オッズアンドエンズ
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「と、言うわけなんだけど……、どう思う?」
「あー……うーん…そ、それはまたヘンな事に……」
アクセルは若干呆れつつ、しかし返答に困り果てて口ごもった。
珍しいほどに酷く取り乱したナオトを自室に招き入れ、どうにか落ち着かせて事情を聞き出して早30分余り。向かいのスツールに腰掛けるナオトの顔を見つめた。さて、どう答えたものか。
反対側の備え付けデスクに座って考え込みながら、思わず足をぶらぶら揺らす。
心の内では事の発端のマリノ達に文句を言いつつ、元凶のゼロを罵倒していた。(あの人たちなにやってんのさ!?それにゼロのバカ!!バカ!!)
エックスはナオトのことがスキ、という話は以前から知っていた。……知っていたというか、途中で気が付いたと言うべきか。
それとなくエックス本人に確認してみれば、普段のアクセルに対する厳しさなどどこへやら、慌てふためいた挙げ句にしっかり肯定されたのだ。しかしさすがのアクセルでもこんなことをナオトに喋ってしまうほど馬鹿ではない。ゼロも同じように考えていたはずだったが、さすがにしびれを切らしてきたのだろうか。(いい加減さっさとくっ付け!とか?……ゼロなら思っていそうだよね…うん)
「どうして良いか解らないんだよ……マリノさんの言葉がぐるぐるしちゃって、」
「ううー…」
ナオトもけっこー重症じゃん!?などと内心で焦る。常日頃から姉のように慕っている彼女の、いつもの頼れる雰囲気はなりを潜めていた。本当に困惑した表情を見るかぎり、よほど想定外だったらしい……らしいと言うかなんと言うか。
「今までわたしは何も考えてなかったなぁって思って……」
覇気もなくまなじりを下げて俯く。ナオトがこんなにも頭を悩ませる理由はなんなのだろう。今までのエックスの態度を見ていても気づきもしなかったというのだから、相当にショックを受けているのは解る。
「ね、ナオトはさ…、」
「え?」
「エックスのことキライになっちゃった?」
出来るだけナオトの顔を見ないようにしながら疑問を口にした。もし、キライになったと言われたら…頷かれてしまったら……それはあまり考えたくない。
アクセルはデスクから飛び降りて、ナオトを正面から見据えた。
「ボクはレンアイってよく解んないけどさ、今までのふたり見てると何か良いなーって思うことけっこーあったんだよ」
「……アクセル、」
「ボクはこのままじゃ嫌だな。だってボクはエックスとナオトが大好きだし、ふたりには仲良しで居て欲しいもん」
あ、もちろんゼロも好きだよ?と少しおどけた口調を作る。
アクセル自身、今が好きだった。実力を発揮できる場があって、心を許せる仲間が居る。心地良い居場所ができたのに二人が仲違いしてしまうなんて。その居場所に綻びが生まれてしまうなんて。
ナオトは目をしばたたかせたあと、視線をそらして下を向く。
「いつもみたいにさ、四人でまたバカ騒ぎしたいよ。このまんまふたりが仲悪くなっちゃうのはいや」
話を聞く限りでは、今はナオトが一方的にエックスを避けている。だけどそれがいつ関係の崩壊になるか解らない……というのは少し考えすぎだろうか?ただの一抹の不安ともいうべきか。
目線を宙へ泳がせたあと、ナオトはすまなそうに眉を潜める。言葉を選んでいるように見えるが、ともすれば混乱したままのようにも見える。
「…………き、らいってことじゃないんだよ。エックスの気持ちを知っても嫌いになるとか思わなくて、」
「じゃ、スキ?」
こてんと首をかしげて問いかける。少しだけ緊張してしまっていることを表情に出さないように真剣な顔を作った。
「わ、わかんない……。で、でも、なんていうか……」
恐る恐る上がった視線とぶつかる。ナオトの綺麗な色の瞳がアクセルを見つめる。
「…………い、いやじゃない…」
はにかんだぎこちない笑み、もしくは苦笑とも取れるようなそれ。ああ、なんかいいなーと考える。
考えながら、きっとナオトはエックスが好きなんだろうと思った。たぶん本人も気づいていない…いや、気付きそうといったところか。(見ていてわりと解りやすいけど、仲良すぎたせいなんだろうなぁ…)
「じゃあ良いじゃんー。何がダメなのさ?」
「うう……こ、こればっかりは……何と言うか、ごちゃごちゃ余計に考えちゃうっていうか…!」
頭を抱えて唸る様子を前にして、アクセルは気付かれないようにため息をついた。こういうことは時間をかけないとダメなのかもしれない。だったら、
「落ち着いてよナオト。気持ちの整理が出来てないっていうなら、もうちょっとしてから結論出せばいいじゃない。ね?」
いつもはアクセル自身が助けられる場合が多いから、助けてあげたい。そう思っただけ。だから思ったままを口にする。少しでも気が楽になればいいのだが、やはりナオトの表情は晴れないままだ。
「うん……い、今すぐってわけにはいかないと思うけど、わたしもこのままじゃ駄目だと思うし……時間かかるかもだけど…その、なんとかしてみるから」
ありがとう、と苦笑いが浮かんだ。
……なんとも、どうしてこんなややこしい展開になってしまったんだろうか。マリノ達のせいとも言えるし、ゼロのせいでもある。もっと突っ込んで言えばエックスのせいか…そもそも仲が良すぎたせいか。どうにか丸くおさまってほしいけどなぁと、アクセルはまるで自分のことのようにため息をつく。
……しばらくはぎくしゃくした雰囲気が続きそうだ。
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