ソニック・ザ・ヘッジホッグ(夢)
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(ソニックワールドアドベンチャー発売前に書いたやつ)
通りに人の気配がし始めてきた早朝……。
広くもなく狭くもない部屋の中、ソファの上でぐっすり眠りこけている青いハリネズミを横目で見ながら、一昨日の昼間……一緒にショッピングに行ったとき、そう言えばねと楽しそうに言い始めたエミーの話を思い出した。
─────最近、夜になると街中に狼が出るんだって!
───はぁ?…狼ぃ?
─────あぁ!嘘だと思ってるでしょ!!でもホントみたいなのよぉ!何人も目撃したらしくて、街をうろうろしてるロボットとかを倒して回ってるって…!
───…へえ…
─────リリスも出くわさないように気をつけなきゃダメよ!!あたしも十分気をつけてるし!!
───エミーなら返り討ちにできるよ…しかしその自信はいったいどこから……
─────あ、そう言えば最近ソニックに会えないのよねー……テイルスも全然音沙汰ないって心配してたし、今頃どこ走り回ってるのかな……
───…え、エミー……
その時はそんな程度で終わった話のはずだったのだ。
だけど、
***
それは数時間前のこと。
月が光を失いかけ、水彩絵の具を広げたように空が白く広がりつつある夜明けの頃。街の一画の街灯がバチ、と音を発し光が途絶えたその一瞬、建物の上を小さな影がサッと掠めていった。……一拍の間の後、硬質の何かを破壊する音と、それから嘆きのように短い遠吠え。
「……ん」
自宅のベッドの中、リリスはその鳴き声で身じろぎをしながら眼を覚ました。ベッド脇のカーテンの隙間から夜明けの空が垣間見える。─────リリスはごそごそと起き上がり、カーテンをそっと開いた。
「……?」
なんだろう?と寝ぼけ眼を凝らす。袋小路に面したその窓から見えたのは……たくさんのロボットが道を闊歩する姿だった。あんなものを造って徘徊させるような人物と言えば……まだ半分は睡眠状態のリリスの脳裏に一人の卵男の顔がもやもやと浮かんだ。また彼が何かロクでもないことをしようとしているに違いない。
(…触らぬ神に祟りし……)リリスはそのまま何事も無かったかのようにカーテンを閉めようとした……しかしその手は中途の位置で止まる。
「……あ」
青っぽい後ろ姿がちらりと見え、直後に耳を突く爆発音。破壊されたロボットの金属片や部品がばらばらと飛び散っていく。青色が時折ちらりと見える……いつもより暗く沈んだ青色に見えるのは薄闇に紛れているせいだろうか。
「ソニック」
それを見て、唐突に眠気が醒めていく。……………あれはソニックだ。そう思いはしたものの、しかしリリスは不信そうに眉根を寄せる……もうすぐ夜が明けるとはいえ、どうしてこんな時間に?
そう疑問に思った直後、前方の敵に気を取られていたソニックのすぐ後ろからの銃撃。彼は振り返りざま、片手を一閃させ応戦した。
今度こそ、リリスは不安げに首を傾げる。おかしい……普段の彼ならあんな銃撃、される前に相手を倒してしまっているはず。……それにあれは、彼の戦い方とはだいぶ違う。鈍いと言うか、遅いというか。そこまで考えて、ひとつ気が付く─────どこか怪我をしてしまっているのではないか。それもいつものように速く動くことができなくなっているほどの。
「…放ってなんて…置けない……!」
リリスはそのままベッドを下りて上着をはおり、玄関のドアをそっと開いた。辺りを用心深く伺いながら朝靄が漂い始めた通りに出る。角を曲がり、先ほど自分の寝室の窓から見えた袋小路をのぞき込む。壁と建物に囲まれた狭い空間…そこに居たのは鉄屑といっしょにぽつんと立ち尽くしている青いハリネズミ─────ではなかった。
「……っ?!」
両手の鋭い爪、ちらりと垣間見える牙、夜闇のように暗い色の毛並み。……ソニックに似てはいるが、雰囲気が違うように思えた。同一人物かと問われると思わず首を横に振ってしまうかもしれない。
