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ラブミーライト!

レイとチェニ。(百合)






オンニ!
オンニ今度はあの曲弾いてください!




制服のスカートの裾を翻しながらぴょんぴょんと飛び跳ねて、いつも全身で楽しそうにはしゃぐ可愛いあの子は───私のもの。



「いいわよ、じゃあ一緒に歌う?」
「やった~!」


1つ下のこの子と、こうして放課後の時間を潰すようになったのはいつからだろうか。もう良く覚えていない。ただ、恥ずかしそうにはにかんで、「オンニのピアノ好きです」って呟いた時の耳の紅いのだけははっきりと覚えている。

バカみたいにピアノを弾き続けていた毎日。
くだらなくて、つまらなくて。全部がどうでもよかった私の前に、あの子はキラキラとした笑顔で現れた。オンニ!って呼ぶ弾んだ声は、私をとても幸せにする。


「チェナ、こっちおいで」
「……?」
「ここ、座って」


座っていたピアノ椅子の端に寄って、空いた空間を叩いて呼んだ。
くすくすと笑いながら隣に座る彼女の襟元から、いつもはしない甘い匂いがして、驚いて思わず鼻を鳴らした。


「あれ?香水つけてる?」
「あぁ!昼休みにベクにつけられたんですよー」
「そう、驚いた」
「やっぱ似合わないですよね」
「そんなことないけど、チェニは何もつけなくてもいい匂いよ」
「な……なに言ってんですか!」


パシンと私の腕を叩いて、チェニは恥ずかしそうにスカートの裾を掴んで俯いた。
はらりと落ちた肩まで伸びる癖毛の間から覗くうなじが、訳もなく綺麗に見えて、気が付くと指を這わしていた。


「……オンニ?」
「可愛いわね、チェニは世界中で一番可愛い」
「そ、そんなの……オンニに言われたって信じられませんよー!」


私もオンニみたいに美人に生まれたかったな、と足をぶらりと動かして拗ねたように呟く彼女は、自分の可愛さをまるで理解していない。でも私はそんなところが好きだし可愛いと思っている。


「オンニなんてぇ、美人だしー、頭もいいしー、運動神経もよくてー。あと、スタイルもいいでしょ?それに……ピアノも上手で。何よりとっても優しいし!ホント私の憧れです!」


指折り数えたそれは、なんの意味もないことを知っている。この子にとって、所詮私はただのオンニなのだから。


「チェナ、歌う?」
「はい!」


そうして今日も西日が射し込む窓を背に、私たちは歌うのよ。


愛を囁くかわりに、恋の歌を。






おわり
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