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4、かき混ぜた塊

sideチャニョル



「あ!ジョンデー!!」
「もー、うるさいよチャニョラ」


こないだとは一転して、ジョンデは普通に笑っていた。


謝らないといけない、って思った。
とにかくまずは謝らないと、って。
そう思って恐る恐ると呼び出したジョンデは、意外にもにこやかに笑っていて。
正直、ほっと胸を撫で下ろした。


「なに?」


セルフサービスの喫茶店でアイスコーヒーを持って席に座りながらジョンデは、どうしたんだ?と俺を見る。


「こないだはゴメン!!」


勢いよく頭をテーブルに着きそうなほど下げて謝ると、ジョンデはぽかんと呆けたあと、あはは!と笑った。


「なんでチャニョリが謝るんだよ!僕はベッキョンに怒ったんだよ?」
「そうだけど、なんとなく……」
「あはは!自分でやってないことまで謝るんだ!」


けたけたと笑うジョンデに「まぁ……」なんてポリポリと頭を掻いた。


「ジョンデ……!」
「な、なに?」
「その……悩み事とかあったらいつでも言えよ!!俺たち友達だろ!?」


迫る俺に、苦笑を浮かべるジョンデ。


「大袈裟だねぇ。悩みなんかないのに……」
「だってあんなっ…!」
「噂?別にもう気にしてないよ。てゆーか、いちいち気にしてなんかいられないし」
「そっか……」


ジョンデが、随分と大人に見えた。
俺はガックリと肩を落として項垂れた。


「なんかお前って、すごい大人だな」
「そうかなぁ?」
「あぁ。俺もだいぶ大人になったと思ったけど、ジョンデ見てるとまだまだだなぁって思うわ」
「なにそれ!」


褒められてるの?って笑うから、「もちろん!」って大きく頷いた。


「別にさぁ、諦めてるだけだよ。どうしたって伝わらない人には伝わらないし。それならいっそ諦めた方が気が楽じゃん?」
「そうだけど……」


ジョンデは一体何を諦めてきたんだろう。
俺はあのとき、両親を諦めた。
確かにそのお陰で今があるから後悔なんかしてないけど。だからこそ、諦めないで済むものは、諦めてほしくないとも思う。


「あの時、俺らやベッキョナのことも諦めたの?」
「どういう意味……?」
「再会の日やこの前飲んだときにさっさと帰ったこととか。もうお前の中ではこれっきりなのかなぁって」


せっかく集まれたのに、そんなの淋しいじゃん。


「確かにこないだのは完全にベッキョニが悪かったんだけど」
「うーん、どうだろうね……」
「仲直りする気ある?」
「仲直りって、子供じゃないんだから」
「一緒だって!喧嘩したあとはちゃんとごめんなさいだろ!?」


許す気があるなら俺が取り持つし!って迫れば、「ベッキョン次第かな」って笑っていたので、もしかしたらそんなに怒っていないのかもしれないってちょっとだけほっとした。

だから俺は、何としてでもベッキョニに、こないだのこと謝らせないと!なんて勝手に意気込んだんだ。




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