そこに居たのは、夜色の狼だった。
「……え、」
驚きの声が勝手に飛び出し、リリスは慌てて口元を押さえる。相手に聞こえてしまったかもしれない。逃げようと身構えた直後、ゆぅっくりと、相手が酷く緩慢な動作で振り返った。眼が合う。感情の読みにくい暗く沈んだ緑色の双眸が射抜き、殺気すらかいま見える強い眼光に気圧されてリリスは身を竦めた。
「……ぅ」
相手が小さく唸った。こちらを警戒しているようにも、或いはなにかの痛みに堪えているようにも見え、リリスは小さく囁いた。
「ソニック………?」
その瞬間、背後から穏やかな朝日が差し込み、リリスは驚いて空を見上げた────薄墨のような色が頭の上にある。夜が明けていく。
すると直後、目の前の狼が力尽きたようにがっくりと両膝を付いた。─────不思議なことに、紫色の光が弾けたその後……数回の瞬きの内にその濃い色合いは薄まり、本来の爽やかな青色の姿・ソニックの姿に変わる。それはまるで、悪い魔法がとけていくように。
ふらふらとよろけながら両手をつく様子を見て、リリスは慌てて彼に駆け寄った。
「だ、大丈夫?!」
「よ、リリス」
肩で荒く息をしながら、彼は新緑色の眼をゆっくり動かしてリリスを捉えた。疲労が伺える表情の中、口元が自嘲めいた笑みに変わっていくのを見ながら、どこまでも彼らしくないその様子に戸惑う。
「え…今の…?……あの…い、いったい……?何が、」
「あー…………まぁいろいろと、な。……よっと」
直後には何事も無かったかのようにひょいと立ち上がる。立ち上がった勢いのままソニックの体はぐらりと傾いで、とっさのタイミングでリリスが彼の片手を捕まえた。
「っ、Sorry」
そう言いながらヘラリと笑う表情はいつもの彼と少しも変わらない。……ソニックは軽い言動とは裏腹に、深く考えているタイプだ。自分に心配をかけさせたくないのだろう。リリスは俯いてきゅっと眉間にしわを寄せ、掴んだ彼の手を強く握った。
「お、おい……、どうしたんだよ?」
握られた手に戸惑ったのか、ソニックが言葉に詰まる。その隙を逃すまいとリリスは顔を上げた。
「ねえ、お願いだから無理しないで。何でもないフリなんてしないでよ」
「What?俺は────」
「……」
白い手袋に包まれたその片手を、リリスは両手で包む。その様子を見たソニックの表情が苦笑いに変わった。
「はは……かなわないな、お前には。……Hey、そんな顔すんなって!」
背伸びをしたソニックがリリスの頭をぽんぽんと撫でた。微妙に子供扱いされているような気がしたが、悪い気はしない。
「ソニック、」
顔を上げたリリスに少しばかり照れた顔をした彼は目線をそらしてわざとらしくあくびをした。いつもすました態度をとるソニックにしては珍しい反応だ。
「ふぁあ、そうだなー、まだ朝早いしな。どっかでひと眠りするかー。良い場所知らないか?」
棒読みでそう言ってちらりと目線をリリスに向けた。きょとんと目を丸くしたものの、リリスはくすくすと笑う。
「はいはい。我が家にご滞在ですね?日帰り朝食付き。お望みとあらばチリドッグでもなんでも」
「良いねえ。頼むぜ」
片目をパチリと閉じたソニックに笑顔を返しながらリリスは考えた。今は確かに無理をしているのかもしれないが……きっと彼なら軽く乗り越えて、鼻で笑ってみせるのだろう。その仕草が目に見えて来るようで、もう一度くすっと笑った。
(ところであの、どうして狼みたいな姿に?)
(さぁてねえ。よくはわからないが……ま、全部終わったらちゃんと教えてやるよ)
(……どうせまたエッグマンの起こしたむちゃくちゃなことに巻き込まれてるんでしょ?)
(Ahー…Noと言い切れない)
(やっぱり……)
(おいおい…悪いのは俺じゃないだろ~!だいたいあのヒゲオヤジが毎度毎度飽きもせずに喧嘩売ってくるから────)
(はいはいはい……)
.
