ヘヴンリーブルー
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単体での戦闘兵器としては、彼以上に火力のある個体はそうそうに存在しないのではないかと思う。ゼロが対等と言えるだろうが、あの紫色をしたアーマーを装備した彼が一辺の躊躇いなく戦えばどうなるか。……ある意味で結果はもう出てしまっている。
「……」
わたしはハンターベースの建物の前で立ち止まった。ガラス張りだったエントランスは無惨な有り様で、暗い溜め息を吐く。砂や塵にまみれた地面に、赤黒い色があちこち広がっている。粘ついたレプリロイドの循環液が染みを作っている。割れてぶら下がる情報通達用モニタ、潰れた小型巡回メカニロイド、誰かの置き忘れた片足。端が焼け焦げた瓦礫。
入り口から中を覗くと、先には物音ひとつしない静けさと薄闇が溜まっているのが見えた。
彼がここに居なければ、無駄足だったなら…それはそれで良いと思った。だけど鮮やかに点々と、ただひとつだけ赤色の飛沫がベースの奥へ向かっていることに気づく。
ああ、きっとこれだ。それを追って足を進める。またわたしの中のどこかが軋みをあげた。気がした。
「……」
床に広がる赤色の飛沫、または循環液すなわちレプリロイドの血液は、薄い暗さの中でもくっきりと真っ直ぐに続いていた。引き摺ったような痕。赤を踏みつけた跡。足元を彩る。
エントランスとは違ってベースの内部は比較的綺麗なままで、見慣れた金属の壁面とリノリウムの床がそこにあった。壁を這っていたはずのダイオードだけが光を失って、静かで不気味な空間を作っている。
「吐いたのか。置き土産も」
わたしはぽつんと呟いた。
赤を辿りながら進む最中、ひときわ大きな赤色の水溜まりがあった。それから奇麗な断面と半ばで千切れた内骨格を晒す青い腕。裂傷が走るそれは、たぶんゼロに斬られたのか。
ここに逃げ込むまではくっついていて、奥に進む最中に取れたんだろう。動かない片腕は荷物になるだけ。
いよいよつらくなって、それでもわたしは置き去りにされた腕をこれ以上見ないようにした。
4へ。