ヘヴンリーブルー
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果たして彼は、わたしの予想通りにそこに居た。ハンターベースの居住区画、長い間住んでいた彼自身の部屋。
彼の心境を考えながら進んでいるうちに、夕陽はいつの間にか沈んでいたようだった。特有の明るく青い空と白色の半月が、部屋の窓から差し込む。そしてその光は、壁に背を預けて座り込み、浅い呼吸を繰り返す彼を静かに照らしていた。
「――――――」
部屋に入った途端、何か幻覚でも見たような彼の視線を浴びた。
発光する緑色のアイカメラ、弱い光を放つ額のクリスタル。たくさんの赤色に彩られた床が何か非現実的な感覚を呼び起こす。こんな程度、いつも任務で見ていたはずなのにね。
「………………ナオト、?」
「ん。…………久しぶり、エックス」
彼、もといエックスは、ずいぶんと掠れた声でわたしの名前を呼んだ。わたしも似たように擦れた酷い声で返事を返すだけ。
…本当は掴みかかって、今までの何もかもを洗いざらい吐かせたいくらいだった。理由と行動、その思考、全部を。
でもその気持ちは、彼の姿を見たとたんにあっさり消えてしまった。彼の顔つきや眼差しが、予想していたよりも理知的で冷静だったのだ。
「……大怪我、したって、聞いていたよ…無事だったのか。……嬉しいな」
「わたしは、大丈夫。万全とはいかないけどね。きみ、は……っ、」
嬉しい?なにを言ってるんだ。
わたしは何も言えなくなった。これ以上言葉が浮かばなかった。……ああもう、どうして。こんな気持ちをもってしまわないように気をつけていたのに。どうしても目と喉の奥が熱を持つ。
わたしはわたしがどうしたいのかが解らないの。イレギュラーを処分する?殺す? あなたはいつもやってきたでしょう、ナオト。ほら、そのセイバーは飾りじゃない。いろんな物を、者を、斬り伏せてきたでしょう。切っ先を相手に向けて、頭部か動力炉の辺りに突き刺して、それで終わり。イレギュラーがこれ以上誰かを傷付ける前に。イレギュラーが、ウイルスにやられた者が、傷付けた者が、敵が、壊れた者が、その相手が例え仲間だったとしても。
…ねえ、でもエックス。わたしはきみがイレギュラーになってしまったとは思えないの。こんな現状を見せられても、まだ。
「っ……なん、で、こんな、」
嗚咽に邪魔されて声すらまともに出てこない。肝心なときに正しい判断を下せない。結局、イレギュラーハンターとしては失格だ。
頭の中がごちゃごちゃになって、あふれた感情の一端が遂に頬を伝って落ちていく。出さないようにずっと抑えていた涙がぱたぱたと落ちる。……エックスが本当にどうしようもなく壊れてしまっていたなら、まだ簡単だったかもしれない。
ふらふらと彼に近づいて、膝を付いてエックスを抱き締める。普段は少し冷たいはずの彼の体が、酷く熱を持っている。赤色に濡れるのも気にならなかった。
欠けた片腕、あちこちひび割れたパーツ、焦点が合わないアイカメラ。彼の身から流れ出た大量の循環液。その胸元に走る長い裂傷の隙間からコードと骨格と、動力炉の一部が見えた。ゼロと戦った後、そのままのようだった。
こんな酷い損傷、早くベースに連れて帰らないと。このまま放っておいたら死んでしまう。
「……どうして、か。あはは、きっかけは君が大怪我をした、って聞いたこと、かな。……死んでしまったかと思った」
「わたし……、」
「それから悩んだし、考えたよ。短期間で、ありとあらゆることを」
熱に浮かされたような、少し上擦ってまとわりつくような音声に違和感を覚える。彼はこんな声では喋らなかった。穏やかで優しくて芯の強い…心地よい声音だったのに。ぼんやりとした表情で呟くさまはまるで足が地についていない。
「いろいろと考えあぐねて、結局、全部の原因はおれにあるってことに気付いたんだよ。戦いが無くならないのもイレギュラーが居るのもそもそもの原因は?最初のあの時シグマはなぜ反乱した?いやそれよりもレプリロイドが居るのは?」
「エックス……?」
「おれが居なければ、シグマも正常に動いていたかもしれない。そうなると今まで処分してきたイレギュラー達は?きっと色んなものが傷つかずに死なずに済んだはずなんだ。ゼロだって君だって何度も死にかけずに済んだ。ずっと戦うことに疑問を持っていたけれど、やっと気付いたよ。気がついたら、停まらなくなった。おれが関わって掻き回したものは自分で片付けないと、」
すうっと細められたアイカメラ。どこか喜色混じりで熱っぽく語られる思考の切れ端は、自己の存在すら否定する言葉だった。背筋に冷水でも流された気分になる。どうして、…どうしてそんなふうに考えてしまったんだ!今の現実は色んなひと達の色んな選択の結果であって、きみ一人が悪いわけじゃないのに!
「なんで!そんな、……だからって、きみが悪く思う必要なんてどこにもないのに、!」
抱き締めた腕をほどく。エックスの青い肩に手を乗せて、深緑の視線をまっすぐに見詰める。また涙が滑り落ちる。
上手く言葉に出来なかった。ただただ悲しい。どれだけエックスは自分を責めたんだろう。こんなになってしまうまで?何も悪くなんてないのに!
ぼやけた視界の中で、彼がゆっくりと瞬きをしたのが解った。緑色の視線が緩慢に動いて、わたしを捉える。視線が交ざる。その奥底で何が得体の知れない暗い澱みを見た気がした。出かけていた言葉が尻すぼみになる。数秒の沈黙。
何だろう?一瞬の疑問の直後、目の前で何かが眩しく光っ、
「―――――ぁ、っ、?」
衝撃。
胸元を、とてもã??ã熱い何かが 通り抜けた 気がした[ã218ã/ªx?. ã?yªãã??e:2ã8 。喉の 奥が 循環液 味 。ã??e22ã8218ã/ªx?. ã?yªãã??e:2 ͡° ڼ͡°22ã8218ã/ªx?. ã?yªã@£ã??Ÿã [:ãV:ã??[x:]ã 8249ã:‰
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***
---------彼女が胸元に風穴を空けて停まった瞬間、いびつに変化してしまっていた彼の思考は幾分かの穏やかさを取り戻した。
誰かに大事なものを奪われたと思っていたときの悲しみや怒りは、もうとっくに通り越していた。彼が彼女を自らの手で「終わらせる」ことが出来たのは、彼にとっては幸運なことのようだった。やり残しはたくさんあるが、一番やりたかった「片付け」だ。これでもう大事なものを奪われることはない。
バスターに変形させていた片腕を元に戻して、不思議そうな顔で宙を見つめる彼女を覗き込む。風穴から赤黒い液体が零れる。
片腕で丁寧に引き寄せて、強く抱いて目を閉じた。
「最期、君が来てくれて、嬉しかったよ。ありがとう、ナオト」
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