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3、沈殿するもの

sideズータオ



「ねぇセフナ、学校楽しい?」


ジョンインと別れて、セフンと二人で駅に向かって歩いていたとき、僕は不意に尋ねた。
高校生いいなぁ、とか多分そんなノリだったと思う。だから僕は当たり前に『もちろん』と楽しそうな返事が返ってくると思っていたのに、呟いたセフンの答えは酷く曖昧なものだったから、僕はとても驚いた。


「別に」
「えー!なんで?」
「なんでって……遊びに行く訳じゃないし」
「うそ!友達と遊んだりしないの!?」
「しない、かな」


矢継ぎ早な僕の質問にぽつりぽつりと答えていくセフンに、「じゃあいつどこで遊ぶの?」と聞くと「別に……」と、またひ一言言ってうつむかれてしまった。
僕はなんだか無性に居たたまれなくなって……


だから飛び出した言葉はなかなか悪くなかったと思う。



「じゃあ僕がセフンの友達になるから一緒にいっぱい遊ぼう!」



彼は驚いたような顔で僕を見ていて、僕は可笑しくて盛大に笑った。
それから繋いで振り上げた手は、10年前みたいでバカみたいに無邪気だ。
でもその時セフンも仕方なそうに少しだけ笑みを浮かべたから、僕はやっぱりすごく嬉しくなった。10年ぶりに見たセフンの笑顔はあの頃と変わらず、とても可愛いかったから。


「あ!セフナ笑った!」
「え……?」
「これからタオがたくさん笑わせてあげる!二人で楽しいこといっぱいしよう、いいでしょ?」
「……うん」


こくりと頷く真っ白なセフン。
理由なんてどうだっていい。
だって僕たちは、10年ぶりに会えたから。
それだけで何か素敵なことが始まると思わない?
姐姐が言ってた通り、ジョンデもルーハンもみんな色々あるみたいだけど、やっぱり10年経っても変わらないものってあると思うんだ!


少なくともセフンの笑顔は変わらないと思った。


小さかったセフンがふにゃりと笑っていたのを思い出して、心があたたかくなった。
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