ソニック・ザ・ヘッジホッグ(夢)
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>>>目覚める:start up_
>>全システムセルフチェックを開始_
>>20%....
>>56%....
>>62%....
>>80%....
>>95%....
>>99%....
>>システムオールグリーン_
>>>*caution*_外部からのネットワーク接続を感知_
>>ネットワークセキュリティの強制解除を施行_
>>解除失敗_
>>解除失敗_
>>解除失敗_
>>セキュリティシステムへの侵入。プログラムの書換及び破壊を実行_
>>ファイアウォール消滅を確認_
>>サーバーへのアクセスを実行_
>>Gate open_
宇宙を模したような広大で暗い空間がどこまでもあって、幾何学的に模様を描く光の軌跡が彼方に流れ去る。実際のものは見たことがないが、流星群と言うものに似ている気がする。海の中をたゆたうように、ただそこに頼りなさげに浮かぶ。視覚化されたネットワークの世界は情報が絶え間無く行き交う不可思議な世界だ。
気がつけばさらに視覚化が進み、空間が生まれ、あたかもその場が現実の通路のように組み上がっていく。仮想空間とも言うべきだろうか。床には赤い光が走り、前へ前へと誘っているようだった。
ふと、気配を感じて「目」を向ける。
意識の塊(AIプログラム)がそこにあるだけのような存在だった不安定な己(データ)がいつの間にか視覚化され、かりそめの体(ボディ)を作り出していた。本来あるべき体は現実の世界で、電子機器やコードにまみれて横たわっているだろう。俺を造ったマスターはおそらく、近くには居ないはずだ。
ならば一体誰が?
好奇心のようなものが湧き上がって、気配を探して歩き出す。気配を追うのはマスターの為ではない。単なる好奇心だ。(一度プログラムを書き換えられたとはいえ、やはりあのマスターに心から忠誠を誓おうとは思わない)
しばらく進んだ先、そこはこのネットワークの中で最もセキュリティが強固なサーバーだった。
情報が光になり走る床、文字が流れ行く壁、ケミカルな色の部屋でぽつんと立つ小さな姿。あれには見覚えがあった。以前世界を相手取り反乱を起こした際、あの忌々しい……俺の分身とも言うべき“ソニック・ザ・ヘッジホッグ”のがわに……正しくはヤツの仲間のあの究極生命体とやらの傍らに居た女だった。その女はセキュリティにがんじがらめにされた最重要データの前で立ち尽くし、のんきに首を傾げていた。背後に俺が立っても、気がつく様子すらない。
「ここでなにをしている」
「ひえっ!!?」
案の定気が付きもしなかったようで、そいつは大げさにびくりと肩を震わせた。恐る恐る振り返って目を見開く。
「え、……あ、きみ、は……えと、メタルソニック…?なんでここに……」
「ここはマスターの……Dr.エッグマンの基地内ネットワークだ。俺が居てなにが悪い」
鼻で笑ってみせるとそいつは困ったように笑った。
「そ、そうだよね。ごめんなさい」
「むしろなぜお前がここに侵入しているのかを問いたいが。おおかた、そこのデータ狙いか?」
「うう…そうです」
あははと苦笑いを浮かべる。呑気すぎる……自分の置かれた立場がわかっていないのか、と疑問を抱く。俺はため息をついた。(ため息?この俺が?)(ずいぶん生物じみた行動だと内心笑った)
「……悠長な奴だな」
「へ?」
「お前がここで油を売っている隙に俺が仲間の応援を呼ぶ、とは考えないのか?敵に見つかったも同然だろう」
腕を組み直す。はっとした顔でそいつは何度か瞬きを繰り返した。それから乾いた笑いを漏らす。
「え。で、でも、きみはそこらのエッグマンのロボットよりずっとずうっと強いじゃない。本気でわたしを消したいなら仲間を呼ぶよりきみが攻撃を仕掛けるんじゃないの……かなあ?」
