Spreading darkness
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自らの考えが甘かった、とシャドウは内心で舌打ちをした。簡単な任務だったはずなのだ。
非合法かつ秘密裏に行われていたカオスエメラルドを兵器に転用する──つまり、悪用する──研究。今回の任務はその研究所に侵入し、重要な証拠となりうるデータと実験に使われているカオスエメラルドを回収する……それだけだった。
特に危険らしいわけでもなかったために、カオスエメラルドの気配を察知できる彼女を任務に動向させた。目的のものが苦もなく手に入り、あとは脱出のみと言うところまで来て、敵に見つかったのだ。
「くっ……!!」
身動きが取れないまま、シャドウは広い部屋の一角につなぎ止められていた。身動きが取れない。
ちょうど向かい側にはそれほど大きくもないカプセルの中で、同じような状態で囚われたリリスがもがいているのが見えた。何か必死に口を動かしているようだが、シャドウにリリスは届かない。
それから、リリスのカプセルの前にはコンピューターが積まれていて、その横に何か良く解らない機械が低い音をたてているのが解った。その機械の群の間で動き回る研究員たち。そいつらの目線は皆リリスに向けられている。
「彼女に……何をするつもりだ?」
思ったよりも掠れた声が出た。その声が届いたのか、壮年の研究員のひとりが振り返る。
「君たちが自らこの研究所に出向いてくれたんだ……研究に必要なデータは頂かせてもらう」
特にこの娘は非常に興味深い。
その言葉にシャドウが苦虫を噛み潰した顔を作る。
考えてみれば至極当然のことだった。カオスエメラルドの研究施設ならば当然それを扱えるソニックやシャドウの存在も知られているだろうし、調査もされているはずだ。そうすれば仲間であるリリスに対しても興味を抱くだろう。先の二人とは違う……カオスエメラルドに干渉して力を発揮する彼女に。
シャドウは拘束から逃れようともがくが、大した効果は得られない。
向かい側で光が閃いた。人間たちの間で起こる感嘆の声。忌々しい声だ。
「……くそっ!!」
焦りと不安が固まりになって落ちてくる。
彼女を助けなければ。このままでは危ない。リリスがどんなものかをろくに知らない者が彼女を実験材料として扱うなど……どうなってしまうか予想もつかない。人間共が何も考えず、彼女の本体からエネルギーを全て奪いでもしたら………彼女は本当にこの世界から消えてしまうというのに。
人間たちの後ろ姿から垣間見えたリリスの苦悶の表情。カプセルの内部で電流が走り、光が瞬く。
「リリス!!」
カプセルが光る度にリリスが身を強ばらせた。叫び声をあげているようだが、カプセルが音を遮断しているのか全く聞こえない。リアルさに欠けていた。ただ、人間たちは彼女の姿が徐々に透けていることに気づいている様子はない。
「おぉ……!素晴らしい……!!どこからこんなエネルギーが湧き出ている?!いったい、そんな小さな体にどんな秘密が……!!」
先ほどの壮年の男が震える声音で呟いた。目線は目の前のコンピューターのモニターに釘付けになり、熱中している。
「やめろっ!!それ以上は……!」
拘束具に絡み取られた両腕をどうにか動かそうとしながらシャドウが叫ぶ。男が鬱陶しげに振り返って舌打ちをした。
「何を言っているのかね……君たちからわざわざ赴いてくれたんだ。こんな機会は滅多にあるまい。…この娘の検査が終わり次第、次は君の番だよ。シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」
口元を笑みのかたちに歪めながら男はくつくつと笑った。
─────これだから……、人間は……!!
シャドウの心の内に、半ば忘れかけていた人間への諦観と憎悪が鎌首をもたげ始める。心のどこかからふつふつと沸き上がる、どす黒い感情。赤い眼がぎらつく。
「……───、……」
ぼそり、とシャドウが何かを呟いた。言葉は男へ伝わらなかったようで、疑問の顔をシャドウへと向けたものの、再びモニターへ視線を戻す。
そのときだ。男の目前にあったカプセルの中、リリスの姿がついに掻き消えたのは。
「…………っ?!」
「…き…消えた…?!」
空っぽのカプセルの前で研究員達がざわめく。数秒前までデータを取っていたはずの娘が空気に溶けるように消えたのだ。跡形も無く、痕跡も残さず、まるでこの世界に初めから存在しなかったかのように潔く。
「な…………リリス……?」
呆然としたシャドウが動きと思考を停止させた。
まさか、彼女が消えた…?本体のエネルギーが尽きたのか?今までこんなことは無かったのに?なぜ消えた?なぜ─────……
なぜ?
