活への準備を進めだす。
四天王寺中テニス部には部室は1つしかない。
それはつまり、ロッカーのあるこの部室で部員たちは着替えるということになり、桜井は気を使って数十分遅れて来るようにしているのだ。
もちろん、彼らの着替えが終わったあと、彼女もジャージに着替える。
そこに男である彼らがいるわけにも行かない。
気を使って遅く来てくれている彼女の為にも早くコートに出なければ、と急ぎだしたところだった。
が、
「……そういや、桜井て頭いいんやろか?」
ふと、謙也はそう呟いた。
「…今度は何ですのん?」
「いや、確かお前と桜井って同じクラスやったやろ?二年と三年の教室は階違うし、教室での桜井のことあんま知らんねん。」
”ちょっと気になってなぁ”とヘラリと謙也は笑った。
そんな彼の表情に呆れた顔を見せ、ため息をつく財前。
自分のラケットを肩に担ぎながら、財前は教室での彼女の姿を思い浮かべる。
コートで見る彼女とは違う、意外な表情を見せる彼女を。
「…頭の良さは知らないっすけど、マネやってるあいつとは別な感じっすわ。」
「マネとは別な感じ?」
含みのある物言いに、話をどこで切り上げてもらおうか考えていた白石も、思わず首を傾げる。
「俺がいる時は、なんや意識しとるんか態度変えとるんですわ。友達とだけおるときは普通に素で話しとるっぽいんですけど。ほんまむかつきますわ。」
脳裏に浮かぶのは、自分が教室へ入ってきた時の桜井の気まずそうな顔。
ああも露骨に意識され、態度を変えられるとあまり心象はいいものと言えない。
理由がわからないだけ、余計に。
眉間にしわを寄せる財前に、謙也はにやにやして彼を小突いた。
「なんやそれ、財前お前に気があるんとちゃう?」
「流石謙也さんっすね。誰もが謙也さんくらい安直な考え方だったら世の中平和ですわ」
「ははは、せやろ?……って今の貶しとるやろ!」
再び呆れた顔でそう言い放つ財前に、華麗なノリ突っ込みを見せる謙也。
付き合ってられないという表情で財前は彼から距離を取り、パイプ椅子に腰を掛けた。
そんな中、千歳が”んー”と少しだけうなる。
「ばってん、俺も違和感ば感じたことあるとよ?」
「千歳もかいな?」
「たまたま廊下ですれ違った時に俺んこと見てびっくりしてたばい。財前の言っとった感じやね。素の自分を隠そうとしとる感じだった、ちいうか。」
「素の自分を隠す…なぁ…。」
千歳の言葉を最後に、沈黙が流れる。
それぞれ彼女について、色んな考えを浮かべていたが、それが形になることはない。
まだ桜井は入部して二か月。
毎日マネージャーをしているとはいえ、素の彼女はよく知りもしない彼らが、桜井の本質にたどり着くことなどできはしなかった。
その沈黙を破ったのは、白石だった。
「…せやなぁ、桜井さんの歓迎パーティーやるってのはどうや?」
「唐突っすね。白石部長。」
「気まずいの嫌なんやろ?財前。桜井さんももしかしたら部活外で俺ら部員にどう接していいのか分からんのかもしれへんし、これを機に親睦を深めるってのもいいと思ってなぁ。」
「…まぁ悪くはないと思いますけど。」
「せやな!めっちゃええ考えだと思うわ!」
ぶっきらぼうにそういう財前に被せるように、声を上げたのは謙也だった。
「歓迎会やっとらんかったしなぁ!これはおもろくなってきたで!」
「どうせやるならサプライズがよかね。」
「ええやん千歳!小春やユウジにも伝えとかなあかんな!」
「声でかいっすわ謙也さん。隠すつもりあります?」
「ははは…。ま、今日のところはこのへんにしとかなあかんで。ほんまにそろそろ桜井さん来てまうからなぁ。」
笑いながらそう言って、白石は部室の扉へと向かう。
そして取っ手に手をかけようとしたその時、外側からガチャリと扉が開いた。
そこに立っていたのは、
「…あ、あれ?まだ準備終わってなかったんですか?」
「さ、桜井さん?」
きょとんとした顔で白石を見上げる話題の彼女だった。
「結構ゆっくり来たつもりだったんですけど…すいません、時間足りなかったですか?」
「い、いやちょうど準備終わったとこやで。それより…さっきの話聞こえっとった?」
「…?なんのことです?」
ひきつりそうになる顔を隠しながらそう尋ねると、首を傾げる彼女。
白石の目から見ても、嘘を言っている様子はなく。
白石含め謙也や千歳も胸をなでおろすのだった。
「いや、なんでもあらへん。いつもゆっくり来てくれておおきにな。ほな俺らは先にコートに行っとるわ。」
「は、はい。」
そう言って桜井の横を通りすぎる白石。
続いて謙也と千歳、財前もそそくさとコートへ向かっていった。
「…なんだろ、やらしい話でもしてたのかな」
”男の子だもんね”と適当に納得した桜井は部室に入り、扉を閉めた。
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