古いもの収納庫
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強い衝撃を感じた。それから真っ暗になる視界。
つまりアイカメラが機能を停止した。おれの意識は混濁する。
それはフラッシュバックに似ているように思えた。
視界とはまた別の場所で言葉と映像と思考の切れ端がバラバラと乱れ飛んでいる。飛び交う五月蝿いノイズのすきまから、或いは膨大な数字と演算記号のあいまを縫いながら、それは奥底の心から絶えず発せられている合図のようなもので。それでもおれにはそれが何を意味するのかが今だによく解らない。どこか遠い場所で余韻を残しながらゆっくり鳴り響いている。
「…………ス!」
掠れてしまっていて、だけど心地良い高い声が届いた。その声に鳴り続けているそれは反応する。反応して、その勢いそのままにおれの意識に起きろと命じる。起きろ。起きろ。彼女は今、ひとりでイレギュラーに立ち向かっているんだ。おれがこんなところで寝ていていいわけがないだろう?
─────そう、そうだ。
「エックス!!しっかり!!」
掠れ声がはっきりと聞こえた。おれは今度こそ、重たい瞼をこじ開けノイズ混じりのざらついた煩わしい視界の中に、彼女の姿を見つける。
「大丈夫?!」
不安げにこちらを覗き込みながら、彼女は言う。
「ん……。大丈夫、だよ」
仰向けの体勢から上半身を起こし体を動かす。ビリビリと痛みが走ったが、任務自体には支障はない。おれは少しだけ彼女に笑いかけた。
「ごめん……油断した」
「ううん、エックスが無事なら良いんだよ」
その言葉に彼女は首を振って小さく微笑んだ。笑む背後、イレギュラーが放電の光を振り撒きながら静かに停止していた。おれを攻撃してきたこのメカニロイドは彼女が倒してしまったようだ。
「まだイレギュラーの反応が残ってるんだけど……もう少し頑張れる?」
「ああ、問題ないよ」
視線を合わせて頷き合って、崩れかけた廃虚の間を駆け出した。
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