通りに人の気配がし始めてきた早朝……。
広くもなく狭くもない部屋の中、ソファの上でぐっすり眠りこけている青いハリネズミを横目で見ながら、一昨日の昼間……一緒にショッピングに行ったとき、そう言えばねと楽しそうに言い始めたエミーの話を思い出した。
─────最近、夜になると街中に狼が出るんだって!
───はぁ?…狼ぃ?
─────あぁ!嘘だと思ってるでしょ!!でもホントみたいなのよぉ!何人も目撃したらしくて、街をうろうろしてるロボットとかを倒して回ってるって…!
───…へえ…
─────リリスも出くわさないように気をつけなきゃダメよ!!あたしも十分気をつけてるし!!
───エミーなら返り討ちにできるよ…しかしその自信はいったいどこから……
─────あ、そう言えば最近ソニックに会えないのよねー……テイルスも全然音沙汰ないって心配してたし、今頃どこ走り回ってるのかな……
───…え、エミー……
その時はそんな程度で終わった話のはずだったのだ。
だけど、
***
それは数時間前のこと。
月が光を失いかけ、水彩絵の具を広げたように空が白く広がりつつある夜明けの頃。街の一画の街灯がバチ、と音を発し光が途絶えたその一瞬、建物の上を小さな影がサッと掠めていった。……一拍の間の後、硬質の何かを破壊する音と、それから嘆きのように短い遠吠え。
「……ん」
自宅のベッドの中、リリスはその鳴き声で身じろぎをしながら眼を覚ました。ベッド脇のカーテンの隙間から夜明けの空が垣間見える。─────リリスはごそごそと起き上がり、カーテンをそっと開いた。
「……?」
なんだろう?と寝ぼけ眼を凝らす。袋小路に面したその窓から見えたのは……たくさんのロボットが道を闊歩する姿だった。あんなものを造って徘徊させるような人物と言えば……まだ半分は睡眠状態のリリスの脳裏に一人の卵男の顔がもやもやと浮かんだ。また彼が何かロクでもないことをしようとしているに違いない。
(…触らぬ神に祟りし……)リリスはそのまま何事も無かったかのようにカーテンを閉めようとした……しかしその手は中途の位置で止まる。
「……あ」
青っぽい後ろ姿がちらりと見え、直後に耳を突く爆発音。破壊されたロボットの金属片や部品がばらばらと飛び散っていく。青色が時折ちらりと見える……いつもより暗く沈んだ青色に見えるのは薄闇に紛れているせいだろうか。
「ソニック」
それを見て、唐突に眠気が醒めていく。……………あれはソニックだ。そう思いはしたものの、しかしリリスは不信そうに眉根を寄せる……もうすぐ夜が明けるとはいえ、どうしてこんな時間に?
そう疑問に思った直後、前方の敵に気を取られていたソニックのすぐ後ろからの銃撃。彼は振り返りざま、片手を一閃させ応戦した。
今度こそ、リリスは不安げに首を傾げる。おかしい……普段の彼ならあんな銃撃、される前に相手を倒してしまっているはず。……それにあれは、彼の戦い方とはだいぶ違う。鈍いと言うか、遅いというか。そこまで考えて、ひとつ気が付く─────どこか怪我をしてしまっているのではないか。それもいつものように速く動くことができなくなっているほどの。
「…放ってなんて…置けない……!」
リリスはそのままベッドを下りて上着をはおり、玄関のドアをそっと開いた。辺りを用心深く伺いながら朝靄が漂い始めた通りに出る。角を曲がり、先ほど自分の寝室の窓から見えた袋小路をのぞき込む。壁と建物に囲まれた狭い空間…そこに居たのは鉄屑といっしょにぽつんと立ち尽くしている青いハリネズミ─────ではなかった。
「……っ?!」
両手の鋭い爪、ちらりと垣間見える牙、夜闇のように暗い色の毛並み。……ソニックに似てはいるが、雰囲気が違うように思えた。同一人物かと問われると思わず首を横に振ってしまうかもしれない。
そこに居たのは、夜色の狼だった。
「……え、」