なぜって、こいつらのせいじゃないか。
見切りを付けたはずの人間への憎悪が高ぶった感情を支配していく。苛立ちと焦り、様々な負の感情に混ざっても、憎悪は消えることもない。
手元の拘束具が軋む。鈍い色の鎖が耳障りな音を立てる。
「貴様らッ……!!」
瞳孔が開ききった真っ赤な眼が目の前の人間たちを射抜いた。恐怖の滲む小さな悲鳴が上がる。誰もが恐れおののき凍り付いたように動けない中、
─────バシン。
何の前触れもなく唐突に、部屋中のすべての明かりが消えた。
非合法かつ秘密裏に行われていたカオスエメラルドを兵器に転用する──つまり、悪用する──研究。今回の任務はその研究所に侵入し、重要な証拠となりうるデータと実験に使われているカオスエメラルドを回収する……それだけだった。
特に危険らしいわけでもなかったために、カオスエメラルドの気配を察知できる彼女を任務に動向させた。目的のものが苦もなく手に入り、あとは脱出のみと言うところまで来て、敵に見つかったのだ。
「くっ……!!」
身動きが取れないまま、シャドウは広い部屋の一角につなぎ止められていた。身動きが取れない。
ちょうど向かい側にはそれほど大きくもないカプセルの中で、同じような状態で囚われたリリスがもがいているのが見えた。何か必死に口を動かしているようだが、シャドウにリリスは届かない。
それから、リリスのカプセルの前にはコンピューターが積まれていて、その横に何か良く解らない機械が低い音をたてているのが解った。その機械の群の間で動き回る研究員たち。そいつらの目線は皆リリスに向けられている。
「彼女に……何をするつもりだ?」
思ったよりも掠れた声が出た。その声が届いたのか、壮年の研究員のひとりが振り返る。
「君たちが自らこの研究所に出向いてくれたんだ……研究に必要なデータは頂かせてもらう」
特にこの娘は非常に興味深い。
その言葉にシャドウが苦虫を噛み潰した顔を作る。
考えてみれば至極当然のことだった。カオスエメラルドの研究施設ならば当然それを扱えるソニックやシャドウの存在も知られているだろうし、調査もされているはずだ。そうすれば仲間であるリリスに対しても興味を抱くだろう。先の二人とは違う……カオスエメラルドに干渉して力を発揮する彼女に。
シャドウは拘束から逃れようともがくが、大した効果は得られない。
向かい側で光が閃いた。人間たちの間で起こる感嘆の声。忌々しい声だ。
「……くそっ!!」
焦りと不安が固まりになって落ちてくる。
彼女を助けなければ。このままでは危ない。リリスがどんなものかをろくに知らない者が彼女を実験材料として扱うなど……どうなってしまうか予想もつかない。人間共が何も考えず、彼女の本体からエネルギーを全て奪いでもしたら………彼女は本当にこの世界から消えてしまうというのに。
人間たちの後ろ姿から垣間見えたリリスの苦悶の表情。カプセルの内部で電流が走り、光が瞬く。
「リリス!!」
カプセルが光る度にリリスが身を強ばらせた。叫び声をあげているようだが、カプセルが音を遮断しているのか全く聞こえない。リアルさに欠けていた。ただ、人間たちは彼女の姿が徐々に透けていることに気づいている様子はない。
「おぉ……!素晴らしい……!!どこからこんなエネルギーが湧き出ている?!いったい、そんな小さな体にどんな秘密が……!!」
先ほどの壮年の男が震える声音で呟いた。目線は目の前のコンピューターのモニターに釘付けになり、熱中している。
「やめろっ!!それ以上は……!」
拘束具に絡み取られた両腕をどうにか動かそうとしながらシャドウが叫ぶ。男が鬱陶しげに振り返って舌打ちをした。
「何を言っているのかね……君たちからわざわざ赴いてくれたんだ。こんな機会は滅多にあるまい。…この娘の検査が終わり次第、次は君の番だよ。シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」
口元を笑みのかたちに歪めながら男はくつくつと笑った。
─────これだから……、人間は……!!
シャドウの心の内に、半ば忘れかけていた人間への諦観と憎悪が鎌首をもたげ始める。心のどこかからふつふつと沸き上がる、どす黒い感情。赤い眼がぎらつく。
「……───、……」
ぼそり、とシャドウが何かを呟いた。言葉は男へ伝わらなかったようで、疑問の顔をシャドウへと向けたものの、再びモニターへ視線を戻す。
そのときだ。男の目前にあったカプセルの中、リリスの姿がついに掻き消えたのは。
「…………っ?!」
「…き…消えた…?!」
空っぽのカプセルの前で研究員達がざわめく。数秒前までデータを取っていたはずの娘が空気に溶けるように消えたのだ。跡形も無く、痕跡も残さず、まるでこの世界に初めから存在しなかったかのように潔く。
「な…………リリス……?」
呆然としたシャドウが動きと思考を停止させた。
まさか、彼女が消えた…?本体のエネルギーが尽きたのか?今までこんなことは無かったのに?なぜ消えた?なぜ─────……
なぜ?
なぜって、こいつらのせいじゃないか。
見切りを付けたはずの人間への憎悪が高ぶった感情を支配していく。苛立ちと焦り、様々な負の感情に混ざっても、憎悪は消えることもない。
手元の拘束具が軋む。鈍い色の鎖が耳障りな音を立てる。
「貴様らッ……!!」
瞳孔が開ききった真っ赤な眼が目の前の人間たちを射抜いた。恐怖の滲む小さな悲鳴が上がる。誰もが恐れおののき凍り付いたように動けない中、
─────バシン。
何の前触れもなく唐突に、部屋中のすべての明かりが消えた。
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