古いもの収納庫
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ぎらぎらとしたまぶしい照明とやかましい騒音が響いている。
大小いろんな機械が整然と並べられ、その間をたくさんの人やらレプリロイドがごっちゃに混ざりながら行き交っていた。あるひとはモニターに見入り、あるひとは目当ての機械の前で立ち止まる。
そんな空間の端をわたし達が陣取って早くも10分。…わたし達が、というよりはエックスが、だけど。
呆れるような苦笑いのような何とも言えない気持ちを抑えながら、人装状態で真剣な顔をするエックスを見た。
いつもの青いメットが無くて、表情がよく見える。眉間にしわを寄せていて、瞬きもせずにそれを見詰め続ける緑のアイカメラの奥で瞳孔が目まぐるしく収縮するのが見えた。
全力でそれに取り組む様子はまるで任務中のようで、わたしは少し苦笑しながらそっと声をかけた。
「え、エックスー……そんなに無理しなくても良いんだよー?」
「ん。いや、無理はしてない。大丈夫だよ」
目を離さずにそう言いながら数歩右へ。ガラスの向こう側にある目標物の箱を凝視して五秒。顎に手をやって、ぶつぶつと呟いた。
「…右側を三センチ手前にずらして……いや、アームの強度があまりないな。向こうにかかっている重心を五センチ手前に寄せて奥の角を二十度程傾けられれば…確率は低くないか……」
口を挟む余地もなく無言で見守っていると、エックスはおもむろにポケットから銀色の小さな円盤をつまみ出す。わたしの方を向いて薄く笑った。……うん、なんか戦いに赴くような……何か覚悟をきめたみたいなきりりとした表情だ。
「ナオト、少し待っていてもらってもいいかい?すぐ終わるから」
「う、うん。ぜんぜん大丈夫だよ~?待てるよ~」
なんともはや、思わず顔が引き吊ってしまった。
エックスが銀色のそれを目の前の機械のスリットへ投下。ちゃりーんと固い音が鳴った。緑のアイカメラでガラスの向こうを半ば睨むようにまた見詰める。手元のボタンをタイミング良く押しながら、中のアームが動く様を身動きひとつせずに凝視し続けること30秒あまり。ややあってから、内部の目標物がごとりと音をたてて落下した。
「よし!」
屈んで下の受け口から目標物を取り出した。何事もないかのようにすました表情の中に、隠しきれない喜びが見えている。
「おめでと。毎度ながら器用だよねえ…エックスは」
「ありがとう。でもこれくらいなら簡単だから、誰でもできるよ」
「そ、そうなのかぁ……(少なくともわたしはできないよ…)」
「あ、もう少し店の中を見て回っても良いかい?もし欲しいものがあればおれが取るよ」
「あはは……いいよ、時間はまだたっぷりあるし、好きなだけ付き合うよ」
楽しそうに笑うエックスに、なんだか微笑ましくなる。
英雄とか言われてる有名なイレギュラーハンターのレプリロイドが、実はクレーンゲームが得意です、なんて誰が予想できるやら。
わたしはまた何度目かの苦笑をして、次の景品目当てにゲーセンを闊歩するエックスを追いかけるのだった。
(ところで、別のクレーンゲームもやってたみたいだけど他には何の景品取ったの?またフィギュア?)
(ええと……)
(なになに?……『B-arts著名レプリロイド完全再現コレクション・パート2』…1/8スケール塗装済み完成品フィギュア…『イレギュラーハンター・ナオト』!?……な、なななにこれ!?わ、わたし!!?)
(ははは…(あー、ばれたか))