Tautology
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悲嘆は終結へ。
停まっていた時間が動く。
初めて起動してから培ってきた僕の中のそれは彼女を喪いかけた時、完膚なきまでに砕かれた。レプリロイドに備わっているはずの心のようなものは崩れ、奇妙で歪なまでに変化してしまっていた。
それからの長い間……彼女が居なくなってからの間、想いを小石のように一つずつゆっくりと積み上げて、また新しい形を作り出した。まるで賽の河原のよう。元通りにはならなかったけれど、僕を構成するその一部分。
ねえナオト。
あのとき君がたおれてから、どれくらいの時間が流れていったと思う?
喪ったと思い込んで一度は暗澹としてしまったけれど、なんとか命を繋ぎ止めていてくれた君。今を驚くだろうし、悲しむかもしれない。君がどんなふうに反応してくれるのか、想像してみても上手く答えが導き出せない。遠く彼方に消えていったあの頃の記憶はまるで神々しい何かのように眩しい光に包まれていて、この記憶が実は本当は僕が体験したものではないかような錯覚を引き起こす。何度も思考の内側で再生し続けた思い出は褪せ擦りきれぼやけて、読み取ることさえ難しくなってしまったようだった。君がどんな声をしてどんな考えをもっていたか、そんな簡単なことすら思い出すのが困難なほどに、だ。
(……困難というのは少し語弊があるかもしれない。消去してすらいない記録を思い出せないなんてレプリロイドには有り得ないはずなのに。もしかしたら、無意識に思い出すのを拒んでいるのかもしれない)
君は笑うかもしれないけれど、それほどまでに長い年月が過ぎた。
疑問だらけで戦ってきて、それでも前に進もうとして、何をすればいいのかすら解らなくなって、何も感じなくなって、その度に君を思い出した。あの懐かしい感覚が、ランダムに記録の底からサルベージされるんだ。
逢えないのなら、生きていてもどうしようもないと思った。だけどまた逢える可能性が残されているのなら、僕は生きていないといけないと思った。
ナオト、今までいろんなことがあったよ。世界は大きく変わったし、みんなも……ゼロも居なくなってしまった。僕の存在すらまるで偶像のようになってしまったけれど、君ならきっと、あのときのおれと変わらずに僕をみてくれるだろう。
待つことには飽きてしまったんだ。だから、もう起きてくれても良いころだと思う。君を苛む疵はもう癒えただろう?
次に君のところに行くときは、今度こそ君を起こすよ。また一緒に過ごしてくれると嬉しい。長い長い話をしよう。
これからまた、新しく始めるんだ。