「……」
なるほど、この女はただの馬鹿ではないらしい。俺がよほど苦い顔をしていたのか、またそいつは困ったように笑う。
「…ご、ごめんなさい」
「…………別に、お前に謝られる程ではない」
己を誤魔化すように、そいつが先程まで見つめていたデータを見る。つられるように視線を辿ったそいつは自らのすべきことを思い出したようにデータに向き合った。手前に小さなパネルが浮かび上がって、キーボードが表示される。……セキュリティ解除のパスコードを要求されているようだ。
「それが欲しいと言ったな、」
「う、うん」
小さな光の塊として視覚化されたそのデータ。それを幾重にも重なったプロテクトがケージのように包む。まともに解除するのはなかなかに骨が折れそうだ。
その光の前に歩み寄ると、きょとんとしたそいつが一歩身を引いた。
「…ふん」
手を伸ばし、ケージの端を掴むとバチリと電気が走った。セキュリティにハッキングを仕掛けてみる。プログラムがせわしなく立ち上がり、CPUがフルに稼働する。隙間に入りかけたウイルスが思考にノイズを作りだし、不快感を生む。
「あっ!?」
再度弾けた放電に驚いたのか、後ろの気配が数歩後ずさった。……その間にあっけなくセキュリティロックを解除。ケージは消失したものの、まだ残ったプロテクトの切れ端が細い網となってデータを囲んでいた。それを蹴飛ばして破壊し、中身を掴み出す。中身を盗み見ると……カオスエメラルドについてなにやら長々と書かれた文書が圧縮されて詰め込まれていた。なるほど、マスターの好みそうな代物だ。
それを無言でそいつに押し付けた。
「あ…ありがとう!」
ぱあ、と途端に明るくなる表情。少し、面白いやつだとも思った。
「で、でもどうしてきみがこれをくれるの?……ここの基地の警備をしているとかじゃ…?」
疑問に思うのは当然だろうが、警備かと問われれば否である。(現実での俺の体は今、身動きすら取れない状態にあるわけだが)
すぐに返答せずに少しばかり考えた。
マスターに対するささやかなる反抗か、それとも別の何かか。答えはすぐに出た。この、目の前でころころと表情を変えるこの女に僅かばかりの興味を抱いた。興味故の気まぐれ、それだけだ。だがわざわざ細部まで言うほどのことでもない。
「さあな、気まぐれとでも言おうか」
そう言った途端にそいつは困ったような顔をした。
「そ、そっか……、とにかくありがとう。これで現実世界に戻ったとたん、ばきゅーん!とかじゃ……ないよね?」
「……そんな面倒なことはしない」
さり気なく安全確保か。本当に、馬鹿なのかしたたかなのかわからないやつだ。顔に出さずに笑ったあと、他の雑魚共に見つかる前にさっさと失せろと促した。
「わ、わかったよ。ありがとう」
真横を足早に通り過ぎて、部屋の出入り口へ向かう。途中、特に考えもせずに俺はそいつを呼び止めた。
「お前……名前は?」
無意識の質問だった。相手はあのソニックの仲間なのだ。……マスターのデータベースを調べれば名前など簡単に出てくるはずなのに。なぜか勝手に口から出た問いかけだった。
そいつはピタリと止まって俺の方を向いた。ずいぶんと穏やかな笑顔を作る。
「リリスって言うんだ。あの、よろしく、ね」
またね、と言うと、そいつは瞬く間に電子の海に溶けていった。
俺はその場に止まったまま、思考に焼き付いたあの笑みと、最後の言葉を反芻していた。またねの三文字。…………まさか、この俺が、あの女が再びここに来ることを望んでいるとでも?
「…それも…悪くはないな」
自嘲ぎみに口の端を持ち上げて、小さく小さく呟いた。
ヒーローズの最後のムービーと、ソニックOVAのメタルソニックがすごく…かわいいです…。
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