拝啓。サイバー空間より××を込めて。
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莫迦だよな、と考えている……と思う。
オリジナルを完璧に模倣して造られていたこの思考パターンは、初めこそそれに沿って生きていたはずだった。ボクとしての稼働年数を積み重ねていくうちにどんどんオリジナルから乖離していって、このやり方は本当にこれで良いのだろうかと思い悩む気持ちを思考の片隅に押し込めて、見ないふりをして進んでいるうちに、周りはもう取り返しのつかないところまで着てしまっていた。“英雄”に思い悩む時間と余裕は許されなくて、進むしかなかった。
そのツケはあとからたっぷり回ってきた。あのこが離れていってしまったり、『親友』に斬り殺されたり、黒幕の博士に頭の中を引っ掻き回されたり……ああ、思い出すだけで何もかもにうんざりする。
本末転倒な話だが、もしオリジナルがコピーであるボクと全く同じ状況に置かれたとしたらどんな対応をしたんだろうか。つまり、ボクみたいに造られてすぐに何かの代替として据えられて、最初からなろうと思っていたわけでもないのに“英雄”でいることを望まれたら、だ。オリジナルは三桁の稼働年数とそれに伴う分厚い経験値から上手く世の中をコントロールしていたけれども、その土台そのものが無かったとしたら。
……これはただのイメージにしかならない。だってあいつは、記憶を遺していかなかったのだ。
オリジナルの“記録”はあっても、ダークエルフと一緒に封じられたぼろぼろの本体の中には全ての記憶と付随する感情や己の考え、他者との関係性、誰に何を言われ自分はどう思ったのか、そういったものが何も残っていなかった。あいつはボディを抜け出す時に全部持って行ってしまった。その記憶が欠片でもボクにあったなら、また違う選択肢を選べていたかもしれない、なんて……いや、本当に考えても仕方がないな。
そしてまた、そういう後悔みたいなものばかり考え込んでしまう自分に莫迦だよなと思ってしまうのだった。
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