ソニック・ザ・ヘッジホッグ(夢)
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爆発音が耳をつんざく。
……爆発が起きても何ら不思議は無いはずだ。何せここはDr.エッグマンの基地の中なのだし、先行したソニックたちが兵を片端から破壊して進んでいるだろうから。
唐突に感じた寒気に、リリスはぶるりと身を震わせた。無機質な鈍色の金属壁が長く続いているはずの通路の奥で一瞬だけまたたいた光、それから垣間見えた朱炎とどす黒い煙。地面がぐらりと揺れ、プラスチックと金属と化学物質が焦げる奇妙な臭いが漂ってくる。
「シャドウ」
リリスは半歩ほど前を進んでいた黒いハリネズミを見遣った。名を呼ばれた彼は紅い双眸をリリスに向けた後、一度頷いて見せる。……どうやら目的地はエッグマンが居るはずの最奥の制御室では無く、通路向こうの部屋へと変更されたようだった。
長い通路を越え、吹き飛んだ分厚い扉──むしろ隔壁と呼ぶべきか──を跨ぎながら部屋へ入ろうとした瞬間、シャドウが小声でリリスを呼び止めた。
「?」
「僕が先に入る」
こくりと頷いたのを確認して、焦げた金属の破片と瓦礫が散乱し煙が立ち上っている中に入っていく。シャドウの後ろからゆっくりとついて歩いてきたリリスの足元にコツンと堅い何かがぶつかってきた。
「あっ……」
気がついてそれを拾い上げたちょうどそのとき、金属同士が擦れあう耳障りな音が反響した。ぎぎぃぃぃい、と凶暴に鼓膜を引っ掻く。
「っ、何だ?!」
「わっ?!」
シャドウが辺りを見回し音源を見つけた直後、粉塵を纏いながら天井から何かが落ちてきた。それは金属の壁面に派手な轟音を響かせ建物全体を大きく揺さぶり、元から瓦礫が散乱し荒れ放題だった室内を更に酷い有様に変え……申し訳程度に点灯していた照明がバチンと音をたてて消えた。
………薄暗い中で立ち込める煙が少し落ち着いた頃、落下した本体が姿を見せる。
「これは…ドクターのメカ、か……?」
シャドウは慎重に歩み寄り、のぞき込む。─────それはやや丸みを帯びた外見を持つ大型のロボットだったもの……、銀色に鈍き光る外殻は紙のように裂け、溶解した切り口から壊れた内部構造が伺えた。カラフルな無数のコードが無理やり引き千切られたように飛び出して垂れ下がっている。銃器が装備されている(またはされていたはずの)四肢が強引に捻られていたり欠損していたりと徹底的に破壊されていた。…動作は完全に停止しているようだ。
(ドクターのものにしては…構造が違いすぎる………それにこの破損の仕方は不自然だ)
今回の件、エッグマン以外の何者かが関与しているのか?とシャドウは思考を巡らせる。そしてこの部屋の異様な状態はいったい…
「シャドウ、見て」
駆け寄ってきたリリスが妙に緊迫した顔つきで手の中のものを差し出す。
「……カオスエメラルド?」
色と輝きを失ったこぶし程の宝石がリリスの手の中にあった。
「……こんなになっちゃうなんて……急激に大きなエネルギーを吸い取られたりとか……」
リリスが不安げな眼差しでエメラルドを見つめる矢先、再びとんでもない爆音が鳴り響き、ぎちぎちと嫌な音をたてながら金属壁の一部が派手に吹き飛んだ。
「っ……!次から次へと……!」
シャドウは忌々しげに舌打ちをする。爆発といっしょに先程と同型のロボットが、破片を飛び散らせながら壁の向こうから転がってきた。再び煙が立ち上がったその合間からチラリと見覚えのある姿が垣間見えた気がして、リリスは眼を凝らす。
「…………ソニック?」
確かに見える青い影。しかし彼は壁の大穴と切れた配線が火花を散らすその間の暗がりで黙り込んだまま、ぼんやりと立ち尽くしている。こちらに気づいてはいるのだろうが、どうしてこうも無反応なのか。
「……様子がおかしい」
シャドウがリリスにだけ聞こえるように囁いた。するとその声に反応したのだろうか……耳障りなモーター音を響かせながらロボットが立ち上がる。
……一瞬だった。
一瞬だけ、そのロボットの横を青い風が吹き抜けた……気がした。それから爆発、炎上。呆然としたリリスの目の前で青が止まった。自分より少し背の高いハリネズミの少年を見上げたが、爆発の逆光と辺りの薄暗さで顔がよく見えない。ただ光るその眼差しに不気味な違和感を覚える。ほの暗いエメラルドに射抜かれ、ぞわりと寒気が走った。違う違う、何かが違う。確かにソニックだけど……
「…………リリス」
ぽつりと呟く抑揚の無い声のあと、突風が吹く。目を瞑った途端に金属の床に尻餅をついたが、その間に彼は掻き消えていた。慌てて辺りを見回せば、今まさにシャドウに襲いかかる青い後ろ姿。ソニックが空中でしなやかに体を動かし、片足を薙ぐその軌道にはシャドウが。
「シャドウ!!」
リリスの声より僅かに速く、がっちりと片手で受け止めたその足首を掴みすぐそばの瓦礫の山へぶん投げる。だが一方のソニックは突っ込む前にくるりと体勢を整え、瓦礫の上に着地。
「っ……ソニック、貴様……!」
シャドウの憤りの声が低く反射した。それを無視してソニックは瓦礫を蹴り、壁際を駆けていく。……いつも見る彼よりも…速い
「ど、どうして……ソニック?!」
リリスの戸惑う声。凍り付いたように動けない中で、青色が端からじわりと真っ黒に染まっていくのが見えた。
ダークなソニックさん大暴走。