驚きの声が勝手に飛び出し、リリスは慌てて口元を押さえる。相手に聞こえてしまったかもしれない。逃げようと身構えた直後、ゆぅっくりと、相手が酷く緩慢な動作で振り返った。眼が合う。感情の読みにくい暗く沈んだ緑色の双眸が射抜き、殺気すらかいま見える強い眼光に気圧されてリリスは身を竦めた。
「……ぅ」
相手が小さく唸った。こちらを警戒しているようにも、或いはなにかの痛みに堪えているようにも見え、リリスは小さく囁いた。
「ソニック………?」
その瞬間、背後から穏やかな朝日が差し込み、リリスは驚いて空を見上げた────薄墨のような色が頭の上にある。夜が明けていく。
すると直後、目の前の狼が力尽きたようにがっくりと両膝を付いた。─────不思議なことに、紫色の光が弾けたその後……数回の瞬きの内にその濃い色合いは薄まり、本来の爽やかな青色の姿・ソニックの姿に変わる。それはまるで、悪い魔法がとけていくように。
ふらふらとよろけながら両手をつく様子を見て、リリスは慌てて彼に駆け寄った。
「だ、大丈夫?!」
「よ、リリス」
肩で荒く息をしながら、彼は新緑色の眼をゆっくり動かしてリリスを捉えた。疲労が伺える表情の中、口元が自嘲めいた笑みに変わっていくのを見ながら、どこまでも彼らしくないその様子に戸惑う。
「え…今の…?……あの…い、いったい……?何が、」
「あー…………まぁいろいろと、な。……よっと」
直後には何事も無かったかのようにひょいと立ち上がる。立ち上がった勢いのままソニックの体はぐらりと傾いで、とっさのタイミングでリリスが彼の片手を捕まえた。
「っ、Sorry」
そう言いながらヘラリと笑う表情はいつもの彼と少しも変わらない。……ソニックは軽い言動とは裏腹に、深く考えているタイプだ。自分に心配をかけさせたくないのだろう。リリスは俯いてきゅっと眉間にしわを寄せ、掴んだ彼の手を強く握った。
「お、おい……、どうしたんだよ?」
握られた手に戸惑ったのか、ソニックが言葉に詰まる。その隙を逃すまいとリリスは顔を上げた。
「ねえ、お願いだから無理しないで。何でもないフリなんてしないでよ」
「What?俺は────」
「……」
白い手袋に包まれたその片手を、リリスは両手で包む。その様子を見たソニックの表情が苦笑いに変わった。
「はは……かなわないな、お前には。……Hey、そんな顔すんなって!」
背伸びをしたソニックがリリスの頭をぽんぽんと撫でた。微妙に子供扱いされているような気がしたが、悪い気はしない。
「ソニック、」
顔を上げたリリスに少しばかり照れた顔をした彼は目線をそらしてわざとらしくあくびをした。いつもすました態度をとるソニックにしては珍しい反応だ。
「ふぁあ、そうだなー、まだ朝早いしな。どっかでひと眠りするかー。良い場所知らないか?」
棒読みでそう言ってちらりと目線をリリスに向けた。きょとんと目を丸くしたものの、リリスはくすくすと笑う。
「はいはい。我が家にご滞在ですね?日帰り朝食付き。お望みとあらばチリドッグでもなんでも」
「良いねえ。頼むぜ」
片目をパチリと閉じたソニックに笑顔を返しながらリリスは考えた。今は確かに無理をしているのかもしれないが……きっと彼なら軽く乗り越えて、鼻で笑ってみせるのだろう。その仕草が目に見えて来るようで、もう一度くすっと笑った。
(ところであの、どうして狼みたいな姿に?)
(さぁてねえ。よくはわからないが……ま、全部終わったらちゃんと教えてやるよ)
(……どうせまたエッグマンの起こしたむちゃくちゃなことに巻き込まれてるんでしょ?)
(Ahー…Noと言い切れない)
(やっぱり……)
(おいおい…悪いのは俺じゃないだろ~!だいたいあのヒゲオヤジが毎度毎度飽きもせずに喧嘩売ってくるから────)
(はいはいはい……)
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