ソニック・ザ・ヘッジホッグ(夢)
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ぎりぎり目で追いきれるか否かの速度で青い風が通り過ぎた。その速度は慣性を放置し重力をも超越する。解ってはいることたが、相変わらず常識知らずなやつと苦笑した。エッグマンのロボットに捕らわれている自分の今の立場をすっかり忘却してしまうほど、彼の存在感は圧倒的だ。(だからこそ彼の周りは常に人が絶えないのだろうけれど)
彼はその青い髪を靡かせて、飛び上がった空中で身を捻る。その横を弾丸の一斉掃射がすり抜けた。当たらないのが当然と言わんばかりにあっさりと避けていく様を見せられると、彼の周りには何か不思議な力が働いていて、彼に触れることすらできないかのようだ。
と、いい加減この面倒な事態を打開しなければと頭を捻る。わたしが捕らわれたままでは彼も迂闊に攻撃できない。
ふと、彼の緑色の瞳がこちらを向いた。全く場を読んでいないような不敵すぎる笑みを口元に浮かべる。…アレだ、出来れば敵に回したくないような表情。それから声を出さずに一文字ずつゆっくりと口を動かす。唇の動きを読む限りだと、彼の言いたいことは────
(と、び、お、り、ろ……?)
は…このロボット、けっこう背高いんですけど。飛び降りるにはかなりの勇気を要する高さなのですが。はい?何言ってんの?と言いたげにぱちくりと瞬きをする。二回の瞬きを終えた瞬間、彼は大した予備動作も無く高く跳躍。(…うさぎみたい)見上げたわたしとまた眼が合う。……ウインクされました。どうやら選択権は無いようだ。
「そっ、ソニックの馬鹿!」
そう呟いた後、今度こそ重力といっしょに落下してきた彼がロボットの頭(たぶん頭…)にかかとをお見舞いした。ばしんと火花が散り、体の拘束が一瞬緩んだタイミングを見計らって、わたしは空中に身を投げ出した。掠める空気の音と体が落下していく不慣れな感覚に眼を瞑る。しかしそのとたん、体が地面に引っ張られる力がけっこうな衝撃といっしょに途切れた。うっ、と驚きで喉に詰まった変な声が勝手に飛び出てきて思わず目をゆっくり開く。間近で視界に飛び込む空より青い─────
「Hey!リリス!Are you ok?」
………………えっと、…その、いわゆる「おひめさまだっこ」と言う体勢で彼に抱えられていた。何という自然な成り行き…。混乱しつつ、しかしわたしを抱えたままロボットの攻撃をひょいひょい避け続ける彼に言った。
「お、OKなんかじゃないよ!!ソニックの馬鹿!さすがにヒヤッとしたじゃない!!」
言葉は考えていることの反対を言う。全く…なに言ってるんだわたしは。だけど彼はわたしの言葉を聞いてニヤリと笑う。見透かした笑みだ。きっとわたしの本心など見破られているに違いない。
「ぷっ、照れてんのか?顔が赤くなってるぜー?」
…………
「照れてまーせーんー!」
いや、もうどっから突っ込みをいれれば良いのだろう。彼はもう一度ニッと………今度は珍しく優しげに笑って、その場にゆっくりとわたしを降ろした。ずいぶんと優しい手つきだ。
…周りに転がるロボットの残骸やら瓦礫やらに阻まれて、あのロボットの攻撃もきっとここまでは届かないだろう。
「リリス?」
「え!?」
きょろきょろと周辺を見回していると、ソニックに頬をつつかれた。……つねるよりはマシだけど…………つつくって…
「大人しくここで待ってられるよな?」
間近に接近したソニックの双眸がもう一度、強い光を灯した不敵な眼差しに変わる……有無を言わさないそれに射抜かれて、ただ見つめ返したままこくこくと首を縦に振った。
満足げな顔をして、前を向く。視線の先にはロボットが。…どうやらあのロボットがわたしを捕まえていたことに対して軽く根を持っているらしい……なんとなく雰囲気でそう思った。
「All right……すぐ片付ける」
そう言って一歩踏み出すところで立ち止まる。あれ?どうしたの?と小声で訪ねると、その場で180度ターンしたソニックが悪戯っぽく笑って肩を竦めるのが見えた。
「おっと、俺としたことが……忘れてたぜ」
「……え…、え?」
額に触れた温かで柔らかな感触。視界の上半分に現れた鮮やかな青髪……っは、これはもしや!?
「そ、ソニックぅう?!」
「なんだよー?こんなキスくらい慣れろよなー?」
「~~~~!!!」
な、慣れろだと?!いつも不意打ちだからそんなの……無理でしょ!!言葉にならない。ツンデレとかそう言うもののつもりはないけど、でも照れるものは照れる。不可抗力だ。
「じゃ、行ってくる」
また前を向いたソニックに、わたしは照れながらも今度こそ緩く笑顔を向けた。
「気をつけてね、ケガしたら……」
「したら?」
「わたしが手当する。でも出来るだけしちゃだめ」
わたしの言葉に前を向いたまま口の端を持ち上げた彼はまた、青い風になって走り出した。
あんなことを言ったけれど、もちろん、彼がこれくらいでケガをするわけがない。当然、負ける可能性なんて僅かも無い。……だってソニックだから…………そうでしょう?
(やっぱエッグマンのメカって弱ぇーな。ケガするタイミングも無かったぜ…)
(ちょ、わざとケガしようとか考えてたの!?)
(What?付きっきりで看病してもらえんだろ?)
(えぇ?!なんか手当のはずがいつの間にか看病にレベルアップ?!しかも付きっきり?!)