ソニック・ザ・ヘッジホッグ(夢)
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その頃リリスは暇を持て余し、ベンチに座って外を眺めていた。大きい窓の外には巨大な青い星が、白い筋のような雲を纏って輝いている。スペースコロニー・アーク────ここにいると時間の感覚がまるで無いかのようだった。宇宙は常に真っ暗で、しいて言えば明けない夜のような……しかしそれでもそんなものは無いことを知っていた。リリスは物憂げな眼差しのまま、ぼんやりと窓の外を見つめ続ける。……そのときだ、不自然な風と気配が背後に現れたのを感じたのは。
「……?」
しかし気配があったのは一瞬で、振り向こうとした直前、ひゅうっと耳の後ろに甲高い風の音を残して気配は消えてしまった。……風など吹くはずのないこのアークの中で突風を起こす者…いや、突風を起こすほどの速度を出す者と言えばただひとり………
「シャドウ?」
どうかしたのだろうか。クールなクセに意外に律儀な彼が自分を無視して姿を消すなんてことは珍しい……リリスは首を傾げてベンチから飛び降り、長く直線的に続いている通路の奥をのぞいてみる。案の定誰も居ない。
「研究施設とかでまた何かあったのかなあ……」
呟いたリリスは不安げに眉をひそめながらも身を翻そうとして─────突然ぼすっ、と体に衝撃が。
「うわわっ?!」
「っ?!」
弾かれたように体が傾き軽くしりもちをつく。反射的にいてて……と小声で呟いた。
「っ…すまない…リリス。大丈夫か?」
リリスは相手が自分の予想した通りであったことに少し苦笑しながらも顔を上げた。
「大丈夫。ごめんねシャドウ、よそ見してて……あれ?」
そこには確かに小さな黒いハリネズミが、いつもの無表情の中に気遣いを混ぜて……………“小さな”?
「……どうかしたか?」
リリスは立ち上がることを忘れ、しりもちをついた体勢のまま首を傾げてシャドウを見つめた。いつもの彼のはず……だけどもなんだか違和感がある。なんだろう?しかしよく見てみれば目つきがいつもより鋭くないと言うか、顔つきがどこか若干幼げなような…………表情自体はいつもの彼なのだが。しばらく見つめ、彼の顔が微妙にばつの悪そうな表情に変わりかけてきたとき、リリスはぼそりと呟いた。
「……シャドウ」
「な、なんだ?」
「……ちっちゃくなってない?」
……二人の間に流れる微妙な沈黙。シャドウはいつものポーカーフェイスのまま目線をそらして押し黙っているが、しかしリリスは彼の片耳がぴりりと動いたのをしっかりと見てしまった。……もしかして…まさか図星?リアルに?リリスは思い出したように立ち上がって彼を見下ろした。……いつもより明らかに急角度。
「え…あれぇ?うそ……?!」
「………残念ながら…嘘ではない」
「……」
縮んでいた……シャドウが。ちなみに以前の3分の2弱の子供(?)サイズ、ぶっちゃけて言うとちょっとデカいぬいぐるみサイズ。
「……なんでぇ?」
「……さぁな…リミッターを外した戦闘訓練の後…こうなった。原因はプロフェッサー達が調査している」
「…………そっかあ」
リリスはあまりの驚きに呆然とシャドウを凝視する。恥ずかしさからか睨まれたものの、縮んでいるせいなのかいつもの迫力が無い。どちらかと言えばすねて不機嫌になった子供がせいいっぱい睨んでいるような表情に見える────実際すねているのかもしれないが。
いつもとはまるで違う彼(の意外なかわいらしさ?)にたまらなくなってリリスは笑いだしてしまった。
「ふふふっ…」
「リリス……」
「ふっ…!…睨んじゃイヤー!!」
「…」
どんどんと不機嫌な表情になっていく彼に悪いとも思うが、どうにも笑いを堪えきれない。……しかしとうとう彼は怒ったように腕を組んでぷいとそっぽを向いてしまった。それを見て、さすがのリリスも気まずくなる。
「あぁ~……えっと、ごめん、シャドウ」
「……」
あ、まずい。すねられた。さすがのリリスも焦ったものの、もうすでに後の祭り。
「もう笑わないから~、ごめんね?」
「……」
「シャドウー!」
「……」
「ねぇってばー!」
「……」
「……」
無反応。しかしさっきから片耳がピクリと動いている。……それがなんだか妙にかわいい。やっぱりかわいい。
「むー、そっちがそう来るなら…………えいっ!捕獲!!」
「リリスッ?!!」
突然床に膝を着いたかと思えば、微塵も遠慮無くリリスは背後からすねた究極生命体に飛び付いた。そしてそのままひょいっ、とシャドウを抱きかかえたまま、ベンチに座り込んだ。
「あ、軽くなってるねぇ」
「なっ!?」
シャドウは珍しく慌てた様子でじたばたともがき、顔を赤くしながら目を泳がせている。……どうやら別に嫌な気はしないらしい。
「すねないでよ……、謝るから。……ごめんなさい」
「……っ」
リリスはそう呟いて、シャドウの額に顎を乗せる。ビロードのように綺麗な艶のある黒い毛並みが柔らかく、心地よかった。
「……シャドウって暖かいなぁ」
そう呟いて、頭を撫でる。シャドウはリリスの腕の中から自力で脱出するのを諦めたのか、小さく溜め息をつく。
「リリス……」
「ん?」
「そろそろ解放してもらいたいところだが」
「……やだー」
「(やっ…やだ?!)…なぜ」
「それは自分に聞いてみたまえよー、シャドウ・ザ・ヘッジホッグ君ー」
「……(意味がわからない)」
「……」
「……」
「……」
「………………襲うぞ?」
「?……へ?今なんか呟いた??」
「はぁ……」
リリスの笑顔を横目で見ながら、シャドウはどうしようもなくため息をついた。─────そう、やっぱり自分は彼女に対してどうしても甘くなってしまう。しかもそれでも良いと思う自分が居るのだ。
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