一般人(レプリ)は生き延びたい。
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転生したらレプリロイドだった。
は?
お前の電脳イカレてるのかと思われるだろう。当然だ。当事者であるぼくだってそう思った。
ぼくはアトラ。平凡な量産型レプリロイドだ。しかし、人間であった頃を思い出した。普通のありふれたレプリの生涯を歩んでいたというのに、ある日突然、転生前の前世とも言うべき過去のメモリーが降って湧いたのだ。
あ、ぼくって前世は人間だったっぽいな?みたいな機械にあるまじき雑さで納得してしまった。
ほぼ人造無機物のレプリに前世もなにも無いだろ、人間は生命の神秘からまろび出た奇跡の有機物だよ。脳味噌も電子頭脳も、同じ電気信号が流れているという共通点しか無いぞ。と、レプリとしての自分が自分へ全身全霊のツッコミを入れた。
人として生きてから死ぬまでの丁寧で豊かな人生経験が思い出された!となるとレプリロイドとしての経験値も爆上がりしそうなものだが、そんな上手い話ではなかった。無慈悲。
まず第一に、どこで生まれたどこの誰でどこに住んでいてどう死んだかという、そういう基本的な部分がすっぽり抜けている。つまり、確認できる個人情報が全く無い。
あるものといえば、ただその人生の中で見聞きした出来事がダラダラと適当に垂れ流されるだけだったのだ。最低限の年代(ちなみに西暦2000年初頭)、その時に起きた世の中の事件、好きだった食べ物、サブカルチャー、ネットの情報……うんぬん。
何だよこのチョイスは。もっと役に立つ情報があるだろうに。雑すぎるだろ。
客観的に分析してみると、ウイルスに擬似的な偽記憶でも植え付けられたのかと疑うだろう。だって、この機械の身体を分解したところで内部に人としての証拠があるわけでもないのだし、他者から見れば完全にイカレた妄想となってしまう。下手をすればめでたくイレギュラー認定で更生施設へ直送だ。
しかし蘇ってしまった記憶が全て嘘や妄想なのかと言うと、どうやらそう簡単に片付けられる話でもない。
記憶の中には、確実に今の現実とリンクした用語がたくさん含まれているのだ。レプリロイド、メカニロイド、イレギュラー……どうしてイレギュラーは発生するんだろう?プログラムのエラー、電子頭脳の故障、俺たちレプリロイドの高度な情報処理能力の、いわばツケだな……声優ガチャ最上級レアリティを持つ某ハンター達のボイスが容易に脳内再生されて……、ん?
今のこの世界ってロックマンXの世界だよな?
だってレプリ居るしな?
そもそも自分自身がレプリだったわ。
そっかーー作中には細かく語られていなかったけど主人公達以外のモブキャラ量産型レプリってこういうふうに作られていたんだなーうわーーすごいなーーー
(現実逃避)
前世情報ではこれはゲームだった。そのせいで一方的に主人公達や悪役達のことを知ってしまっているし、そこには本人達さえも知らない情報が混ざってしまっている。(例:ゼロはワイリーナンバーズ)他。下手したら主人公陣営の未来に関わる話だって。(例:軌道エレベーターの管理官はヤバいやつ)(例:エックスはギガンティスでフィギュアを集めまくる)他。
こんなものがウイルスで運ばれてくるはずがないし、根拠のない妄想がこんなに一致しているわけもない。
そう結論付けて、無理矢理納得した。するしかなかった。突拍子も無く思い掛けない出来事があると、自分の意志とは無関係に思考停止してしまうのは本当にあることなのだな、と思った。それが例え人間でなかったとしても。
そんな個人的な修羅場の真っ最中でもなんとか気持ちを誤魔化して、冷静で普通の振る舞いを続けられた自分を最大限褒め称えたいと思った。正常性バイアスかかりまくり。いや本当にな、我ながら良くやったよ。仕事クビになるかと思ったし。
そうこうしている間に、電脳にインストールされた人間のデータ、みたいな感覚に収めることができたのは幸いだった。若干思い出す優先順位が変になったりするが、今では前世のぼくとレプリのぼくは何となく上手く混ざって、何となく上手く落ち着くことに成功している。
さて、現在の話をしよう。前世がリバースし、その中に含まれている情報で重要なのはやはり時勢についてのことだ。今後の生存に大きく関わってくる。あの「なんどでも!」蘇ってくる黒幕おじさん達の策謀に巻き込まれてイレギュラー化するなんて全力で避けたい。
こんなことを言ってしまうのはなんだが、ここが百年後のネオアルカディアの時代でなくて良かったと思う。大雑把にイレギュラー認定されて殺処分されるのは御免被りたい。青い子が替え玉だって知ってるってバレたら即ヤられるだろう。これは最重要国家機密では?緑の子にゴミを見る目をされそう。……知り過ぎていて詰んでいる。
とにかく今までの記憶を丁寧に思い返す。
この前ニュースで、建設中の新しい軌道エレベーターの工事が~とか、一線退いていた某ハンターが戦線復帰して~と報道されていた。
うーむ。ユーラシアの事件とナイトメアの事件で大騒ぎになったのは少し前の出来事だから、照らし合わせるとたぶん……ゲームでいうとX7が終わった辺りだろうか。
X5とX6を無事乗り切れていたのは本当に良かったよ。何もわからないときの自分本当に良くやった。良くぞ生き延びた。あれが一番死にそうな出来事じゃないか?
と、なればあとは何となくこのまま上手いこと生き延び続けることにしよう。
主人公勢にお近づきになりたい!イレギュラーハンターになりたい!この記憶にある情報を上手く使って目指せ世界平和!!……とは全く一ミリも思わなかった。だってボロを出さずに協力できる自信がない。何故その情報を知っているんだ?と糾弾されたら何も返せない。転生前は人間だったんだーそれで君らはゲームでーとか言えない。確実に詰んでしまう。
それでもって彼らにはもれなく黒幕おじさんが着いてくる。あの元隊長に目を付けられたらもう詰む。ぼくはただの一般的な量産型レプリロイドだ。胴体ぶち抜かれて上半身だけになっても、いつの間にか完璧に修復してくれるような博士は居ない。そんな人達が付いてるのはあいつらくらいだろう。
世の中に流されず、主人公陣営に関わらず、イレギュラー認定されないように、せっかくのレプリ人生をそれなりに平凡に過ごそう。そう心に決めて、のらりくらりと生きていくことにしたのであった。
…………と、そのつもりだったのに、リバースした記憶と今までのメモリーを冷静に照らし合わせて愕然とした。その中には確かに、顔面にバッテン傷のあるガンナーレプリ(声優ガチャSSR)とつるんでいる自分が居たのだった。そうだそうだ、あいつはぼくの悪友なのだ。うん。
そっかーーーなんか最近あいつ音沙汰がないなーと思っていたけど、ぼくが一人で修羅場状態になっていた裏でX7が進行中だったのかーーー。あっちもあっちで修羅場だったかーー。
あーなるほどね完璧に理解した(納得できたとは言っていない)
…………あー、もう。どういう顔して会えば良いんだ。
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