エトセトラ
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「レヴィお姉ちゃん!起きて!朝だよー!」
いつものようにわたしは姉の部屋に突撃する。Leviathanと丸っこい文字が記されたプレートのかかるドアを蹴破らんばかりの勢いだ。
ベッドに乗り上げて布団を引っぺがしてから、そのまま部屋の主に許可を得ることなく横のカーテンを開けた。もう開け放つと言って良いくらいのノリ。そのまま窓も開けると、朝日が眩しく覗き込んでくる。
休日の今日は良い天気、綺麗な快晴。爽やかな朝の風に吹かれて、視界の隅でカーテンが揺れる。
「んーぅ……ナオト~…?」
気だるげな声がベッドから聞こえる。縮こまる姉の上にかかった毛布を布団と同様に容赦無く剥ぎ取った。
「うー……」
「起きて起きてー!今日は出掛けるんでしょー?」
壁の時計を見る。うん、もし今日が学校の日だったら確実に遅刻している。そして休みだというのに部活だの委員会の仕事だので家を出ていった兄三人は今ごろ学校に着いているだろうなぁと適当に考え出した。休日を素直に謳歌するわたしと姉はなんなんだとため息を付いた直後、姉がむくりと起きる。
「ふあ…もう朝ぁー?」
いつものしゃっきりした声とは違うふわふわした声だ。ぼさぼさの前髪の下、青い眼が半分くらいまで開いている。よし、何とか今朝も無事に姉を起動させることに成功したようだ。やれやれ。
「うん、お姉ちゃんおはよう」
「うーん…………うー」
とりあえずはこれでよし。放っておけば準備してリビングまで来てくれる。あとは姉用のパンを焼いて、コーヒーと……。考えながら部屋を後にする。
フローリングの廊下に出て、三つほどドアの前を通りすぎた先にリビングはある。広くもなく狭くもなく。キッチンと食卓テーブルとテレビが置かれたシンプルな部屋だ。
「さて、ごはん!」
テーブルの脇を通りすぎてトースターのところまで。パンを二枚目放り込んでスイッチオン。ソーセージとオムレツとサラダが乗ったプレートを二人分テーブルに置いてからコーヒーを入れる。毎朝こなしているおかげで、我ながらに素晴らしい手際の良さだ。なんちゃって自画自賛してみたり。
いい気分でテーブルについてから、何気なくテレビの辺りに目をやる。……嫌でも視界に入るそれは、わたしが今朝作ったお弁当で。………目立つ赤地の布に包まれて、ぽつんと置かれていた。
「ファブ兄ー!お弁当忘れてるーッ!」
思わずがたんと音を立てて椅子から立ち上がった。ファブ兄こと、兄貴のファーブニルが持って行くはずだった昼食。すっかり忘れられているようだ。……うっわあ、出掛ける前に学校に寄らないといけないじゃないか…後でどうするかメールしとこ。
またため息をついたとき、バッと姉がリビングに入ってきた。
「おっはようナオト!お待たせ!」
「お、おはようお姉ちゃん、ぐふぅ」
そのままの勢いで飛び付かれて、抱き枕のようぐりぐりやられた。さ、さすが姉。なんだこの腕力。勝てる気がしない…ぞ!
「ふふっ、毎日几帳面にも起こしに来てご飯まで用意しておいてくれる妹が居て本当によかったわ!!ありがと!」
「ど、どういたしまして…」
………そしてお分かりいただけるだろうか、このテンションの差を。さっきまでベッドの上で寝ぼけていたあれはいったいなんだったのか。解せない。しかもこの短時間で髪も綺麗にとかされている。服装は寝起きのラフなままの姿だけど、さすがだ。……こっそりと苦笑する。
「本当は自力でも起きれるくせにぃー」
「やぁねー、起こしてくれる人が来なくなっちゃうじゃないのー」
解せぬ。わたしが焼き上がったトーストをお皿に乗せると、姉はそそくさとテーブルについた。
「他のヤツらは?今日はみんな居ないの?」
「お兄ちゃん達は生徒会の集まりと部活だって。夕飯時間にはみんな帰るって言ってたよ」
「ふうん、あいつらも大変ねえ。休める時くらい休んでおけばいいのに」
「忙しそうだし、仕方ないよー」
この歳でワーカホリックか、と姉は呆れて肩を竦めた。わたしはやっぱり苦笑いしか返せない。
「で、ファーブニルのヤツはしっかり弁当忘れてってると」
「後で届けないとね…」
「なにそれ、めんどくさいわねー。せっかくだから私が食べるわ!」
「えええ、良いのそんなんで!?」
「良いわよ良いわよ。忘れた馬鹿が悪いんだもの!」
トーストを平らげてオムレツをつつきながら、姉は悪戯っぽく…だけど清々しく笑った。ま、まぁファブ兄もお金くらい持ってるはずだし、ご飯くらい購買なんかでも買えるから大丈夫…かな。
またもや苦笑いをしつつトーストをもぐもぐしながらこれからの話を切り出す。そうそう、今日は姉に買い物に行こうと誘われていたところだったのだ。
「そーね、服も見たいしー、授業用のノートも買っておきたいわね」
「わたしは夕ご飯の材料も買っておきたいな」
「ん、じゃあいつものショッピングモールで良いわね。早く準備してとっととでかけちゃいましょ!」
久しぶりの買い物だものね!楽しそうにそう言った姉につられて笑顔を向けながら、取りあえず今は目の前の朝食を平らげることに専念する。
姉妹水入らず、と言うのはなんだか語弊があるような気もするけど、いつもの個性的かつ何だかんだで賑やかな兄達が居ない女子同士のお出かけ、さてさてどんな一日になることやら……?
(荷物持ちにファントムでも呼び出そうかしら。あいつってばナオトに甘いとこあるしー、ナオトが呼び出せば必ず来るし!)
(そんなことないからね!?普通だよ!?)
(じゃあキザぼうやか馬鹿でも…)
(……ファブ兄とハル兄逃げて超逃げて…!)